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風待ち港で、君を待つ  作者: 風間 絆
第1章 高校時代

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8/17

合宿準備

10月。

ひたすら校長や教頭に頭を下げ学校内を掃除しまくり、各自が勉強も頑張ることで無事謹慎が解けた弓道部。

また賑やかに部活動を再開し、一泊二日の遠征合宿が楽しみで仕方ない。


1年生女子3人は、服どんなのにするーとか、荷物何持っていく?など事前打ち合わせに浮き足立つ。

お祭り男の1年男子3人組は、宿でトランプしようとか電車の中で食べるおやつ何円分?とか、小学生みたいなはしゃぎっぷり。


これはもう合宿というより泊まりの遠足…


2年生の先輩からは

「1年の男子あほやなぁ」

なんてあきれられ笑われ。

しかしまぁボヤ騒ぎのことを根に持たない先輩でよかった、と胸をなでおろす女子側。


電車チケットの手配を顧問がしてくれ、無事皆の手元へ。


集合場所のJR播州赤穂駅から相生まで行き、そこから新幹線に乗り換え岡山へ。

岡山駅で在来線の快速マリンライナーに乗り換え高松方面へ向かい、目的地は讃岐白鳥駅。

駅近くの白鳥神社に弓道場があり、そこで練習試合が行われる。

宿は近辺の海辺の民宿。小規模の宿ゆえ貸し切りで使えるらしい。

仕出し料理もしているので、食事がおいしいと評判でそれもまた楽しみのひとつ。


出発は体育の日月曜祝日の前の日曜日。


「もう少しだね!」

指折り数えて心待ちにする。


学校が終わり家に帰ると、美久はお風呂で念入りに長い髪をトリートメントケアし、寝る前にはパックで肌のお手入れ。

「大珂あんなに肌きれいだから、私も負けていられない」


えっ、そこ??

湧き上がる妙な負けん気。


「大珂色素薄いんだよなー、あんなに海行ってお父さんの手伝いしたり紫外線浴びてんのに全然焼けないし。私はすぐ黒くなるのに」


なんか使ってんのかな、化粧水とか。

今度合宿の時追求してみよう。


ネットで服も注文して、新しいパーカーと薄手長袖のTシャツを用意した。空色パーカーとオレンジTシャツ。長Tは少し首元はゆったりしていて、リボンを結ぶちょっとデザインの変わった服。

合宿だからカジュアルめだけど、少しかわいさも出したかった。


「よかった、合宿中私服OKで」


弓道部はユニフォームが道着なので、移動中用の指定ジャージなどはないのだ。

顧問曰く、部員数もさほど多くはないから、他の部のような赤穂高校〇〇部みたいな刺繍を施したおそろいユニフォームとかは費用がかかるから作らないと。

移動の際は長い弓を持ち歩くから動きやすい服装がいいし、と迷ったあげくスマホポチって購入した。


学校のメンバーと、学校外で私服で集まるという特別感。

そりゃ大珂とは普段から私服見慣れてるけれど、だからこそいつもとちょっとだけ違う感を出したかった。

みかん農家の娘であり自転車使うことも多いから、どうしても動きやすいラフな格好ばかりで女の子らしい服装をすることなく15年生きてきた。

スカートなんて制服ではくくらい。

だからこそ、パステル調のかわいらしい色調やリボンといった小物づかいで、女子力アップを狙ってみたかった。



お願い


私をひとりの特別な女の子としてみて


幼なじみとか


他のクラスメイトと同じようにじゃなく


大珂にとって特別な存在になりたい



だから…


がんばるっ


自分磨きを



私が大珂を男らしくなったなって思うように


美久ってこんなにきれいだったっけって


思われたい


思われたいのよ



なまじ側にいるだけに


勢いで告るとかできないもどかしさ



慎重に慎重をかさね


よくよく観察して


タイミングを狙ってるの



弓道で矢が的中するように


確実に心を射止めたい



「わっ、もう12時過ぎてる!お肌のために早く寝よう」


眠って起きたら合宿の日が1日近づく。


楽しみなイベントって準備してる時が一番楽しいかもしれない。




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