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T・F・U物語  作者: 狼眼


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土地勘

建学祭が終わってから暫くの間、神崎さんとは挨拶程度しか接点は持てなかった。

しかし、全く言葉を交わさなかった去年と比べると、飛躍的な進歩だな!


おれは、2日後に迫った冬の集中講座!スキー講習の事で頭がいっぱいだった。


「ジャコ、今日の期末テストどうだった?」

「テスト?余裕でしょ。びっくりしたわ、持ち込みOKのテストなんて初めてだったし・・・。」

「でも、引っ掛けが多かっただろ?」

「・・・引っ掛け問題?」

「あ~、危ないな~。でも、1単位だしな・・・。落としても痛くないけど・・。」

「ホントにな。ま、マークシート方式だから多少の引っ掛けでも大丈夫、何とかなるさ。」


最近は、村上と授業が被ることが多くて、話をする機会が増えてきている。


「所でさ、スキーウエアのあては有るのか?おれ、もう、親に泣きついて買っちゃったよ。」

「マジか!実家に帰ったのか?」

「・・・まぁ、隣の県だしな、それに、久しぶりに帰ると、周りがやたら優しいんだよな・・・。」

「それで買ってもらった、のか。」

「そゆこと。」


俺の場合、日帰りは辛うじて可能だけど、帰る金を考えたら、ウエアを買った方が安いからな・・・。


「で、ジャコはどうするんだ?レンタル?」

「俺は、同じ研究会の同期に借りたよ。体格似てるし。」

「ならよかった。それよりさ、切符かった?俺、この後駅まで買いに行こうと思ってるんだけど・・・ジャコも行くか?」


今時、駅で切符って・・・。携帯で買えるって言うのに・・・。


「え?携帯で買えないの?」

「おれ、西瓜入れてないんだよ。通いじゃないし、要らないと思って・・・。登録面倒臭そうだし。」

「あれ?西瓜限定なん?」

「基本、あれって交通系ICだからな・・・。それ専用じゃない方がおかしいだろ?」

「・・・おれも入れてない・・・。」

「なら、一緒に買いに行こうぜ!」


という事で、村上と一緒に大学近くの駅まで切符を買いに行く事にした。

当日でも良いと思っていたけど、旅程を考えるのにも良いかもしれないし、土地勘もないから、分かって居そうな人について行くのが一番だしな。


「なぁ、村上、なんで2日前に切符買いに行くんだ?」

「はぁ?やっぱお前、この間の講義聞いてなかったんだな。」

「そう言っただろ?」

「あのな、ここから電車で行くと、片道4時間以上かかるんだぞ?」

「4時間?・・・朝、何時に出なきゃいけないんだ?」

「・・・前入り。前日に移動しておかないと、間に合わないから。」

「マジ?そう言えば、宿泊場所とか聞いてなかったけど、大丈夫なのか?」

「個人負担はスキー用具と移動代だけ。そこは個人で金額が違うから・・・らしいぞ?」

「あっぶね。村上!今度、かけうどんでも奢るわ!」

「んー。カキフライ定食が良いな。」


駅に着くと、壁際の券売機で切符を購入する。

てっきり緑色の窓口で買うのかと思った。


「そう言えばお前、金持ってきてる?」

「ある程度は・・・。いくら位かかりそう?」

「ん~。新幹線使って・・・ぎり1万いかないくらいかな・・・。」

「一万円・・・俺の2週間分の食費・・・。」

「お前、月2万円の食費なの?」

「そんな事はないけどな。」

「だろ?2万なわけ・・・。」

「大体1万3千円くらいか・・。」

「お前、日頃何喰ってんだ?」


という事で、2日後だと思っていた冬季集中講座への出発が、急遽明日の昼前へと変更された。

電車での移動と言えばK.O線と最強線くらいしか乗った事が無いのが俺の自慢なので、村上にべったりついて行く事にした。


「おぉ!すげぇ!ジャコ!見ろよ!山が真っ白だぜ!!」


すまん、村上。雪国育ちとしては、その感動を共有することは出来ないんだ!

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