第69話:崩壊の序曲と、悪意による再定義
「……カイトさん! 街の地下から、異常な魔力の逆流を感じます! 商業ギルドの地下深く、隠されていた古代の魔導炉が暴走を始めました!」
リアの叫びと同時に、大地が激しく鳴動した。
領主による特権剥奪を受け入れたふりをしていたギルドの長たちが、自暴自棄となり、街の維持装置でもあった魔導炉の安全装置を破壊したのだ。
「……損得勘定もできないほどに理性を摩耗させたか。街という資産を丸ごと廃棄しようとするなど、管理者として看過できないエラーだ」
カイトはジャージの襟を立て、「周囲探知」を最大出力で地下へと投射した。
網膜に映し出されるのは、不規則に脈動し、臨界点を超えようとしている巨大な破壊エネルギーの塊。
「……リア。バルカ。街の避難は必要ない。そんな非効率な時間をかけるより、この『負のエネルギー』をもって、破壊の因果を上書きする」
カイトは執務室の床に手を突き、蓄積された黒い輝き――悪意ポイントのログを呼び出した。
「『大系』の強制書き換え。……対価は【悪意】。蓄積された 200,000 evil を全量投入。……暴走する地下魔導炉のエネルギーを、そのまま街全体の恒久的な障壁と魔力供給源へとリペア(再定義)しろ」
【悪意消費:200,000 evil ―― 都市基盤の再定義】
凄まじい衝撃波が街を襲うかと思われた瞬間、地下からの振動が、心地よい柔らかな光へと変貌した。
ギルドの地下で自爆を待っていた長たちは、爆発が起きる代わりに、自分たちの秘蔵の魔導炉が「カイト商会の管理下にある公共インフラ」へと書き換わっていく光景に絶望し、その場にへたり込んだ。
「……な、なんだ。爆発しないどころか、街の空気が清浄化されていく……」
「……リペア完了だ。商業ギルドという不純物は、もはやこの街の動力源としてしか機能しない。……領主、あとの後始末は任せる。彼らの私有財産は、すべて今回の修理費として没収しておけ」
領主は、空を覆った黄金の障壁を見上げ、震える声で頷いた。
「……カイト殿。君は、彼らの憎しみすらも街の糧に変えてしまったのか……」
「……いいえ。私はただ、不効率なエネルギーを最適化しただけですよ」
【検知:全財産と計画を奪われた商業ギルド幹部たちの発狂:+90,000 evil】
【検知:滅亡の危機をそれと知らずに救われた領民たちの安らぎ:+70,000 pt】
カイトは、ジャージの自動洗浄機能で付着した魔力の残滓を払い落とした。
ギルドという名の不条理が消え、街のシステムはかつてないほどクリーンな状態へとリペアされた。
(第69話 完)
【現在蓄積リソース:189,682 pt / 125,490 evil】
【所持金:金貨 12枚(温存)】
【状況:悪意ポイントを使用し、地下魔導炉を掌握。街のインフラを永続化】
ここまで読んでくださって、本当にありがとうございます!
カイトさんは今、集まってきた「悪意」をどうやって「ポイント」に変えようか、とっても怖い顔で計算しています……。
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