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風待ち港で、君を待つ  作者: 風間 絆
第1章 高校1年生

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9/24

瀬戸大橋、電車旅

日曜日、晴天。


「よかったー、晴れで。私めっちゃ雨女なんだよねっ」

美久はほっと胸をなでおろす。

「オレのおかげやで。なんてったってすこぶる晴れ男やから。あははっ」

「それなら幼なじみコンビが揃ったら中間の曇りなんちゃう?」

まゆみにツッコまれうーん、どうやろ〜と真剣に悩む大珂。

「まぁどっちでもええわ。四国に渡る時きれいな海と空が見えそうやねぇ」

洋子はカメラも持ちワクワク気味。実は写真部とかけ持ちなのだ。

「いい写真撮れたら来月の文化祭で展示しよう」


午前7時過ぎにJR播州赤穂駅を出て、お昼前には讃岐白鳥駅に到着予定。およそ3時間30分の旅路。

瀬戸内海を挟んで対岸の町に、ぐるっと電車でまわってたどり着くルート。

道中車内でそれぞれおにぎりやお菓子をもぐもぐタイム。


座席は2年生がボックス席、1年生男女ふたりづつの4名が別のボックス席、はみ出したふたりが横並びに座るという配置に。

2年生が固まるのはわかるが、まゆみが率先して4名をかため、大珂と美久をわけた。



ファイト!



目でそう言ってるのが伝わってくる。




なにがんばったらええねん…



苦笑するも美久はうれしかった。

まぁ通学行き帰り一緒なコンビなので、違和感なく自然な流れ。


長いつきあいなので、おたがい食の好みも熟知。

「新発売のじゃがりこ買ってきた」

「やったー、美久ちゃん神!」

大珂の大好物はお菓子のじゃがりこ。新味が販売されるたびに喜んで飛びつく。

「美久にはみかんグミやるわ」

「わぁ〜、ありがとー」

「みかん農家の娘でそこまでみかん好きって前世からみかんまみれなんかな」

「そうかもw」


岡山駅で在来線に乗り換えると、瀬戸大橋を渡り四国香川へ向かう。

「うわーっ、海広いーっ。赤穂の海よりおっきいー」

洋子は車窓から写真を撮り興奮気味。

「ほんときれい…ねぇ、みて…えっ」

美久は隣に座っていた大珂に声をかけると、小腹が満たされたのと朝早かったこともあり、いつの間にか爆睡中。

「マジかー…」


こてん


あろうことかカクっと首をかしげ、美久の肩に寄りかかる始末。


こいつ、寝相悪いな


少々呆れるも、無邪気な寝顔に思わず見入ってしまう。



これは約得、電車バンザイ



長いまつ毛

優しそうな顔

子どもの頃は、よく一緒にお昼寝したっけ

図体だけでかくなって、それ以外はあんまり変わってない


ふわっ


やわらかな髪の毛が、美久の頬を撫でる



やっば


これ


頭なでなでしたくなっちゃうやつ


でもみんなが見てるしなー、と自制心。



もう


無防備すぎるでしょ、これ


人の気も知らないで



でも…


たまにはいいかも、こういうの


並んで自転車漕いでる時には味わえない醍醐味


並んで座ると、こんなにも近い


腕が、肩が触れるなんて


このままずっと


こうしていたい


駅につかなければいいのに、


なんて思っちゃう


夢みたいな時間



「ふわぁー、よく寝た」

再び乗り換えの高松駅。伸びをしてさらにでかくみえる大珂。

「瀬戸大橋からの眺め最高だったのに、全く起きないんだからもったいない」

「まぁ帰りまたみれるし。それに洋子ちゃんの写真見せてもーらお」


ガタンゴトン

 ガタンゴトン


滅多に乗らない電車旅、最高だ。

「四国は近いようで意外にあんまり来たことないなぁ」

「やっぱりうどん食べたいなぁ」

皆口々に感想を語る。

左手には海がみえる。


あの向こう側が赤穂、坂越。

場所は離れど、せとうちの海でつながっていることを実感する。



「着いたーっ」

お昼前、讃岐白鳥駅到着。

静かな無人駅。

どこか坂越駅と似てるな、と美久は感じた。

「これから今夜の宿泊場所に行って、昼食いただいて着替えて準備して、午後練習をして明日が練習試合な」

「はいっ」

顧問の指示に従い、海へ向かって歩く。

徐々に、潮の香りが強くなる。

駅から海辺の民宿までは徒歩12分。

さすがに腹減ったわーとか、座りっぱなしは腰いてぇなとか、たわいもないことを話しながら皆ゆっくりと歩いていく。






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