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『等価交換の創造無双 〜ジャージ姿の俺、悪意を燃料に最強兵器を創り出す〜』  作者: beck2026
ドワーフの国編

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144/190

第144話:次なる不備、黒鉄の国

黄金の里を後にしたカイトたちは、世界樹のふもとから南へと続く、険しい岩山が連なる地帯を進んでいた。

 エルフの里で手に入れた最高純度の魔導結晶は、カイトの背負い袋の中で確かな質量を保っている。これだけの高級素材があれば、まとまった資金に換えるのは容易だった。

「……判定。これ以上の徒歩による移動は時間と体力の浪費だ。ここで移動手段を確保する」

 カイトは誰もいない岩陰で立ち止まり、背負い袋から大粒の魔導結晶を取り出した。

 頭の中でこれを所所持金へと換算し、ネットで買い物をする感覚で必要な機械の構成元素を強くイメージする。支払った金銭の対価として、等価交換の能力が作動した。

 まばゆい光と共に岩場に現れたのは、現代の屈強な『四輪駆動(4WD)の自動車』だった。

 ゴツゴツとしたオフロードタイヤに、頑丈なスチール製のバンパー。荒れ果てた岩山を登るにはこれ以上ない最適な車両だ。

「な、何よこれ……!? 鉄の塊の馬車? 車輪が四つもあるけど、馬を繋ぐ場所がないじゃない!」

 エルザが驚愕の声を上げ、恐る恐る黒光りするボンネットに触れる。

「カイト様、この中から、なんだかとても複雑な鉄の部品の匂いがします!」

 リアも目を丸くして、車両の周りをぐるぐると回り始めた。

「……だが、このままでは動かん。この世界にはガソリンがないからな。……だから、今から仕様を変更する」

 カイトはためらうことなくボンネットを開け放ち、ジャージのポケットから現代の工具一式を取り出した。

 彼がやろうとしているのは、魔法による奇跡ではない。エンジンの燃料供給系を物理的に組み替える、現実的な「大改造」だ。

 カイトは燃料タンクへと続くパイプをペンチで切り離し、等価交換で呼び出した青銅製の「魔石ホルダー」をキャブレターの手前にボルトで強固に締め付けた。

 さらに、手元に残った小さな魔導結晶をペンチの柄で細かく砕き、そのホルダーへと物理的にはめ込んでいく。魔石から溢れ出す純粋な熱エネルギーを、エンジンのピストン運動へと直接変換するための、泥臭い配管作業だ。

「よし、リア。運転席にあるこの丸いハンドルの横のレバーを、手前に回してみろ」

「は、はいっ! これですか? ……せーの!」

 リアが指示通りにキーの代わりに設置したスイッチを回す。

 次の瞬間、キュルキュル、とスターターが鳴り響き――。

 ズゴォォォン!! と、魔石のエネルギーを吸い込んだV8エンジンが、野獣のような爆音を上げて駆動を始めた。

 マフラーからは排気ガスの代わりに、微かな緑色の魔力の粒子が勢いよく吹き出している。

「……判定。出力安定。魔石駆動式4WDの完成だ。乗れ、一気に山を登るぞ」

 カイトは汚れ一つないジャージを整え、運転席へと乗り込んだ。助手席にリア、後部座席にまだ呆然としているエルザを乗せ、アクセルを強く踏み込む。

 

 車は凄まじい馬力で岩肌を削りながら、険しい坂道をものともせずに突き進んでいった。

 徒歩なら数日かかる道のりを、わずか数時間で走破し、三人は山をくり抜いて作られた巨大な黒鉄の門――ドワーフの鉱山都市『ガルドヘイム』の前へと一気に辿り着いた。

 爆音を立てて現れた鉄の怪物を前に、槌を担いだドワーフの衛兵たちが、開いた口が塞がらないといった様子で腰を抜かしている。

「……行くぞ。……次の中継地の不備を、精査しにいく」

 カイトはエンジンを吹かし、黒鉄の門を見据えた。

最後まで読んでいただきありがとうございます!

もしこの「ジャージ管理者の等価交換ファンタジー」を面白いと思ってくださったら、ぜひ評価の「星」やブックマークで応援していただけると、カイトの魔力と作者のモチベーションがリペアされます!

よろしくお願いいたします。

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