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『等価交換の創造無双 〜ジャージ姿の俺、悪意を燃料に最強兵器を創り出す〜』  作者: beck2026
第2章:管理者の実地研修(フィールドワーク)

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第106話:未踏の脈

廃坑の深部は、地上の冷気とは異なる、粘りつくような湿気と重い静寂に包まれていた。

 三人の足音は、ジャージの消音機能とカイトが施したパッチによって、砂が擦れる程度の音にまで抑えられている。

「……カイト様、この先です。昨日よりも、あの『鋭い匂い』が強くなっています」

 リアが鼻をひくつかせ、行き止まりに見える崩落現場を指差した。

 巨大な岩が折り重なり、並の採掘者なら「この先は道がない」と諦めて引き返す場所だ。しかし、カイトの目は、岩の隙間から漏れ出す微かな魔力の揺らぎを捉えていた。

「……なるほどな。岩盤の崩落によって、この奥にある高純度の脈が図らずも密閉され、保存されていたわけか。……エリザ、出番だ」

「……やっとね。暗い中を黙って歩くのは、真祖わたしの性に合わないわ。……どの岩を砕けばいいのかしら?」

 エリザが蒼いラインの走る杖を構える。カイトは崩落した岩の基部、事象の歪みが最も集中している一点を指し示した。

「……砕くのではない。……昨日教えた『単一点への集中』を応用しろ。……対象の岩の分子結合に対し、微細な振動を継続的に送り込む。……俺が合図したら、一気に魔力を引き抜け」

「……分かったわよ。……細かく、激しく、ね。……闇の共鳴ダーク・レゾナンス

 エリザの杖から、目に見えないほど細かい魔力の震えが放たれた。

 岩盤がジリジリと嫌な音を立て始める。カイトはその振動が岩の内部に浸透し、応力が限界に達する瞬間を、指先の感覚で待ち構えた。

「……今だ、引け!」

 エリザが魔力の供給を断った瞬間、カイトが岩の表面に触れ、『事象復元リペア』を発動させた。

「……復元定義――『崩落前の亀裂』。……逆位相の衝撃を与え、結合を解除しろ」

 パキィィィィン……ッ!

 乾いた音と共に、巨大な岩盤がまるで熟した果実の皮が剥けるように、綺麗に割れ落ちた。

 その奥から溢れ出したのは、闇を切り裂くような純白の輝き。

 未精製のまま、気の遠くなるような時間をかけて結晶化した『真銀ミスリル』の原石だった。

「……すごい。……リスタの市場で見たことがある、どんな銀よりも綺麗だわ。……カイト様、これが……」

 リアが感嘆の声を漏らし、その輝きに目を細める。

「……ああ。不純物が極限まで排除された、最高級の触媒だ。……市場に出回れば金貨数十枚の値がつくが、今の俺たちにとっては、それ以上の価値がある」

 カイトは無造作に原石を掴み取ると、その場で自身の魔導銃『等価の天秤』の隣に並べた。

 原石から放たれる純粋な魔力波動が、銃のシリンダーと共鳴し、空間が僅かに歪む。

「……さて。……贅沢な素材が手に入った。……エリザ、お前の予備バッテリーも少しばかり拝借するぞ。……これを使って、俺の銃の芯を『再定義』する」

「……勝手な管理者様ね。……でも、その銃が強くなれば、私の安全も確保されるんでしょう? ……なら、好きに使いなさいな」

 エリザは少し疲れた様子で岩に腰掛け、不敵に笑った。

 廃坑の奥深く、誰にも知られることのない暗闇の中で、カイトの手によって新たな『最適化』が始まろうとしていた。

 地上の太陽が昇るまで、あと僅か。

 リスタの街が目覚める頃には、カイトの腰には、世界の理を書き換えるための更なる『力』が備わっているはずだった。

最後まで読んでいただきありがとうございます!

もしこの「ジャージ管理者の等価交換ファンタジー」を面白いと思ってくださったら、ぜひ評価の「星」やブックマークで応援していただけると、カイトの魔力と作者のモチベーションがリペアされます!

よろしくお願いいたします。

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