第70話:防衛網のデバッグと、国境のノイズ
「……カイトさん。休む暇もありません。……隣国『バルディア帝国』の辺境伯軍が、我が街の『岩塩採掘場』と『魔導インフラ』を接収するため、騎士団を動かしました。……数、二千。……あと三日で国境を越えます」
リアが、震える指で軍事地図を広げた。
商業ギルドという内部の腫瘍を取り除いた途端、今度は外部からの物理的な侵略という、さらに巨大なバグが押し寄せてきたのだ。
「……二千か。……個人商会の防衛許容範囲を完全に逸脱した、過剰なアクセスだな。……領主の軍勢はどう動いている?」
「……領主様も騎士団を集結させていますが、数は五百が限界です。……『この街は、今やカイト殿が半分守っているようなものだ。共に戦ってほしい』と、要請が来ています」
カイトは窓の外、黄金の障壁に守られた平和な街を見下ろした。
せっかくリペアした街が、他国の野心によって再び破壊される。それは管理者として、最も許容し難い損失だ。
「……バルカ。クラン『リペア・オーダー』の全分隊に告ぐ。……これより、街の外縁部を『絶対防衛圏』として再定義する。……相手が軍隊であろうと関係ない。……私の管理領域に、許可なく土足で踏み入るノイズは、一粒残らず排除する」
「……待ってました! ……二千だろうが、カイト様の魔法と俺たちの装備があれば、ただの的ですよ!」
バルカが拳を鳴らす。
カイトは空間庫から金貨10枚を取り出し、軍事地図の上に置いた。
「……リア。感謝ポイントの残量を確認しろ」
「……はい。現在、189,682 pt あります」
「……十分だ。……150,000 ptを投入し、術式『重力操作』の有効範囲を街の街道全体にまでリペア(拡張)しろ。……さらに、金貨10枚を対価に、街道の地面そのものを『侵入者のみに反応する底なし沼』へと書き換える」
【感謝消費:150,000 pt ―― 重力操作の広域展開・定義拡張】
【物質消費:金貨 10枚 ―― 街道の物理属性リペア】
「……二千の兵を一度に相手にするのは、時間の無駄だ。……彼らが国境を越えた瞬間、一歩も進めない絶望をリペア(提供)してやる」
カイトの瞳に、計算通りの冷徹な光が宿る。
これまでの商業的な争いから、国家規模の軍事防衛へ。管理者の職務範囲は、さらに拡大していく。
【検知:侵略を企てるバルディア軍からの慢心と欲:+55,000 evil】
【検知:カイトの防衛宣言に安堵する領主と騎士たちからの信頼:+45,000 pt】
カイトは、ジャージの自動洗浄機能で微かな埃を払い、国境の彼方を見据えた。
(第70話 完)
【現在蓄積リソース:84,682 pt / 180,490 evil】
【所持金:金貨 2枚】
【状況:隣国軍二千の侵攻を検知。広域重力魔法と街道のリペアで迎撃準備完了】
ここまで読んでくださって、本当にありがとうございます!
カイトさんは今、集まってきた「悪意」をどうやって「ポイント」に変えようか、とっても怖い顔で計算しています……。
もしよかったら、下の【☆☆☆☆☆】をポチッとして、私と一緒にカイトさんに【感謝】を届けていただけませんか?
皆さんの応援が、カイトさんの魔法をもっともっと強くしてくれるはずです!
よろしくお願いしますっ!




