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ただの人形が天才魔術師になるまで  作者: 戸崎猫男
第3章:ダンジョン攻略編〜ただの人形がA級魔術師になるまで~
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第68話(後編) 希望



                 1



リドールは大量の汗をかきながらも、風竜ヴェレオンと対峙する。

ヴェレオンは現在、五つのスキルを同時発動している。


現実的に考えてみれば、勝率は0に等しい。

だが、リドール側には剣豪と大賢人(師匠)がいる。


その影響で戦力が増し、勝率が少し上がったのだ。

だからまだ希望は残っている。




※リドールの現在のチームメンバーおさらい。

1.リアバ・ユリアーナ

2.ウリエ・プリアル

3.ライム・ルストリア

4.リドール

5.オリア・プライゾン

6.クァール・プライゾン




「カールさん!」

「ああ!!

風剣術、第六術《風竜獄痛斬死アイオロス・ドゥアムトエフ》!!」


風剣術、第六術《風竜獄痛斬死アイオロス・ドゥアムトエフ》。

この剣術はクァールが所持する名前がついている伝説の剣を超えた神話級の風剣ヴォルテクニクスの必殺奥義である。


通常、風剣術はたとえ伝説の風剣だとしても最大で第五術までしか使えない。

だが風剣ヴォルテクニクスの場合、風竜王の毛から作成された物だから神話級とされ、特別に第五術を超えた必殺奥義の第六術を使えるのだ。


そう、これは"必殺"。

必ず殺すのだ。


それがたとえ、どんなスキルで守られていても。


「グアアアアア!!」


竜の叫びがダンジョン内に響く。

これはヴェレオンの叫び声である。


『貴様らぁあ!!』


もうすでにヴェレオンの怒りは限界に達していた。

スキルで自身を守っているはずなのに。


それなのに痛みを感じる。

強さ的には確かにヴェレオンの方が有利だ。


だが、そんな完璧なヴェレオンにも欠けているところがある。

それは"頭脳"。


たとえ異常なほどの強さを持っていたとしてもその力をどこまで引き出せるかが問題だ。

その頭脳によってもしかすると限界を超えるかもしれない。


つまり、"頭脳"的にはリドール側に分がある。


「ヴェレオン、アンタの欠点は"頭脳"だよ!」


唐突にオリアがヴェレオンにそう言った。

彼の言葉に対してヴェレオンは頭に来た。


『お主、我を罵倒しておるのか!』

「罵倒なんかしてねぇよ。ただ事実を言っただけさ」

『調子に乗るなこのクソ野郎が!!』

「おっと、そんなこと言って大丈夫かな、ヴェレオン?」

『どういうことだ!』

「お前が発動したスキル《一切巻き戻しレウィンド》の亜種スキルを俺は持っているんだ。

それを今から発動する。発動して欲しくないのなら、先ほどのことを謝罪しろ」

『この我がするとでも?』

「はあ、言うと思ったよ。

わかった。じゃあ発動するぞ?」

『ああ、なんでも来い』

「スキル《全戻し》」

『は?おいちょっとま――』


ヴェレオンの声が途中で途切れる。

スキル《全戻し》。


スキル《一切巻き戻しレウィンド》に唯一対抗できるスキルである。

能力は対象の全てを戻す。


記憶も。思い出も。力も。スキルも。ステータスも。魔法も。精神も。年齢も。体も。

全てを、全てをゼロに戻す。


そのため、このスキルの対象は赤子に戻ってしまうのだ。


「バブーバブー」

「これ、どうする?」

『自分が殺します』



                 2



「ちょいちょいちょいリドール!早まるな!!」

『だって、ヴェレオンを殺さないとご主人様が!』

「それはわかっているけどさ!流石にちょっと可哀想だよ!!」

『どこが可哀想なんですか!ヴェレオンは生き物を殺しまくっているんですよ!?』

「そうかもしれないけどさ‥‥‥‥」

『じゃあ、殺しますね』

「――わかった」


そしてリドールは黒のナイフを取り出した。

グッと握りしめながら、振り下げる。


次の瞬間、赤子の竜となったヴェレオンの周りには大量の血が流れていた。

無論、ヴェレオンは息をしていない。


リドールの持っている黒のナイフには、血がついていた。

ナイフの色が黒の影響か分からないが、とにかく赤い血が目立っていた。


リドールの服には返り血が――ヴェレオンの返り血がついている。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます!

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