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『等価交換の創造無双 〜ジャージ姿の俺、悪意を燃料に最強兵器を創り出す〜』  作者: beck2026
第2章:管理者の実地研修(フィールドワーク)

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第119話:港湾都市ポート・ルミナスの喧騒

断崖の道を下りきった先、三人の目の前に現れたのは、白い石灰岩で築かれた美しい街並みだった。

 ポート・ルミナス。

 内陸のリスタとは比較にならないほどの大気が、潮の香りと、魚市場から漂う特有の活気に満ちている。

 三人が街の門を潜ると、周囲の視線が一斉に突き刺さった。

 漆黒のジャージを揃いでまとった集団は、色鮮やかな麻の服を着た港の人々の目には、あまりにも異質に映ったからだ。

「……目立っているわね。カイト、やっぱりこの『じゃーじ』、この街の色彩には少し不向きなんじゃないかしら?」

 エルザが杖を片手に、周囲の視線を一蹴するように呟く。

 だが、その声に不安はない。ジャージの『環境適応』機能が、海辺特有のじっとりとした湿度を完璧に遮断しており、彼女の肌は吸血鬼らしい陶器のような白さを保っていた。

「……隠密性が目的ではない。……機能性の統一による管理コストの削減だ。放っておけ」

 カイトは無機質な視線で街のメインストリートをスキャンする。

 彼の目には、単なる活気ある光景ではなく、荷揚げが滞っているクレーンの魔導回路や、塩害で腐食しかけた防波堤の接続部など、修復リペアすべき「不備」が情報の断片として飛び込んできていた。

「カイト様、あちらの広場に人が集まっています。……何か、トラブルの予感です」

 リアが犬耳をピクリと動かし、人混みの奥から聞こえる怒声と、怯えた子供の声を捉えた。

 彼女は既に、カイトが何を優先すべきかを理解している。感謝ポイントを得るためには、こうした日常のほころびを見逃すわけにはいかない。

 一行が広場へ向かうと、そこでは数人の荒くれ者の漁師たちが、小さな露店を囲んで少年に詰め寄っていた。

「おい、ガキ! お前が売ったこの『魔除けの貝殻』、全然効かねえじゃねえか! おかげで俺の網はボロボロだぞ!」

「そんな……、それはおじいちゃんがちゃんと魔力を込めたもので……」

 怯える少年の前で、男が貝殻を地面に叩きつけようとした瞬間、その腕がぴたりと空中で止まった。

 カイトが数メートル離れた位置から、無造作に指を向けたのだ。

「……対象の質量を一時的に増加。……『グラビティ』」

「……っ!? な、なんだ、腕が……動かねえ……っ!」

 男の腕には、まるで鉄塊をぶら下げたような重圧がかかっていた。

 カイトはゆっくりと歩み寄り、地面に落ちそうになっていた貝殻を、触れもせずに重力で浮かせて回収した。

「……解析スキャン。……貝殻の術式に異常はない。……網が破れたのは、お前の操船ミスによる岩礁への接触が原因だ。……事象の責任転嫁は、効率的な解決を阻害する」

 カイトの冷徹な言葉に、男たちは顔を真っ赤にして叫ぶ。

「なんだと、この黒ずくめの若造が! 離せ、ぶっ飛ばしてやる!」

「……リア」

「はいっ!」

 カイトの合図と同時に、リアが『身体強化』の光をまとい、男たちの視界から消えた。

 直後、男たちの背後に回り込んだ彼女は、その襟首を掴んで、流れるような動作で広場の端へと放り投げた。

 ジャージの摩擦耐性と彼女のバネが、暴力を振るうまでもなく事態を鎮圧する。

「……リア、深追いはするな。……エルザ、少年の精神状態を安定させろ。……『ヒール』の微弱展開」

「……了解よ。……ほら、坊や。もう大丈夫だから、泣き止みなさい」

 エルザが杖を向け、柔らかな光が少年を包む。

 恐怖で強張っていた少年の表情が、カイトの魔法によって解きほぐされていった。

「……ありがとうございます、お兄ちゃんたち……」

 その瞬間、カイトの視界に僅かな通知が走る。

 【感謝ポイント:微増。権能レベルアップまで、残り四二〇ポイント】

「……妥当な数値だ。……さて、この街の『不備』は、どうやら人間関係だけではないようだな」

 カイトは視線を海の方へと向けた。

 港の奥、魔導式の大型クレーンが、異音を立てて停止しているのが見えた。

 それは、ポート・ルミナスの物流の心臓部だ。

 神に制限された権限の中で、カイトはこの街をどう「修正」していくのか。

 ジャージの裾を翻し、ブルームーンの本格的な活動が、この港町で幕を開けた。

最後まで読んでいただきありがとうございます!

もしこの「ジャージ管理者の等価交換ファンタジー」を面白いと思ってくださったら、ぜひ評価の「星」やブックマークで応援していただけると、カイトの魔力と作者のモチベーションがリペアされます!

よろしくお願いいたします。

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