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『等価交換の創造無双 〜ジャージ姿の俺、悪意を燃料に最強兵器を創り出す〜』  作者: beck2026
第2章:管理者の実地研修(フィールドワーク)

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121/189

第121話:港の喧騒と、赤色(あか)い誘惑

再始動した巨大クレーンの唸るような駆動音を背に、カイトたちは港に隣接した市場へと足を踏み入れた。

 そこは、先ほどの鉄と油の匂いが漂う桟橋とは一変し、潮の香りと、炭火で焼かれる魚介の香ばしい煙が立ち込める、ポート・ルミナスの「胃袋」そのものだった。

「……すごい活気です。……カイト様、見てください! あの桶の中、魚がまだ跳ねています!」

 リアが身を乗り出し、色鮮やかな地魚が並ぶ店先で目を輝かせる。

 彼女の黒いジャージは、人混みの中でも一切の汚れを寄せ付けず、その異質な美しさがかえって周囲の注目を集めていた。だが、今の彼女にとって重要なのは、市場に並ぶ未知の食材たちだった。

「……個体識別不能なほど、多様な生態系だ。……これだけのリソースが循環していれば、街の経済も安定するはずだな」

 カイトは無表情に市場を観察しながら、クレーン修理の報酬として受け取った銀貨の重みを掌で確かめた。

 管理者として、効率的な休息は次なる任務への投資に等しい。

「……あそこの店にする。……『赤殻海老あかがらえび』の炭火焼きと、海草のスープ。……それに、エルザには高濃度の果実水を用意しろ」

「……あら、気が利くじゃない。……呪いのせいで喉が渇きやすくなっていたのよ。……お礼に、この街で一番美味しい食べ方を教えてあげるわ」

 三人は、海に面した開放的な食堂の長椅子に腰を下ろした。

 運ばれてきたのは、大人の掌ほどもある巨大な海老だ。真っ赤に焼き上がった殻からは、香ばしい磯の香りが立ち上っている。

「……実食。……エネルギーの効率的摂取を開始する」

 カイトが淡々と殻を剥き、ぷりぷりと弾力のある身を口に運ぶ。

 内陸では味わえない、濃厚な旨味と塩気が脳を刺激した。

「……おいしいっ! ……こんなに甘くて、身が引き締まっている食べ物、初めてです!」

 リアが熱さに耐えながら海老を頬張り、尻尾を千切れんばかりに振る。

 その隣で、エルザは優雅に海草のスープを口に含み、目を細めていた。

「……悪くないわ。……海に近い場所は、魔力の流れが常に洗浄されているから、食材の純度が高いのよね。……カイト、貴方の選んだ場所、正解だったかもしれないわ」

 エルザの言う通り、カイトはただ腹を満たすためにここへ来たわけではなかった。

 食事中、彼の耳には周囲の客たちの会話が、重要な「データ」として蓄積されていた。

「……聞いたか? 最近、南の岩礁地帯に『潮溜まりの魔女』が出るって噂だ」

「ああ、おかげで良い漁場が一つ潰れちまった。……ギルドも調査団を出したらしいが、戻ってきた奴らはみんな、足腰が立たなくなるほど重力に押し潰されたみたいになってたってよ」

 カイトの眉が、僅かに動く。

 重力に押し潰されたような、不可解な現象。

 

「……『重力』か。……俺の権能、あるいはそれに類する事象の歪みか。……放置はできないな」

「カイト様、何か不穏な話ですか?」

 リアが食べかけの海老を手に、首を傾げる。

「……感謝ポイントの大量獲得チャンスだ。……腹を満たしたら、ギルドへ向かう。……エルザ、お前の呪いを解くための、高密度の魔力源が見つかるかもしれん」

「……あら、物騒ね。……でも、デザートに美味しいフルーツを付けてくれるなら、どこまでも付き合ってあげるわよ」

 エルザが不敵な笑みを浮かべ、カイトの銀貨で追加の果実水を注文した。

 港町の穏やかな昼食は、次なる嵐の予感と共に、静かに終わりを告げようとしていた。

 漆黒の装束に身を包んだ三人の影が、再び動き出す。

 

 ポート・ルミナスの深部。

 そこに潜む「不備」を修正するため、ブルームーンの歩みは止まらない。

最後まで読んでいただきありがとうございます!

もしこの「ジャージ管理者の等価交換ファンタジー」を面白いと思ってくださったら、ぜひ評価の「星」やブックマークで応援していただけると、カイトの魔力と作者のモチベーションがリペアされます!

よろしくお願いいたします。

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