表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『等価交換の創造無双 〜ジャージ姿の俺、悪意を燃料に最強兵器を創り出す〜』  作者: beck2026
第2章:管理者の実地研修(フィールドワーク)

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

127/189

第127話:静かな朝の解析と、新たな波紋

翌朝、ポート・ルミナスの街は、霧を含んだ柔らかな光に包まれていた。

 『潮騒の止まり木』の一室では、カイトが誰よりも早く目覚め、窓辺で海を眺めていた。

 彼の纏う漆黒のジャージは、睡眠中も『環境適応』の機能を維持し、体温と湿度を完璧に管理していたため、目覚めは至極快適だった。

「……おはようございます、カイト様。……早起きですね」

 リアがベッドから身を起こし、大きな欠伸あくびをしながら尻尾を揺らす。

 彼女のジャージも、自動洗浄機能によってシワ一つなく、まるで今着替えたばかりのような清潔感を保っていた。

「……周辺の魔力濃度の測定を終えたところだ。……入り江の重圧が消えたことで、街全体の魔力の流れがスムーズになっている。……不備を正した成果だな」

 カイトは淡々と答えたが、その視線は手元の小さなメモに落とされていた。

 昨夜、等価交換の対価として喰らった『黒い杭』の構造。それを頭の中で分解し、再構築する作業を繰り返していたのだ。

 あの杭は、単に重力を操るだけのものではない。対象の魔力を強制的に引き出し、増幅させ、周囲の環境を書き換える「触媒」としての役割を持っていた。

「……エルザ、いつまで寝ている。……朝食の時間だ。……今日は診療所へ向かい、あの子の状態を確認する」

「……んぅ……。……カイト、貴方って本当に情け容赦ないわね。……吸血鬼の朝がどれほど辛いか、少しは学習してほしいものだわ」

 エルザが毛布の中から這い出し、ぼさぼさの髪を指で整える。

 だが、彼女の顔色は悪くない。昨夜、カイトが魔力を込めて最適化したスープの効果か、呪いによる倦怠感けんたいかんは最小限に抑えられていた。

 三人は宿の食堂へ降りる代わりに、カイトが等価交換で「再構成」した保存食を部屋で口にした。

 カイトがポケットから取り出した乾燥肉や果実は、見た目こそ質素だが、噛みしめるほどに凝縮された旨味とエネルギーが身体の隅々まで行き渡る。

「……さて、行くぞ。……街の奴らの反応が面倒だが、無視して進む」

 宿を出ると、案の定、街の人々の視線が突き刺さった。

 昨日、魔女の呪いを解いた「ジャージの三人組」の噂は、一夜にしてポート・ルミナス中に広まっていた。

 感謝の言葉をかけようと近寄ってくる漁師たちを、カイトは冷徹なまでの無関心で切り捨て、最短ルートで診療所へと向かった。

 診療所の一室では、昨夜の少女が白いベッドの上で身を震わせていた。

 だが、その震えは重力による苦しみではなく、ただの「怯え」だった。

「……解析スキャン。……生命活動は安定。……魔力回路の逆流も止まっている」

 カイトが部屋に入ると、少女はビクリと肩を揺らし、毛布を首元まで引き上げた。

 リアが優しく微笑み、少女の枕元に歩み寄る。

「……大丈夫だよ。……もう、あの重たい空気はないからね。……お名前、教えてくれるかな?」

 少女は、リアの狼の耳を不思議そうに見つめた後、消え入りそうな声で答えた。

「……ア、……アイリス。……わたし、あのおじさんに……『杭』を打たれてから、何も思い出せなくて……」

「……おじさん?」

 カイトの瞳が、鋭い光を帯びる。

 少女の背後に、明確な「加害者」が存在する。

 それは、この世界を意図的に歪め、自分の利益のために人間を部品として使う、本当の不備の源だ。

「……その男の特徴を言え。……あるいは、どこで会ったか。……等価交換のことわりに照らし合わせ、その男が支払うべき『対価』を計算する必要がある」

 カイトの声は静かだったが、その背後には隠しきれない威圧感が漂っていた。

 最強の兵器を創り出すための材料――「悪意」の供給源が、すぐ近くに潜んでいる。

 

 ポート・ルミナスの穏やかな朝の裏側で、カイトの次なるデバッグが始まろうとしていた。

最後まで読んでいただきありがとうございます!

もしこの「ジャージ管理者の等価交換ファンタジー」を面白いと思ってくださったら、ぜひ評価の「星」やブックマークで応援していただけると、カイトの魔力と作者のモチベーションがリペアされます!

よろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ