あるバイト
コンコン・・・ガチャ・・・。
「ジャコ・・・おはよう。」
朝も早くから・・・と言っても10時30分に社長が帰ってきた。
「おかえんなさい・・・。」
「これ、喰うだろ?」
社長は両手にコンビニの袋を持っていた。
弁当?なのだろうか?
「何すか?それ。」
「駅前のコンビニの廃棄弁当だ。」
「廃棄?なんでそんなもん・・・。」
「バイト先だからな。」
「それって・・・ダメなんじゃ・・・。」
「良いんだって。」
そう言うと、社長は部屋に上がり込んで、パソコンが置いてある机に弁当を置く。
「鮭弁にのり弁・・・。とポテトフライ・・・。」
「ポテトフライ、カッサカサですね。」
ん?バイト?
「社長、コンビニのバイトを始めたんですか?」
「コンビニのバイトもだけどな。」
「も?」
「GSでもバイトしてるから・・。」
「へぇ・・・GSって、ガソリンスタンドです?」
「おう、最近はセルフだからな、やることは事務作業と車検の勧誘、オイル交換とバッテリー点検の声掛け程度だしな。」
「そうなんすね・・・。でも、コンビニは普通ですよね。」
「深夜帯だからな、接客より品物の搬入と賞味期限の確認くらいだしな・・・。」
社長はのり弁を食べながら教えてくれる。
アルバイト先は時間帯によって働き方が違うから、自分に合った時間帯を選ぶことでWワークもそこそこ楽になるらしい。
「ま、俺はボ研に入ってるから、ゲーセンのバイト以外は出来そうにないですがね・・・。」
「人それぞれ。ま、俺は予定が全くないから出来るんだけどな。」
「そう言えば、社長は学校は行かないんですか?」
「あぁぁ。学校は、休学届を出してあるんだが、もうそろそろ期限切れかもしれないな。」
「え?それって?」
「ん?退学になる、かも。」
「良いんですか?学費も高いですし・・・。勿体なくないですか?」
「ん~。なんか違う気がしてな。」
学校に通うのが違う気がするなら、こんな所でバイト&寄生生活をしているのはどうかと思うが。
「何を、何かしたい事があるんですか?」
「・・・ちょっと、知り合いのつてがあって、芸の道に進もうかと思うんだが・・・。」
「芸?お笑い芸人?」
「いや、人を笑わせるのは同じだけど、落語家の方だな。」
「落語!落研とかに入っていたんですか?」
「そういう訳では無いんだが。」
学校経由のつてではないって事か・・・。
「そういうのって、弟子入りとかしなきゃいけないんですよね?」
「そうだな。」
「良いんですか?ここに居て。」
「それな・・・。」
「何かあるんですか?」
「家がな・・・。」
「家が?」
あまり個人的な事には踏み込みたくは無いのだが、ここまで来たら聞かない訳にはいかないだろう。
「いま・・・実は・・・捜索願が出ていてな・・・。」
「は?」
「家に無断でフラフラしていたら・・・。戻りずらくてな。」
「そうなんすね・・・。」
・・・あれ?捜索願が出ているのに、バイトとかしていて大丈夫なの?
そもそも、俺がかくまっている事になるの?
大丈夫なのかな・・・。




