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『等価交換の創造無双 〜ジャージ姿の俺、悪意を燃料に最強兵器を創り出す〜』  作者: beck2026
第2章:管理者の実地研修(フィールドワーク)

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第122話:ギルドの掲示板と、残された物証

市場での食事を終えたカイトたちは、ポート・ルミナスの中心部に位置する冒険者ギルドへと足を運んでいた。

 潮風に晒されて適度に風化した石造りの建物だが、その門構えは内陸のリスタよりも一回り大きく、港湾都市特有の荒々しい活気に満ちている。

 カイトがギルドの重い木扉を押し開けると、騒がしかった内部が一瞬だけ静まり返った。

 統一された漆黒のジャージ。その機能美を極めた異質な装束を纏う三人は、荒くれ者たちが集うこの場所で、一際異彩を放っていた。

「……リア、掲示板から『南の岩礁』に関する依頼を探せ。エルザ、受付で負傷者の情報を収集しろ。……彼らがどのような状態で運ばれてきたか、聞き出せれば十分だ」

「了解しました、カイト様!」

「はいはい、了解よ。……情報収集のついでに、この街で一番評判の良い宿も聞いておくわね」

 カイトの指示に従い、二人が素早く動き出す。

 カイト自身は、ギルドの隅にある待合スペースの椅子に腰掛け、じっと周囲の様子をうかがった。

 近くの長椅子でうなだれている冒険者の、異常にゆがんだ革鎧が目に留まる。

 それは、刃物で切られたものでも、打撃で凹んだものでもない。まるで巨大な力で、上から万力まんりきにかけられたように、平べったく押し潰されていた。

「……お、おい。あんた、新入りか?」

 声をかけてきたのは、全身を包帯で巻かれ、松葉杖をついた大柄な戦士だった。

 彼が床に置いた盾は、厚手の鉄製であるにもかかわらず、中央が不自然に歪んでいる。

「……その盾、随分と酷い有様ありさまだな。……何か重いものに、押し潰されたのか」

「な、なんだ、あんた……。ああ、そうだ。あの南の岩礁には近づかない方がいい。……あそこには『目に見えない、とてつもなく重い何か』がいるんだ。……一歩踏み込んだ瞬間、空から巨大な岩に押し潰されたみたいに、地面に顔を叩きつけられたんだからな」

 カイトは静かに頷く。

 物理的な衝突音もなく、突然全身を押し潰す力。それは、カイト自身が扱える『グラビティ』と同じ性質のものだ。

「……なるほど。重力の局所的な増大か。……リア、そちらはどうだ」

 掲示板の前からリアが戻ってきた。

「カイト様、見つけました! 『南の岩礁、通称・嘆きの入り江における多発する事故の原因調査』。報酬は金貨五枚ですが、一週間以上、誰も受けていないようです」

「……妥当な案件だ。……エルザ、受付はどうだった」

 エルザが受付の女性から書類の束を受け取り、優雅に戻ってくる。

「……負傷者はみんな、同じような圧迫骨折と、極度の魔力疲弊を起こしているわ。……どうやら、その場にいるだけで体力を削られるような、嫌な魔法が使われているみたいね」

「……状況は整理できた。……ただの魔物ではないな」

 カイトは椅子から立ち上がり、受付へと向かった。

 彼が銀貨を数枚出し、正式に依頼を受理すると、ギルド内には再びざわめきが広がった。

「おい、あの黒ずくめ、本気か?」

「自慢のジャージが、鉄の板みたいに薄く引き伸ばされるのがオチだぜ」

 カイトはそれらの雑音を完全に無視し、二人に視線を送る。

「……準備しろ。南の岩礁地帯へ向かう。……リア、ジャージの『耐圧性能』を信じろ。……急激な負荷に備え、膝の屈伸運動を怠るな。……エルザ、お前は杖の制御をさらに厳密にしろ。……外圧が強まる中での魔法行使は、通常よりも魔力逆流のリスクが高い」

「了解しました、カイト様! 回避タンクとして、その重圧の中でも止まらずに動いてみせます!」

「……ふふ、面白くなってきたわね。……管理者の重力と、岩礁の主。……どっちが緻密な制御をしているか、証明してやりましょう」

 ギルドの扉を再び潜り、外へと踏み出す。

 潮の香りは、南へ進むにつれてさらに濃くなっていく。

 

 ブルームーンの三人は、陽光に煌めく海を右手に、不穏な静寂が支配する南の入り江へと向かって歩みを進めた。

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