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『等価交換の創造無双 〜ジャージ姿の俺、悪意を燃料に最強兵器を創り出す〜』  作者: beck2026
第2章:管理者の実地研修(フィールドワーク)

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第143話 大樹の復活

ガリガリ、シュッシュ、と不快な金属音が最深部の空気に響き続ける。

 カイト、リア、エルザの三人がかりによる地道な削り出し作業は、それから一時間以上も続いた。

 床には、剥ぎ取られた赤黒い錆の塊が、うずたかく積み上がっている。

「……はぁ、はぁ……っ! カイト様、この辺りは、全部削り落とせました!」

 リアがジャージの袖で額の汗を拭いながら、スクレーパーを引く。

 彼女の奮闘の甲斐あって、球体の大半を覆っていた硬い地層は消え去り、その下から瑞々しい樹皮が完全に露出していた。

「……エルザ、最後の洗浄液をそこに回せ。……仕上げだ」

「分かったわよ……! これで、本当に最後ね!」

 エルザが調律杖を掲げ、ボトルの残りの酸性液を均等に散布する。

 シュワシュワと微かな泡を立てて最後の薄い膜が溶け出した瞬間、カイトは手にしたワイヤーブラシを強く横に引いた。

 パキィン!

 まるで硬い氷が割れるような美しい音が、最深部に響き渡る。

 次の瞬間、赤黒い錆に覆われていた世界樹の『命の核』が、本来の姿を取り戻した。それは、見る者の目を奪うほどに深く、澄み切ったエメラルドグリーンの光を放つ巨大な結晶体だった。

 ドクン――!

 それまで苦しげに震えていた核が、一度、大きく深く脈動した。

 地鳴りのような重低音と共に、最深部から天井へ向かって、目に見えるほどの濃密な緑の光の粒子が、凄まじい勢いで駆け上がっていく。

「……判定。不純物の完全除去、および魔力循環の正常化を確認。……これで目詰まりは起きない」

 カイトは手にしたブラシと工具を、等価交換の感覚でジャージのポケットへと収めた。

 彼の漆黒のジャージは、飛び散った酸性液や錆の粉を自動洗浄機能で弾き飛ばし、相変わらず新品のような鈍い光沢を保っている。

「……んっ、ぁ……」

 突然、エルザがその場にへたり込み、自身の胸元を強く押さえた。

「エルザさん!? 大丈夫ですか!?」

 リアが慌てて駆け寄るが、エルザは驚いたように自分の両手を見つめ、それから信じられないといった様子で顔を上げた。

「……違うの、リア。痛みが……消えたわ。大樹の魔力が正しく循環を始めたせいで、この土地全体の魔導の歪みが直ったのよ。私の魔力回路の呪いが……驚くほど静かになっているわ」

 いつもどこか苦しげだった彼女の表情に、本当の安堵が広がる。

 カイトはその様子を淡々と見つめながら、最深部の出口へと歩き出した。

「……当然だ。土地の基盤が腐っていれば、そこに住む者の体調にも不備が出る。……行くぞ。王が上で待っている。……正当な対価を受け取りに行く」

 王宮の謁見の間に戻ると、そこは先ほどとは比べ物にならないほどの歓喜に包まれていた。

 窓の外を見れば、里の枯れ木が一斉に青々とした緑の葉を茂らせ、干上がっていた小川には並々と清流が満ち溢れている。

「おお……! 戻られたか、異邦の職人よ!」

 エルフの王が、玉座から立ち上がり、自らカイトたちの元へと歩み寄ってきた。その顔には、かつての傲慢な王としての影はなく、一人の管理責任者としての深い感謝の念が浮かんでいた。

「里の全域から、大樹の息吹が完全に蘇ったとの報告が届いている。……お前たちの成した仕事は、我が国の歴史に永遠に刻まれるだろう。さあ、約束の報酬だ」

 王の合図と共に、数人の衛兵が、まばゆい光を放つ緑色の特大の結晶――最高純度の『魔導結晶』がぎっしりと詰まった木箱を運んできた。

「……判定。提示された重量を十分に満たしている。……等価交換の触媒、および今後の資金源として、正当に受領する」

 カイトは木箱に手を触れ、そのすべてをジャージの背負い袋の空間へと格納した。

 これで、ポート・ルミナス編におけるカイトの懐事情とリソースは、格段に跳ね上がったことになる。

「……これにて、エルフの里の修理は完了だ。……伝統を重んじるのは勝手だが、定期的な掃除を怠るなよ、王よ」

 カイトは最後にそう言い捨てると、引き止める王や貴族たちの声を背に、迷いのない足取りで謁見の間を後にした。

「カイト様、次はどこへ向かうんですか?」

 リアが嬉しそうに足取りを軽くして隣を歩く。

「……決まっている。この結晶を元手に、さらに効率的な装備と物資を整える。……俺たちの研修は、まだ終わっていない」

 漆黒のジャージを纏った三人の影は、完全に蘇った黄金の里の光を浴びながら、次の目的地へと向かって、悠然と歩みを進めていった。

最後まで読んでいただきありがとうございます!

もしこの「ジャージ管理者の等価交換ファンタジー」を面白いと思ってくださったら、ぜひ評価の「星」やブックマークで応援していただけると、カイトの魔力と作者のモチベーションがリペアされます!

よろしくお願いいたします。

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