表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
26/49

25

東雲さんのバイト先である服屋を出た後も、忙しなく色々なお店を駆け巡った。


靴屋で今の私の服装に合う靴を探したり、化粧品売り場で東雲さんの肌や髪に合う商品を選んだりと、かなり濃密な時間を過ごせたと思う。


(なんだかんだで、結構買い物しちゃったな)


両手にぶら下がる袋に目をやる。

朝の集合時に抱えていた不安はなくなり、今は充実感でいっぱいだった。


「あー……そろそろ待ち合わせの時間になりそうだから、男子たちと合流しましょうか」


スマホを見ていた東雲さんが顔を上げた。


「そうですね」

「じゃあこっち、着いてきて」

「?……彼らの居場所、分かるんですか?」


何故知っているのか不思議に思い尋ねてみると、東雲さんの肩がピクッと跳ねた。


「えっとね、さっき連絡きたから」


確かに、彼女は先ほどまでスマホと睨めっこしていたが、


「……私には、連絡ないのに?」


自分のスマホを確認するも、特に通知はきていない。

一人にしか連絡がいってないのが妙に不自然だと感じた。


「そ、それは、その……まあ、行けば分かるから!」


言い訳するのを諦めたのか、開き直った彼女は私の腕を掴み歩き出した。


「ちょっ」


がっしりと掴まれた腕を振りほどくこともできず、彼女はズンズンと前に進んでいく。


(一体、何を隠してるんだか)


小さくため息をついた私は、流されるがまま彼女の後ろに着いていった。


~~~~~


「あっ、いた!夏芽さん、二人見つけたよ!」

「あー……確かに、いますね」


まだ距離はあるが、うっすらと二人の姿が見える。


そのまま二人の元へ行こうとした、その時、


「そこのおねーさんたち、ヒマ?」

「時間あるなら、俺たちとあそぼーよ」


派手な衣服を身にまとった男二人組が声をかけてきた。


(こ、これって、いわゆるナンパというやつなのでは……!?)


慣れない状況に戸惑う私とは反対に、東雲さんは二人組に対して明らかに敵意を向けていた。


「私たち、これからツレと合流するんで、あんたたちに構ってるヒマなんてないの」

「まあまあそう言わずに〜」


二人組の片割れが東雲さんの方に手を伸ばすと、パシッと乾いた音が響く。

東雲さんがその手を振り払ったようだ。


「邪魔だって言ってんの。わかんないかなー?」

「このアマ……舐めやがって!」


二人組のもう一人の方が東雲さんに飛びかかる。


「東雲さんっ!」


(ダメ!間に合わない……!)


彼女を守ろうと飛び出すも、あと一歩届きそうにない。


最悪の展開を想像して目を瞑った。


すると、グキッという音と共に、


「いてててて!」


と、男の叫ぶ声が耳に入った。


(何が起こったの……?)


恐る恐る目を開けると、男に対し鋭い目つきで技をキメている東雲さんの姿があった。


「だーかーら!私たちはこれから大事な予定がある……っの!」

「いだだだだ!」


彼女は、さらに男を締め上げる。


そんな一方的にやられている男の姿を見た、先ほど彼女に手を伸ばしていた方の男は、「ヒィッ」と情けない悲鳴を上げる。


(……そういえば、東雲さんって運動できる人なんだっけ。無用な心配だったな)


ほっ、と胸を撫で下ろした。


その後、東雲さんが男を離すと、二人組は一目散に逃げていった。


「ふぅ、一件落着!じゃ、二人と合流しよっか」


まるで何事もなかったかのように、ケロッとした顔をしている東雲さん。


「あの、東雲さん」

「ん?どうしたの?」

「今みたいなことって、よくあるんですか?」

「あー、ナンパ?まあ……うん。そんなに多くはないと思うけど、たまになら、ね」


気まずそうに目を逸らされる。


(たぶん、本当は頻繁にあるんだろうな……)


美人にも、色々と苦労があるんだな。ということを知った。


「さてと、あの二人はどうしてるかな……って、え?」


先ほど二人を見かけた辺りに再び目を向けた東雲さんが、怪訝な顔を浮かべた。


「東雲さん?」

「……はぁ、あいつらも、だわ」


(あいつら『も』、というと……)


なんとなく想像は出来るが、私も確認してみる。


(……やっぱ、そうですよね)


陽向と雨宮くんが、お店の前で知らない女の子たちに絡まれていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ