破壊王
今日は朝から授業があった。
1限、3限、4限・・・。
必須科目も入っているので、出ない訳にはいかないんだな。これが。
とは言え、秋風が吹き始めた良い感じの気候で、外に出ていても、爽やかな風が心地良かった。
4限が終わると2号館に向かい、ボ研がひっそりと始まる。
今年の夏はボルダリング三昧だったらしく、みんな細マッチョになっていた。
俺はと言うと、訳の分からない病気のため、ボルダリングに参加できず、細マッチョになり損ねてしまった。
ま、細くないからと言って、その分力があるという訳でもなく、未だにベンチプレスは70㎏を超えてはいない。新しく入ってきた1年には、既に90㎏を上げている奴もいるってのにな。
まっ、工藤さんも舛添さんもそこまでムキムキじゃないし、俺はそっちのグループで楽しくやっていこうと思う。
2時間ほどウエイトトレーニングで汗を流して、シャワー室へ行く。
今日はスクワットを多めにしたためか、太ももがピクピクしていて、歩くという行為の難易度が微妙に上がっている。
「おい、ジャコ!お前の尻、もっと絞れよ。」
「ん~。何かな、ここに筋肉が付かないんだよ。今日もスクワットしたんだけどな。」
「もっと限界まで追い込まなきゃだめだ。ジャコはまだまだ余裕があるだろ?」
「・・。そうでもないけどね・・・。」
清松が俺の尻に文句があるらしいが、そんなに余裕のある状態でもないと思っている。
清松曰く、腹筋もまだまだらしい。もっと割れと?お前の板チョコみたいな腹に、憧れが無いとは言わないが、中々自分を追い込めない・・。
いわゆる根性なしって奴さ!
で、ボ研が終わればゲーセンのバイトだ。
今日は朝からずっと外で活動しているな・・・。珍しい。
いつも通り、常連客ばかりのゲーセンで5時間ほど働く。
今日も工藤さんと山岸、あと海老名が回し対戦をしている。
今日はアイアンフィストをやっているようだ。
「っかぁ~!そこで、そのコンボ出すかね!エッグ!」
「フン!まだまだ功夫が足りんわ!!」
海老名が工藤さんにぼろ負けしたようだ。
時間は既に1時20分を回っている・・・。閉店したいんだけどな・・・。
1時35分になり、やっと店の電源を落とすことが出来た。
「お疲れ~。今日は麻雀する?」
「今からっすか?もう寝ましょうよ。」
「俺、工藤さんところでリベンジマッチしたいな。」
「よし!相手になってやろう!」
どうやら、山岸は、工藤さんの所に転がり込む様だ。
俺は既に眠いので、自転車にのって部屋へと直行する。殆ど下り坂なので自転車はとても快適だ。
みんなは帰りがけに、コンビニで夜食を駆っていたが、俺には白米がある!
どんぶりに白米を入れ、シーチキン!・・・と、今日は生卵をトッピングだ!
「ただいま・・・・。」
部屋の扉を開けると、電気が点いており、部屋の真ん中には社長が転がっていた。
「・・・・寝てる?」
「・・んお?ジャコか。さっき昼過ぎにバイトから帰って・・・お、もう8時間も寝てたな・・・。」
「夜のバイトも大変ですね。・・・ちょっといいですか?飯食うんで。」
「おお、悪りぃ。」
社長が部屋の中央を開けてくれた。
さてと・・・。ん?
床に置いてある炊飯器を開けると・・・。黄色くてカッペカペのコメが入っている・・・。何だこれ?
それに、鉄が焼けたような匂いが・・・。
「何?何すかね?これ。」
「・・・カリカリ米だな・・・。」
「・・・・社長・・・・寝ながら、炊飯スイッチ押しました?」
「・・・よくわからん・・・。」
俺の炊飯器は、レトロっぽい見かけで、側面のスイッチを押すと炊飯が始まるのだが、どうやらそのスイッチが押しっぱなしになっていた様だ。
「保温していた米を・・・炊いちゃった・・・。」
俺は仕方なく、中で黄色くなった米をゴミ箱に捨てる・・・。
しかし、悲劇はそれだけでは終わらなかった。
炊飯器の内部の内釜が、ひび割れている・・・。
表面のチタンコートがひび割れて、剝がれてきている・・・。
これは、もう、使えないな・・・・。
「しゃちょ~。」
「悪ぃ!ジャコ。足で押していたかも・・・。」
「・・・もう、終わった事はしゃぁないです・・・。諦めます。」
「ごめんな?」
俺の部屋の食を支える柱が、一つ消え去った・・・。




