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風待ち港で、君を待つ  作者: 風間 絆
第1章 高校1年生

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恋心

高校生は、急に大人に近づいた気がする。


男子は背も伸びるし筋肉もついて、たくましくなる。


異性として意識してしまうのは、思春期特有のものだろうか。



今までとは何かが違う



美久は幼なじみをそう感じていた。


けれど、それをうまく言葉にできないもどかしさ。




部活は弓道部に入った。


大珂が入部したのも一員としてあるが、純粋に日本的なものに興味があったから。


神社も好きで、氏神様である坂越の大避(おおさけ)神社にも足繫く参拝している。



弓道部新入部員は全部で六人、男女半々。


大珂、まゆみ、美久、洋子、智之、ノリ


それぞれ1組、2組、3組に振り分けられていた。


各クラスにふたりづづ。



美久は隣のクラスということもあり、通学も一緒なので大珂のいる1組にはしょっちゅう顔を出していた。まゆみとも気があいよく話す友達になっていた。


まゆみはきりっとした顔の美人で、こげ茶色(地毛)なサラサラセミロングを軽く束ねている。

性格は明るく活発で、誰とでも打ち解ける積極的なタイプ。

先輩たちの受けもよく、部内で自然と1年生グループのリーダー的存在になっていた。

それもそのはず、中学校時代は生徒会長もしていたらしい。

同じ中学の智之がそう教えてくれた。

背も高く、大珂と並んでも引けを取らない。



ある日の昼休み、美久は洋子とお弁当を食べようとして気付く。

「あっ、熱中症予防に大珂にも冷凍みかんゼリー渡してあげてって頼まれてたんだわ。ちょっと持ってってくるね。はい、洋子にもあげるー」

「ありがとー♪今年異様に暑いもんね、お母さん優しいな」

「工場に賞味期限切れ間近の在庫があったから捌きたいみたいw」


冷え冷えジップロック袋を片手に隣の教室へ。


あっ、いたいた

「たいが…」


声をかけようとすると…既に昼食を食べ終え男友達たちと歓談しているところにまゆみが輪に入り。

話始めると窓から風が


ぶわっ


葉っぱが大珂の髪の毛にひっつく。

それをまゆみは取って大珂に見せ、ふたりは笑っていた。



ズキっ



ん?



胸のあたりがチクリ。



「あっ、美久ー」

手を振り呼ぶまゆみの明るい声で我にかえる。


「これお母さんが熱中症予防に渡してって。みんなも食べて」

「いいの?ありがとう!」

まゆみやまわりの男子が喜んで手を差し出す。

「マジサンキューっ。美久ちゃんみたいな幼なじみいて大珂超うらやましい」

「そうか?こいつ幼稚園の時おねしょするは肝試し怖くて歩けんくなっておんぶしてかえるは、めちゃめちゃ世話やけるぞ?」

「そんな昔のこと掘り返すのほんとやめて」

思わず苦笑。

「じゃあ洋子待ってるからいくわ」

「あ、わたしも行くー。今日まだ洋子と会ってない。洋ちゃん癒し」


洋子は小柄なこちらは美少女タイプ。小動物のようなかわいらしさがある。

黒髪のボブで目がパチッと大きく、まつ毛も長い。

性格は少し天然なところがあり、まわりをふわっと包み込むよう雰囲気がある。


今年の弓道部はかわいい子揃いと上級生からも噂になっている(らしい)

かく言う美久も、ナチュラルにわりとかわいいほう(だと自負している)

例えるならアイドル系?

洋子ほどではないがパッチリした二重の瞳はこげ茶色で、肌は白く長く艶やかな黒髪をおろしている。


「ねえ、美久と大珂君ってつきあってんの?」

「え⁉何突然」

教室を出ると、ド直球で聞いてきた。

これが彼女の魅力でもあり、怖いところでもある。

基本裏表がない性格なのだ。

「だっていくら幼なじみだからって、仲良すぎるなー、と思って」

「そんなことないよ、こんなもんでしょう」

「じゃあさ、もし大珂君に彼女できたらどうすんの?今みたいにちょろちょろしてたら彼女からしたら嫌なんじゃない?」



大珂に彼女…


そんなこと考えたこともなかった。



「その時は…その時だよ」

強がってそう言うも、意気消沈。

「じゃあさ、私が彼女になりたいって言ったら?」

「えっ?」



そんなの、かないっこないじゃん…



顔面蒼白。


「なーんて、冗談よ冗談!私は別に大珂くんおもしろいとは思うけど、つきあいたいとは思わないし。でも気を付けたほうがいいよ?弓道部の先輩たちにも人気だから」

「そうなの⁉」



なんで大珂が?


大珂なのに…


どこにでもいる普通の男子で


格別人を惹きつけるものなんてないはず



「美久は近くにいすぎてわかんないんだよ。背も高いし整ったきれいな顔してるし、結構優しいし。人懐っこいから誰とでも分け隔てなく話すし、好印象だよ?」

「…そんなもんなのかな」


確かに中学時代から、まわりでは恋の悩みとか実際つきあい出す子たちとか、徐々に増えだしていた。


だけど実際自分ごととは捉えていなかった。


大珂にも自分にも、アプローチしてくる人もいなかったし。




「それはまわりがふたりはつきあってると思ってたからじゃない?」

まゆみも含めて三人の女子トーク。

洋子の意見にまゆみもうなづく。

「美久ちゃんはどうなん?大珂くんのことどう思ってるん?」

「……えーっと……」

突然そんなこと聞かれても答えられない。

「じゃあ部活の時答え聞くから宿題ね!」

そう言い残しまゆみは去っていった。



何が一体どうなってるんだ



高校生になり人間関係が変わるとともに、風向きが変わりつつある15歳の初夏。



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