3 ミラー
「あははは、ごめんごめん」
手を頭の後ろに当てながら謝っているしず、だけど全く反省してる感じじゃ無い。
ほおは赤いままだし、何だか満足した様な顔してるし、もう。
「・・・もう、恥ずかしかったんだからね」
少し語尾を強め、ジト目でしずを見て抗議する私。
「だってさー、あんな可愛いあいがいけないんだからねー」
まったく、全然反省してないじゃん。それに知らないよ、可愛いとかと言われても。
しずを見て「はぁーーー」って溜息を吐いた、そのタイミングでしずが聞いて来た。
「それで、どんな恥ずかしい事を思い出したの?」
ん?って感じで見ているしず。そうだったね、その話の途中だった。
「あーそれはね、鏡に映る私が話掛けて来た夢を見たからなんだけどね」
「鏡に映る・・・ねぇ」
ふーん、と考え込んでしまうしず。
しず?
「しず、どうかした?」「ううん、何でもないよ」
いつもと違うしずを気にはなりながらも話を続ける。
「それでね、話掛けて来た私が居るのかな?って、鏡の前でフェイント掛けて横へ飛んだり隠れたり、こう口を横へ引っ張って舌をレロレロしたり」
「えっ!?何それ可愛いじゃん、あいやって見せてよー見たーい」
「嫌だよ」とぴしゃり、「ちぇー」と言いながらあまり残念そうには見えないしず。
さっきの抱きしめられてた時と違い、食いつかない感じ、うん?
「でね、そうした事、昔も同じ事をしていたなって気付いて、恥ずかしく思って赤くなっていたんだよ」
「昔もって、前にもそんな事が有ったんだ?」
「うん、お母さんから2~3歳の頃良く鏡の前で話してたって、子守の時は助かったって聞いたんだ」
「ふ~~ん」
またも話を聞いて、考え込むしず。
しず?って気になって見ていると、小さい声だったけど何か独り言を呟いていた。
「しず?」
「あっ、何でもないよー」
さらっと何か呟いていた事に気付いたしず、めずらしく慌てていたけど。
「あい、学校行こー!」
「そうだねー」って答えた時に、T字路に設置してあるミラーがキラッと光ったのが目に付いた。
うん?なんだろう?って思いミラーを見ていると「あいー?」不思議そうにしずが呼んで来た。
「いまさ、あそこのミラーが光ったように見えたんだ」
「あそこの、ミラー?」と言い、しずも「ふーん」ってミラーを見ている。
たまたま、何処かから光の反射をとらえたのかも?って思ってると
「行こ―」って言い、私の手を握って歩き出した。
「あっ、うん」そう言いしずに引かれながら、そして横に並んで歩いて行く。
何気に、手は恋人つなぎ。
るんるんと、はたから見ても聞こえてきそうな感じで、嬉しそうに歩くしず。
まあ、私もしずならこうして手を繋いで歩くのは嫌じゃないけど、ちょっと恥ずかしいよ。
そんな事を思い、少し強く手を握り締める私。
それに気づき「・・・・ん」って発して私の事を見つめるしず。
しばらく雑談しながら歩いて。
「あいは、私の物だ!」
「違う!」
しずは笑顔で、私は困ったような顔で、言い合いながら学校へ向かった。




