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『等価交換の創造無双 〜ジャージ姿の俺、悪意を燃料に最強兵器を創り出す〜』  作者: beck2026
第1章 等価交換のオーバーフロー 〜ジャージ姿の男、完璧な街を創って飽きる〜

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第20話:ちょっとした贅沢と、次の儲け話

水路の掃除を終えたカイトは、宿へ戻る道すがら、夕飯のおかずを多めに買い込んでいた。

住民たちから感謝ポイントをたっぷりもらったおかげで、今のカイトの心には少しだけ余裕がある。

銀貨も19枚まで増えた。この世界に来てから、ようやく「小金持ち」と言えるくらいの暮らしができるようになってきた。

「……さて。今日は感謝ポイントも貯まったし、新しい魔法を仕入れておくか」

宿の自室に戻ったカイトは、ベッドに寝転びながら、頭の中に浮かぶ魔法のリストを眺めた。

この世界の常識がどうあれ、カイトというシステムが課したルールは明確だ。永続的な「魔法」を自分のものとして刻むには、人々からの【感謝】を対価として支払わなければならない。

カイトが選んだのは、探索や戦闘の利便性を高める、実用的な魔法だった。

【決定:感謝リソース 600 pt を消費します】

【習得完了:感覚同期魔法「エコー・ロケーション」を記憶しました】

その瞬間、頭の奥に冷たい水が流れ込むような感覚がした。

目をつむって意識を集中させると、自分を中心に微細な魔力の波が円状に広がっていくのがわかる。

壁の向こう側で宿の主人が帳簿をめくる音、隣の部屋で冒険者がいびきをかきながら寝返りを打つ振動。それらが地図のように、カイトの脳内に立体的なイメージとして描き出された。

「……なるほど。これなら視界の悪い場所でも、敵の配置を事前に把握できるな」

カイトは「空間庫」から魔導銃『等価の天秤』を取り出し、その手触りを確かめた。

新しい魔法のおかげで、周囲の空間そのものが自分の掌の中にあるような感覚だ。

わざわざ目視しなくても、物陰に隠れた的がどこにいるのかが直感的にわかる。そんな確かな手応えがあった。

翌日、カイトは意気揚々とギルドへ向かった。

ジャージ姿の男が掲示板の前に行くと、いつものように周囲がざわつく。

だが、今のカイトはそんな視線も「あ、またリソースの種が蒔かれたな」くらいにしか思っていない。

「あ、カイトさん! お疲れ様です。昨日は素敵な仕事をしてくださったみたいですね」

窓口へ向かうと、いつもの受付嬢がにこやかに声をかけてきた。

彼女はカイトが水路をピカピカにした噂を住民から聞いたようで、感心したように目を細めている。

「いえ、掃除は得意な方ですから。……ところで、何かおすすめの依頼はありませんか? あまり小難しくなくて、スカッとするようなやつ」

「それでしたら、ちょうど良いものがありますよ! 街の近くの農村で、害獣が暴れて困っているそうなんです」

カイトが受け取ったのは、北の村からの依頼書だった。

大きな牙を持ったイノシシの群れが畑を荒らしまわっていて、村人たちが泣きついているという。

「原因不明の呪い」だの「複雑な陰謀」だのといった面倒な話は一切ない。

ただ行って、暴れている魔物を追い払えば、村人たちは手放しで喜んでくれる。そんな分かりやすい仕事だ。

「いいですね、そういうの。早速行ってきます」

「はい、期待していますね。お気をつけて!」

カイトがギルドを出ようとすると、またいつものように『轟雷の牙』の取り巻きたちが道を塞いできた。

彼らはカイトが着実に実績を上げているのが気に入らないらしく、わざとらしく舌打ちをする。

「おい、次はイノシシ退治か? ジャージをボロボロにして、泣きながら帰ってくるんじゃねえぞ」

一人が意地悪そうに笑うが、今のカイトは「エコー・ロケーション」を無意識に走らせていた。

相手がどこに重心を置き、次にどちらの足を踏み出そうとしているのか、空気の振動を通じて手に取るようにわかる。

そして、彼らが自分に向けて放つトゲのある【悪意】も、カイトのルール上、敵を挫くための力へと変換できる貴重なエネルギー源でしかない。

「あんた、そんなところで油を売ってないで、自分の装備でも磨いておいたらどうだ? 盾の革ベルトが、今にもちぎれそうですよ」

「な、何だと!?」

男が慌てて自分の盾を確かめる隙に、カイトはひらりと身をかわして門へと向かった。

「風走」を使うまでもない。背後からの気配を完璧に把握しているだけで、歩きに迷いがなくなる。

街を出て、北の村へと続く一本道をカイトは軽快に進んでいく。

背後からは、相変わらず『轟雷の牙』の偵察員たちがついてきているのがわかった。

彼らは自分たちがバレていないと思っているようだが、今のカイトの感知能力からは逃げられない。

「勝手についてくる分には構わないが、邪魔だけはしないでくれよ」

カイトはジャージの襟を整え、ポケットの弾丸の感触を確かめた。

新しい力を手に入れて、周囲の状況が驚くほど「視える」ようになったジャージ姿の男。

彼の無双は、もはや難しい理屈など必要としていなかった。

ただ、目の前の問題を片付けて【感謝】を集め、さらに強くなる。

もし邪魔が入れば、その【悪意】を自分のルールに従って力に変え、叩き伏せる。

そんな「ちょっとした成長」の繰り返しが、彼を最強へと押し上げていくのだ。

北の村の入り口が見えてきた。

そこには、泥に汚れ、疲れ切った顔で畑を見つめる農民たちの姿があった。

カイトの視界には、彼らが抱える「困りごと」が、これから手に入る莫大なリソースの山として、鮮明な波形となって映し出されていた。

「……さあ、商談を始めようか」

カイトは「空間庫」から静かに鉄の銃身を取り出し、村の広場へと足を踏み入れた。

【現在蓄積リソース:142 pt(感謝) / 410 pt(悪意:蓄積中)】

【所持金:銀貨 19枚】

【新習得魔法:エコー・ロケーション(感覚同期・周囲探知)】

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