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『等価交換の創造無双 〜ジャージ姿の俺、悪意を燃料に最強兵器を創り出す〜』  作者: beck2026


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第12話:廃鉱山の悪意と、静かなる潜入

夜の帳が下りた北の峡谷。

切り立った岩肌に穿たれた廃鉱山の入り口は、まるで巨大な怪物が口を開けて獲物を待っているかのようだった。

カイトは「風走ウィンドラン」を極限まで絞り、足音を消して岩影から岩影へと跳躍する。

身体強化ブースト」によって強化された動体視力は、月の光すら届かない暗闇の細部を鮮明に捉えていた。

「……いたな。まずは入り口の『目』から潰すか」

鉱山の入り口付近、粗末な篝火の横で二匹のゴブリンが暇そうに槍を弄んでいた。

人間を小馬鹿にしたような下卑た笑い声を上げながら、彼らは付近を通る商隊から奪ったであろう果実を貪っている。

【検知:ゴブリンたちからの「加害欲」「食欲」:+15 evil】

カイトは腰のベルトから、昼間に購入した鉄の投げナイフを一丁引き抜いた。

まだ「攻撃魔法」を習得していない今のカイトにとって、これが最も静かで、最も確実な遠距離手段だ。

「……一秒で終わらせる」

カイトは右腕に「身体強化」を集中させた。

筋肉が膨張し、ジャージの袖がパツパツに張り詰める。

狙うは一匹の眉間。そして、もう一匹が声を上げる前にその喉を貫く軌道。

シュッ、と空気を切り裂く鋭い音が一度だけ鳴った。

一本目のナイフが先頭のゴブリンの額に深々と突き刺さり、間髪入れずにカイト自身が「風走」で肉薄する。

相方が崩れ落ちる光景に、もう一匹が驚愕で口を開いた瞬間、カイトの手がその喉元を直接掴んでいた。

「悪いな。あんたたちの命に、対価を払うつもりはないんだ」

グシャリ、と嫌な音がして、二匹目のゴブリンが絶命した。

カイトは周囲を警戒しながら、突き刺さったナイフを回収する。

「魔法の『リペア』」

カイトが念じると、ゴブリンの返り血と脂で汚れたナイフが、淡い光と共に「新品」の輝きを取り戻した。

研ぎ直す手間も、刃毀れを気にする必要もない。

物理武器と修復魔法の組み合わせは、想像以上にカイトの立ち回りを楽にしていた。

カイトは死体を引きずって岩陰に隠し、鉱山の奥へと視線を向けた。

奥からは、さらに濃密な「悪意」が漂ってくる。

それは単なる魔物の本能ではない。

略奪を楽しみ、人間を罠に嵌めることを悦びとする、意志を持った「悪意」だ。

【検知:鉱山奥部からの巨大な「支配欲」「殺意」:+200 evil】

「……ポイントの貯まりが良いな。情報屋が言ってた『狡猾なリーダー』ってのは、相当いい性格をしてるらしい」

カイトはジャージの襟を立て、闇の中に溶け込むように潜入を開始した。

この廃鉱山は、もはやただの魔物の住処ではない。

カイトにとっては、莫大な「感謝」を買い取るためのリソース回収現場だった。

道中、仕掛けられていた原始的な落とし穴や、踏むと矢が飛んでくる感圧式の罠を、カイトは構造解析するかのように次々と見破っていく。

「身体強化」による反射神経があれば、そんな子供騙しの罠に掛かるはずもなかった。

やがて、カイトの耳に多くの足音と、下卑た歓喜の叫びが聞こえてきた。

広大な採掘場跡に出たカイトの目に飛び込んできたのは、檻に閉じ込められた数人の商人と、彼らを囲んで嘲笑う数十匹のゴブリンの群れ。

そして、その中央。

他の個体よりも一回り大きく、豪華な毛皮を纏い、人間の言葉で「もっと泣け、もっと絶望しろ」と喚き散らす、歪な知性を持ったゴブリン・ロードの姿だった。

【検知:捕らわれた人々からの「絶望」「救済への祈り」:+300 pt(潜在的感謝)】

【検知:ゴブリン・ロードからの「嗜虐心」:+150 evil】

「……十分だ。これだけ溜まれば、その場限りの『奇跡』くらいは創り出せる」

カイトは闇の中で、ジャージの袖を捲り上げた。

悪意を燃料に、絶望を対価に、カイトの冷徹な「商談」が始まろうとしていた。

【現在蓄積リソース:190 pt(感謝) / 365 pt(悪意:蓄積中)】

【所持金:銀貨 17枚】

【装備:鉄の投げナイフ×5】

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