メインヒロイン?
「腹が・・減った・・・。」
昼飯も喰わずに打ち続け、当たったり外れたりを繰りし、残ったのは僅かなお札と缶ジュース2本。
新台入れ替えで、良く回ったのに・・・マイナス34,000円・・。
家賃が払えるじゃん・・・・。
工藤さんはまだ打っている。山岸はいつの間にか消えていた・・・。帰ろ。
外に出ると既に夕日が見えなくなっていた。
「何してたんだろ・・。」
パチンコで長時間粘った結果、そこそこの金額の負けがあると、虚しくなってしまう。
こんな気分で丘を越えて部屋まで帰るのか・・・。だるいな・・・。
景品としてもらったジュースを一気に飲み干して、空腹を紛らわせる・・。
空き缶を捨てようと、ゴミ箱を探すが、店舗の外にはゴミ箱は置いていなかった。
・・・・なんか、タイミング悪いな。
ゴミを捨てる為だけにパチンコ店に入り、ゴミを捨てて外に出る。
・・・はぁ、星がきれいだな・・・。
あれ?
自転車に乗りながら、辺りを見ていると、どこかで見たことが有るような女性が、自転車に乗った状態で、俺の目の前で信号待ちをしていた。
誰だっけ?見たことある髪形・・・。漫画やゲームで見たような・・・。まるで人造人間・・・・。
「あ!」
俺は、同じ学部の女生徒を思い出した。
まるでコスプレでもしているかのような、髪形に顔立ち・・・。ボーダーのシャツにデニムのジャケット、デニムのパンツ・・・。ゲームのヒロインにいそうな綺麗な顔だった。
すると、俺が発した言葉に気付いたためか、その女性がこっちを見た。
「?なに?」
「え?何って言われても・・・見知った顔だったから。」
「あぁ、そうね。最近学校で会わないものね。・・・さっきまで同じ店に居たけど。」
同じ店?
「え?パチンコしてたの?」
「・・・パチンコ店でバイトしてたの!・・・しないわよ。パチンコなんて・・。」
「たしか、麝香君だったわね?」
「え!あ、うん。よく名前を憶えてたね。すごい記憶力。」
「何言ってんの。同じ授業が何度かあったでしょ?覚えてるわよ、普通。」
「普通・・・ねぇ。」
・・・まずい、この子の名前、何だっけ?
高嶺の花だと思って、意識の外に居たわ。
「・・・まさか、私の名前、覚えてないの?」
「え、そんな・・あ、信号、青だよ。」
「・・・。ちょっと!ごまかしてる?」
確か、誰かがいっていた?いや、教授に呼ばれていたのを聞いた気が・・・。
俺は自転車を動かしながらも、高速で頭を回転させている。
席順からいくと・・・初回のガイダンスの・・・俺が「じ」だから・・・。
「か」・・・。「か」で始まる苗字だった気がする。
「ねぇ、私の名前!ホントに覚えてないの?」
「えぇ?知ってるって・・ほんと・・・。」
「・・・目が泳いでる・・・。」
彼女がジト目でこっちを見てくる。
たしか、彼女の前が紙谷、かみや・・・だから・・・。
「ねぇ!私の・・「か、神崎!神崎さんだろ?」
「・・・なんだ、そうか、知っていたか・・・・。よしよし。」
神崎さんは笑顔になって自転車をこいでいる。
・・・・危なかった・・・。紙谷君に感謝!
「で?勝てたの?」
「ん?何が?」
「パチンコよ!朝からずっといたでしょ?あの辺り、かなり出てたみたいだけど?」
「・・・ぼろ負け・・・。散々だった。」
「あらら、そりゃ残念だったわね。勝ってたら奢ってもらおうかと思ったのに。」
いたずらっぽい笑顔で笑う神崎さん。
ヤバい!めっちゃ可愛い!!
しかもちょっとアニメ声・・・。わざとか?
まるでゲームのヒロインと喋っているかのような、へんな感覚に襲われた。




