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『等価交換の創造無双 〜ジャージ姿の俺、悪意を燃料に最強兵器を創り出す〜』  作者: beck2026
第2章:管理者の実地研修(フィールドワーク)

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第93話:路地裏の「綻び」

武具店を後にしたカイトとリアは、リスタの街の中央広場へと向かった。

そこには冒険者ギルドのような殺伐とした空気はなく、代わりに日々の生活に追われる市民たちの喧騒が満ちている。

カイトが探しているのは、魔物討伐のような華やかな手柄ではない。

人々の生活の中に潜む、小さく、それでいて無視できない「不便」の数々だ。

「……リア。五感を研ぎ澄ませ。……人々が漏らす溜息や、不満の声を拾い上げろ。それが今の俺たちにとって、最も価値のある情報源だ」

「……了解しました、カイトさん。……周囲五十メートル以内の会話を聴覚で捕捉。……井戸の汲み上げが悪くなっている、荷車の車軸が軋んでいる、教会の雨漏りがひどい……といった『綻び』が多数検出されています」

カイトは広場の隅にある、古びた共用井戸の前で足を止めた。

一人の老婆が、重い手応えに顔をしかめながら、必死に縄を引いている。

「……貸しな。俺たちが代わってやる」

「おや、すまないねぇ……。最近、この井戸の滑車が重くてかなわないんだよ。若い衆に頼むのも気が引けてね」

カイトは老婆から縄を受け取ると、一気に水桶を引き上げた。

そして、老婆が桶を抱えて去るのを見届けた後、滑車の継ぎ目にそっと手を触れた。

「……事象復元。……蓄積した錆をパージし、磨耗した回転軸の構造を本来の滑らかさに書き換えろ」

【魔法発動:事象復元リペア ―― 公共物の微細な修復】

昨日、命を懸けて戦った魔力。

それを、たった一つの滑車を直すために、惜しげもなく注ぎ込む。

目に見える派手な変化はないが、指先に伝わる金属の軋みは消え、滑車は羽のように軽く回るようになった。

「……ありがとうよ、お兄さん! 助かったよ。あんたたち、いい冒険者だねぇ」

老婆の何気ない感謝の言葉。

その瞬間、カイトの胸の奥に、確かな重みを持った「光」が宿るのを感じた。

【感謝ポイント:10 pt 獲得】

【現在の累計:45 pt】

「……ハッ。狼を十匹倒して手に入るポイントと、井戸の滑車を一つ直して得るポイント……。効率だけを見れば、こちらの方が遥かに健全だな」

「……肯定します。……肉体への負荷も低く、かつ周囲の好感度という名の無形の財産を蓄積できます。……カイトさん、次はあちら。……車輪が外れて立ち往生している商人の荷車です」

二人はそれから数時間、街のいたるところで「小さな奇跡」を振りまいた。

壊れた扉の蝶番を直し、歪んだ鍋の形を整え、動かなくなった機織り機の部品を再生させる。

一つ一つの報酬は銀貨にも満たない、老婆がくれた干し肉や、商人が手渡してくれた安物のパンだけだ。

だが、夕暮れ時になる頃には、カイトの脳内には心地よい通知が積み重なっていた。

【感謝ポイント:累積 125 pt 到達】

「……よし。これで、また一つ『上』へ行けるな。……リア、宿に戻るぞ。今日の成果を、俺たちの身体に注ぎ込む時間だ」

「……はい、カイトさん。……街の人々の視線が、昨日とは明らかに違います。……恐怖や畏怖ではなく、親愛。……これもまた、この世界のシステムを味方につけるための、有効なハックですね」

二人は夕闇に染まるリスタの街を、軽やかな足取りで歩いた。

昨日の満身創痍の姿はもうない。

手にした銀貨以上に重い「信頼」と「ポイント」を抱え、管理者の旅は着実に、その地盤を固めつつあった。

不自由な世界を、一歩ずつ自分の色に塗り替えていく。

その泥臭いプロセスこそが、今のカイトにとって最高の娯楽だった。

最後まで読んでいただきありがとうございます!

もしこの「ジャージ管理者の等価交換ファンタジー」を面白いと思ってくださったら、ぜひ評価の「星」やブックマークで応援していただけると、カイトの魔力と作者のモチベーションがリペアされます!

よろしくお願いいたします。

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