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T・F・U物語  作者: 狼眼


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チャンスは何処にでも転がっている所を見てみたい。

紙で出来ているとは思えない固形物が降り注いだイベントからはや3日。

建学祭の余韻も掲示板の掲示物位になっていた。


「あぁ・・・。まともに参加すりゃ良かったなぁ。」

「はぁ?何言ってんだ。先立つものが無いからって、俺が誘ってもこなかった奴が・・・。」

「いやね?金を使うだけが建学祭じゃないよな~って。」

「ほんとだよ、折角無料のお笑いライブに誘ったのによ。山岸も愚痴ってたぜ?」


グラウンドを建学祭で占拠され、活動が全くなかった野球部の村上が、冬季集中講座の時間に相席になり、俺の愚痴に付き合ってくれている。

村上は自分たちのテントを拠点に動き回り、飯代を浮かせていたらしい。

最終日の打ち上げでは、酒を浴びるほど飲んで、学内で夜を明かしたらしく、今日やっと体調が戻ったという事だ。


「にしてもよ。冬季の集中講座、現地集合現地解散みたいだな。」

「マジか!場所は?」

「・・・ジャコ、お前さ、愚痴る事に精一杯で、何も聞いてなかったんだろ。」

「わり・・。で?どうなんの?」


今日は学部での冬の集中講座についての説明会だったのだが、実際の集中講座は長野県の山中で行われるらしい。

冬で長野と言えば。

そう!スキーだ!!


雪国育ちの俺にとって、スキーなんて車の運転程度の物だ。・・・免許持ってないけど。

幼いころからミニスキーを履かされて、スキー場へ行った記憶が鮮明に・・・。あれ?小学生以来行ってないか・・・。

どうやら、記憶と言うものは、簡単に捏造されてしまう様だ。


「で、お前、板とかウエアは持ってんの?」

「・・・お前な、雪国育ちを舐めるなよ?」

「お、マジか!どんなの持ってんの?」

「・・・お前な、貧乏学生を舐めるなよ?」

「・・・見下してやるよ・・・。」


スキー板はレンタルで何とかなるだろうが、ウエアか・・・。高いんだよな~。


「村上は持ってんの?」

「おれ、東京生まれ東京育ち。」

「持ってない・・と。」

「自慢じゃないけどね。で、どうする?」


正直、貧乏学生に数万円のウエアを買うほどの経済力は無い。

パチンコに突っ込む数万円はあるのにな。


話は平行線になったので、それぞれが考える事にして、問題を先送りにした。

しかし・・・・。


スキーか・・・。

学部内での冬季集中講座という事は、恐らく、いや、確実に神崎さんも参加するはずだ。

ここで、カッコいい所を見せて・・・。



『うわぁ!麝香君って、なんでも出来るんだね!すご~い!』


・・・なんて言われて・・・。親密な関係になっちゃうか?




「おいジャコ。不気味な顔してっと怪我するぞ?」


俺が、あらぬ妄想をしながらベンチプレスをしていると、清松が声を掛けてきた。


「何が変な顔だよ!・・・ちょっとスキーが楽しみなだけだよ。」

「スキーか!俺、今年まだ行ってねぇな。」

「今年って・・・。去年は行ったみたいな・・・。」

「そりゃ雪国育ちだからさ。実家さ帰った時は必ず行ってるよ?」

「なに?実家の近くに良いスキー場があんの?」

「ちょっと遠いんだけどさ、モヤヒルズって所があって、よく彼女と行ってるよ。」

「へぇ~・・彼女ね・・・。ウエアも持ってたり?」

「当たりめぇじゃん。シーズンに3回は行くからね。レンタルしてたらもったいないしょ。」


・・・レンタル、あるんだ・・・・。あ・・・。


「清松!ウエア貸して!!」

「良いけど、いつ?」


よっしゃ!ウエアゲット!!!

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