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『等価交換の創造無双 〜ジャージ姿の俺、悪意を燃料に最強兵器を創り出す〜』  作者: beck2026
第2章:管理者の実地研修(フィールドワーク)

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第89話:生還の対価

西の森の境界線。日没が迫り、空が燃えるような茜色から深い紫へと沈んでいく頃、二つの影が這うようにして街道へ現れた。

一人は、かつての鮮やかな紺色が泥と狼の返り血で黒ずみ、折れた枝を杖代わりにして歩くカイト。

もう一人は、メイド服の片袖を失い、脇腹を庇いながらもカイトの身体を支えるリアだ。

二人の歩みは遅い。一歩踏み出すごとに、使い果たした魔力と酷使した筋肉が、焼けるような痛みを脳へ伝えてくる。

「……リア、あと少しだ。……街の門が見える。……足を、止めるな」

カイトの声は、砂を噛んだように掠れている。

全能の力を失った今、たった数匹のアイス・ウルフとの死闘ですら、彼らの命をここまで削り取った。

管理者のプライドなど、とっくに森の泥と血の中に沈んでいた。

「……はい、カイトさん。……門番が、こちらに気づきました。……もう、大丈夫です」

街の入り口で、交代を待っていた門番たちが、ボロボロの二人組を見て慌てて駆け寄ってくる。

「おい、あんたたち! 何があったんだ! まさか、その怪我は……」

門番の叫び声を背中で聞き流し、カイトは無言で門をくぐった。

向かう先はただ一つ。冒険者ギルドだ。

ギルドの酒場は、仕事を終えた冒険者たちで賑わっていた。

笑い声と安酒の匂いが充満する中、血と獣の臭いを纏った二人が足を踏み入れた瞬間、その場が水を打ったように静まり返る。

「……おい、今朝のジャージの新人じゃないか」

「……冗談だろ。あのボロボロ具合……何を見てきたんだ?」

嘲笑の声はすぐに消えた。

カイトの瞳に宿る、死線を越えた者特有の冷徹な光が、野次馬たちの言葉を封じ込めたからだ。

カイトはよろめきながら受付カウンターへ辿り着き、震える手で鉄のプレートを差し出した。

「……報告だ。……アイス・ウルフ……十匹。……討伐を完了した」

朝、不敵な態度を見せていた受付嬢が、息を呑んでカイトの姿を見つめる。

彼女は言葉を失ったままプレートを受け取り、魔導検知器リーダーに載せた。

「……確認したわ。……アイス・ウルフ十匹。間違いなく、全部あんたたちが仕留めたログね……」

検知器が刻むログは、偽りのない「十匹」という数字を示していた。

だが、その数字以上の重みが、二人の傷跡から伝わってくる。

新人が、たった二人で、それも一日で十匹。

それは、偽造など必要のない、文字通りの「死闘」の結果だった。

「……信じられない。……新人が初日にやる仕事じゃないわよ。……でも、確かにやり遂げたのね」

受付嬢の言葉には、皮肉も軽蔑もなかった。

そこにあるのは、死地から這い戻った戦士への、純粋な驚きと敬意だ。

「……報酬を、くれ。……それと、このプレートの処理もな」

「ええ……。依頼報酬、銀貨五枚。それに討伐奨励金を加えて……合計で銀貨八枚よ。……よく生きて帰ったわね。すぐに治療院へ行きなさい」

カイトは重い銀貨の袋を掴み取り、そのうちの半分をリアに預けた。

手に入れたのは、わずか銀貨八枚。

かつて彼が動かした巨万の富に比べれば、あまりにも小さく、あまりにも手に入れがたい対価だった。

「……行くぞ、リア。……宿へ帰る」

「……はい、カイトさん……」

二人は周囲の視線を突き抜けるようにして、ギルドを後にした。

足取りは依然として重く、身体のあちこちが悲鳴を上げている。

だが、宿への帰り道、カイトは静かに笑った。

「……ハッ、……たった八枚の銀貨が、これほど重いとはな……」

全能を失い、地べたを這い、一匹の獣に殺されかけながら手に入れた報酬。

それは、神様が用意したこの「不自由なゲーム」において、カイトが初めて自分の力だけで手に入れた、本物の「実績」だった。

最後まで読んでいただきありがとうございます!

もしこの「ジャージ管理者の等価交換ファンタジー」を面白いと思ってくださったら、ぜひ評価の「星」やブックマークで応援していただけると、カイトの魔力と作者のモチベーションがリペアされます!

よろしくお願いいたします。

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