第69話 初めての敗北、そして死
〜ヴェレオン視点〜
愛菜、其方はやはり賢かった。
いつも、賢い判断をしていた。そしてその判断は我のためにしてくれていた。
さすが高い知能を持つイセカイジンだと言うべきか‥‥‥‥‥‥ははっ。
我は‥‥‥俺はもう死ぬのか、ここで。
初めての敗北だ。そして初めての死だ。
嫌だなー。死にたくないなー。
でも死には逆らえない。
それは知っている。
だとしても、死にたくない。
もっと生きたい。もっと生きて生きて生きて生きて生きたい!
‥‥‥‥‥‥‥‥でも、もう遅いみたいだ。
愛菜、もう君とはさようならだ。
きっと君には俺よりも相応しい、『特別な人』がいるはずだ。
だから、いつか‥‥‥‥‥天国でも良いから‥‥‥‥‥‥‥‥‥その人会わせて‥‥‥‥‥‥‥‥くれ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
ヴェレオンは自身の願いを言葉にし、安らかに眠った。
死は、敗北は、彼にとって初めての経験であった。
〜リドール視点〜
ヴェレオンの体がチリになってどんどん空へ逝っていく。
‥‥‥‥‥‥死んでしまったのか、ヴェレオンは。
ヴェレオンはとても勇敢だった。まさに漢だった。
でも、そんなヴェレオンはもういない。この世には‥‥‥‥‥‥‥‥
きっとあの人は天国行きなんだろうな。
‥‥‥‥‥‥‥‥自分にはそんな日は来ないのかな?
自分は人形だ。 そんな簡単には死なない。
勿論、寿命だってない。戦死したとしても魔法やスキルなどを駆使すればどうにか生き返るはずだ。
でもそれは逆に考えると死ねないということだ。
死ねないのは幸せか?‥‥‥‥‥否、幸せなわけない、不幸だ。
ずっと死ねない。それ即ち、不死ということだ。
周りはどんどんあの世へ逝く。きっとご主人様も死んでしまうだろう。
それなのに自分は永遠にのうのうと生きる。
そんなのただのクソ野郎じゃないか。
‥‥‥‥‥‥‥‥まぁただ、今はそんなこと考えている場合じゃないか。
この件はまた今度に考えよう。
リドールに天の声が話しかける。
【名前:リドールが名前:ヴェレオンを討伐したことにより、名前:リドールのLvが1から64になりました。
続けて、スキル《無慈悲》を獲得しました。スキル《無慈悲》を獲得したことにより称号『無慈悲の魔物』を獲得しました。さらに、躊躇なく名前:ヴェレオンを討伐したことにより、称号『無慈悲殺し』を獲得しました】
へぇ。そうなのか。ふーん。とリドールはどうでも良さそうに天の声に返答する。
もう彼女の心はズタボロになっている。
なぜなら、躊躇なく生物を殺したのだから。
それに酷く彼女は後悔している。
そんなリドールの前に、アイテムが落ちる。
おそらく、ヴェレオンを討伐したことによりドロップしたアイテムだろう。
だが、そんなものはもういらない。
リドールは決心したのだ。もう自分は完全な魔物になってしまった。
だからここまで来たら最後まで悪役として世界を滅亡させてやる、と。
だからと言って親的な存在のリカエルを放っとくわけにはいかない。
なのでせめてもの思いで、このドロップアイテムは渡そうと思った。
そしてそれぞれ解散となり、リドールは家に帰った。
だがリビングにはリカエルはいない。
おそらく寝ているのだろう。
なら手紙を残してこのドロップアイテムである薬草も置いていこう。
そう思いリドールは置き手紙と全治の薬草をリビングの食卓に置いていき、どこかへ行ってしまった。
その後、リカエルは置き手紙を読み号泣した。
そしてしっかり全治の薬草を接種しながら今も生活している。
これは、今から約10年前のことである。
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作者からの一言
「なんか、どんどんリドールが闇落ちしていっているんだけど」




