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『等価交換の創造無双 〜ジャージ姿の俺、悪意を燃料に最強兵器を創り出す〜』  作者: beck2026
砂漠の国編

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第191話:帝国国境線と、論理的解門

大砂海の最深部を突き進むカイトの四輪駆動車とキャンピングトレーラーのフロントガラスの向こうに、ついに異様な光景が姿を現した。

 地平線を真っ二つに引き裂くようにそびえ立つ、赤黒い岩石で築かれた巨大な防壁。

 悪魔族の軍事帝国『バル・ザザード』の国境検問所である。

 その防壁の上空には、幾重にも重なる禍々しい紫色の魔力光が膜のように展開されていた。本国から放った精鋭の暗殺部隊(隠密強襲班)が音もなく全滅した報を受け、帝国が国境の「大防衛結界」を最大出力で完全閉鎖したのだ。

「……判定。国境領域における防衛インフラの完全閉鎖を確認。物理的な遮断、および魔力的な排他結界。……想定の範囲内だ」

 カイトは衣服に汚れ一つない漆黒のジャージを纏ったまま、無表情で車を減速させ、防壁の手前数十メートルの位置に停車させた。

「カイト様、お外のバリア、ガル・ラサームの時に見た悪魔族の魔法よりも、ずっと濃くて嫌な匂いがします! 私があの大きな門を叩き割ってきても良いですか?」

 助手席のリアが、ジャージの袖から引き締まった腕を覗かせ、ピンと耳を立てて外を睨みつけた。

 トレーラー内の完璧な栄養摂取により、彼女の筋肉繊維はいつでも防壁ごと結界を粉砕できるだけの熱量を帯びている。

「いいえリア、あんな高度な迎撃結界に生身で触れたら、いくら貴女の頑丈な肉体でも魔力を吸い尽くされて干からびるわよ。カイト、あの結界の周波数、私の調律杖で根底から狂わせて破裂させてあげましょうか?」

 連結通路のドアに美しく寄りかかったエルザが、調律杖を指先で弄びながら、赤い瞳を妖しく明滅させた。

 完全に室温管理された最高級の車内で魔力を極限まで蓄えた真祖の言葉には、一国の防衛線を単独で瓦解させかねない絶対的な説得力が宿っていた。

「……否。エルザの魔力調律は結界を暴走させ、周囲の地脈ごと広範囲の熱核爆発を引き起こすリスクがある。国境を越えた先にある帝国の本国インフラ(道路や座標)を無傷で保全せねば、今後の進軍効率が著しく低下する。非論理的だ」

 カイトは静かにシートベルトを外し、運転席のドアを開けた。

「……これより、最小コストでの『論理的解門』を実行する。リア、外の警戒を」

「はい!」

 カイトが外へ降り立つと、砂漠の熱風がジャージの裾を僅かに揺らした。防壁の上からは、数百人の悪魔族の守備兵たちが、弓や魔導砲の照準を漆黒の車両へと定め、冷や汗を流しながらカイトの動向を注視している。彼らにとって、カイトは二千の同胞を蒸発させた悪夢そのものだった。

 カイトは防壁の結界基部に歩み寄ると、ジャージのポケットから大金貨を数枚取り出し、空間へと提示した。

「……等価交換」

 金貨が淡い光の粒子となって消滅すると同時に、カイトの手元に、現代の最新テクノロジーが凝縮された『高密度魔導回路アナライザー(術式解読器)』が具現化される。

 カイトは無表情のまま、そのデバイステクノロジーを敵の結界の物理的な接合部へと接続した。

 力任せに破壊するのではない。捧げた正当な財貨の価値を利用し、敵の防衛結界の「構造の不備セキュリティホール」を理詰めで割り出すのだ。

 ピピピピッ、とデバイスが電子音を鳴らし、画面に赤黒い結界術式の全構造が文字列となって透過表示される。

「……判定。結界の変調周期に、毎秒零・零二秒の同期不備を感知。――術式上書き。均質化デバッグを実行」

 カイトが指先で解読器の画面をタップした瞬間、上書きされた現代の最適化コードが、帝国の防衛線へと逆流していった。

 パシィィィン!!!

 次の瞬間、防壁の上空を覆っていた禍々しい紫色の巨大な結界が、ガラスが割れるような音を立てて、何一つ物理的な爆発を起こすことなく、一瞬で「綺麗に消滅」した。

 それどころか、上書きされた信号によって、国境の巨大な鉄製の城門が、ガギギギギ……と、まるでカイトたちを歓迎するかのように完全自動で滑らかに左右へと開け放たれていく。

「な……、馬鹿な!? 帝国の誇る大防衛結界が、呪文の詠唱すらなく消されただと……!?」

「門が……勝手に開いていくぞ! 防衛システムを乗っ取られた!」

 防壁の上の守備兵たちが、恐天動地して武器を取り落とし、パニックに陥る声が大砂海へと響き渡る。

 カイトはデバイスをポケットに収めると、衣服に汚れ一つないジャージの袖を払い、再び四輪駆動車の運転席へと乗り込んだ。

「……防衛不備の解消を確認。これより、バル・ザザード帝国の領内へと直進する」

 魔石エンジンが力強く轟き、重厚なキャンピングトレーラーを牽引する漆黒の移動要塞は、完全に無力化された国境の門を堂々と潜り抜け、恐怖に震える軍事帝国の心臓部へと向かって、何一つ速度を落とさずに滑り込んでいった。

最後まで読んでいただきありがとうございます!

もしこの「ジャージ管理者の等価交換ファンタジー」を面白いと思ってくださったら、ぜひ評価の「星」やブックマークで応援していただけると、カイトの魔力と作者のモチベーションがリペアされます!

よろしくお願いいたします。

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