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まずは、駅に隣接しているデパートへ向かった。
入口付近に雑貨屋があったので、そのお店の中を物色してみると、
「夏芽さん!こういうのどうかな?似合うと思うんだけど」
案の定、東雲さんは張り切って私に様々なアクセサリーを薦めてくる。
一方で、男子二人は物珍しそうにきょろきょろと視線を巡らせていた。
「雨宮は、こういう店きたことあるか?俺は初めてなんだけど」
「僕も初めてだよ。そもそもあまりショッピングとかもしなくて」
「へー、そうなのか」
(なんだか微笑ましい光景だな)
心がほのぼのとした気持ちになる。
中間テストの件だったり、急遽生徒会に入ることが決まったりと、最近慌ただしい日々が続いていた。
なので、こうしてちゃんと心を休めているのは久しぶりかもしれない。
(……なんだかんだで、疲れていたのかな、私)
「夏芽さん?聞いてる?」
「あ……えっと、ごめんなさい」
「ん、いーよ」
そう言って、緩く笑みを浮かべる東雲さん。
相変わらず綺麗な顔立ちしているな……と思いつつも、少し気になることがあった。
「あの、副会長」
「もう、夏芽さんったら。ここは学校じゃないんだから『副会長』は禁止。ね?」
「……はい。では……東雲さん」
「……まあ、今日のところはいいわ。何かな?」
「えっと、その……」
東雲さんの耳に口を寄せ、小声で尋ねる。
「会長……雨宮くんと二人で買い物、とかはしないんでしょうか?」
すると、彼女の顔が一気に赤くなり、大きな目をさらに丸くしてこちらを見つめた。
「きょ、今日は夏芽さんがメインの日だから!私のことはいいの!……今はまだ、隣で歩く自信ないし」
先ほどまでの強引な姿勢はどこへやら。
すっかりオンナの顔になった彼女は、おどおどと小動物みたいに震え出した。
(……もし私が男だったら、ぎゅって抱きしめちゃうな)
「一応ね?今日は男子二人と女子二人別々で行動することが多いと思うから、そのつもりで。化粧品とかって、男子はあまりわからないでしょ?」
「まあ、それもそうですね」
「というわけで、ちょっと二人ともー!」
「お?なんだ?」
東雲さんが二人に呼びかける。
そして話し合った結果、一旦男女別でそれぞれ買い物し、昼食時に改めて集合するといった形になった。
「じゃあ、また後でね」
「おー」
男子たちの背中を見送った後、東雲さんが口を開いた。
「……さて。夏芽さん、準備はいい?」
「?」
「ここからは容赦しないから、覚悟しててね」
じりじりと詰め寄ってくる東雲さんの姿に嫌な予感がし、背筋がぞわっとした。
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そこからの記憶は正直曖昧だ。
片っ端から服屋を点々とし、東雲さんが私のために服を選んでは試着、を延々と繰り返していた。
「うーん……やっぱあっちの方がいいかな……」
(……これ、いつまで続くんだろうか)
何度も服を着たり脱いだりしていると、結構疲労が溜まるものなんだな……ということを学んだ。
「あら?秋菜ちゃんじゃない。今日はお休みじゃなかった?」
「あ、店長!」
「この子は?もしかして、お友達かしら?」
「はい!学校の同級生で」
「まあ、そうなの」
東雲さんが店員さん(店長さん?)らしき人と親しげに会話している。知り合いなのだろうか。
「夏芽さん。こちら、バイトでいつもお世話になってる店長さん」
「初めまして」
(なるほど、バイト先のお店なのか)
こちらからも店長さんに挨拶を返す。
「初めまして、白雪です」
「あらあら!なかなか磨き甲斐のあるお嬢さんね」
「やっぱり店長もそう思うでしょ?どんな服が似合うかな〜って、今悩んでて……」
「なるほどねぇ」
店長さんがまじまじと私を観察し始めた。
「あの、東雲さん。これって一体……」
「大丈夫大丈夫。店長のセンスは抜群だから、いい服見繕ってくれるよ」
若干の不安を抱えつつも、私はただただ突っ立っていることしか出来なかった。
そうして、店長さんに全身をくまなく見られること数分。
「……よし。大分イメージ掴めてきたかも。ちょっと待ってて」
店長さんが私から離れ、お店の中を駆け巡っていく。
しばらくして戻ってきた店長さんの手には、何着か服が握られていた。
「はい!これ、試着してみて」
半ば押し付けられるように服を渡されると、そのまま試着室に連れていかれた。
(この強引さ、まるで東雲さんみたいだ)
当の東雲さんはというと、目をキラキラと輝かせてこちらを見つめていた。
ひしひしと、期待に満ちた眼差しが全身に突き刺さる。
(……しょうがない。これに、着替えるしかないよね)
見えないように軽くため息をついた後、試着室の中に入り渡された服に着替えた。
全ての着替えが終わり、自分の姿を鏡で確認すると、驚きのあまり声が漏れた。
「……これ、って」




