2 しず
「行ってきまーーす!」
元気に発して、家を後にする。
歩き出してから、今朝の鏡の事を考える。
確か5~6歳の頃、その鏡の話を聞かされて、いっぱい鏡に話掛けた事があった。
今朝みたいに、疑って色々動いたり隠れたりと・・・・って昔と同じ事してるじゃん!私。
ちょっと恥ずかしくなって、頬が赤くなってくるのが分かる。
昔から変わって無いのかなぁ~?って思っていると
「おっはよーー!」
後ろから元気な声を掛けて来ると同時に、後ろから抱きつかれた。
誰かは分かっているから、抱き着かれるまま返事をする。
「おはよー、しず」
「おはよっ、あい」
そう言い、後ろから笑顔で私の顔を見るしず。
見た瞬間驚いて、そして真剣な顔になって聞いて来た。
「あい、大丈夫?」
「うん?なにが?」
「だって、顔が赤いよー?」
あっ、さっきの事を思って恥ずかしくなって、顔が赤くなっていたんだった。
「あー大丈夫だよ」
「ほんとに?」
心配そうに見つめて来るしず、ほんと心配してくれるんだよね。
「うん、ちょっと恥ずかしい事を思い出してしまって・・・」
そう言った所でしまった!と思った瞬間、ああっ遅かった。
心配そうに見ていたしず、私の言葉を聞いた瞬間、心配顔からニヤニヤといたずらっ子見たいな顔になったからだ。
「へーー、どんな恥ずかしい事?」
そう言い、顔をズイッと近づけ見つめて来るしず。
いやいや近い近い。すうっと顔を遠ざける。
「た、大した事じゃ無いよ」
「えー、でも顔を赤くしてるからねー」
そんな事言いながら、私の両肩に手を乗せ身体を引き寄せ顔を近づけて来るしず。
いやいや待って待って、近いよ。
「い、いや、その」
しずとの顔が近すぎて、変に意識してしまい顔が赤くなってしまい、そして目をそらしてしまう。
両手を胸元へ、そして指を絡めもじもじしながら「しずぅ・・・」と呟きながら、訴える様に見る私。
そんな上目づかい、そして潤んだ目で見る私を、しずは頬を赤くし目をキラキラさせていた。
そして、少々興奮気味に私の事を抱きしめて来た。
「あ、ちょ、ちょっと!?」
「あぁ、可愛いーーー!!」
「あい!可愛すぎ!」
ぎゅーーーって抱きしめられてしまう。
こうなったら振り解こうにも解けないな~って思いながらされるがままになる私。
でも、ここで忘れてはいけないんだけど、今は通学途中なのだ。
だから他の生徒達も、もちろん歩いている。
「わぁー」とか「キャー」とかいろいろ聞えて来るし、女子とかは、ひそひそと私達の事を見て囁いている。
「良いもの見れたわ~」ん、はい?「ゆ、百合だ」と聞えて、なっ!?違う!!と言いたいけど、もう。
しずが人気者だからなんだけど、さすがにこう晒されると恥ずかしいよ。
「ね、ねえ、しず?」
「可愛いー!可愛いよーーあい!!」そう言いながら私の頬に頬ずりしている。
・・・聞こえてないや。
しばらくされるがまま、そしていっぱいいっぱい晒されてしまった。
・・・もう、しずなんだから。
南 雫香 しず しずかと呼ばれる。
みんな「しずちゃん」と呼びたいけど、しず本人がちゃん付けを嫌っているため「しず」と呼んでいる。
黒髪ロングで背が高く、モデルみたいにスタイル良い。それだけじゃなく可愛いより綺麗美形、なんだけど「イケメン」なのだ。
1年の文化祭で男装をして、その立ち振る舞いが女子に大人気に。学校中の噂になり、人気者に。
だけど雫香本人はどこ吹く風やらで、一向に気にしていない。
そして私の事を気に入っているようで何かと構って来る。
でも文化祭までは、何か孤高の存在って感じで近づきにくい印象だった。
今は私達の仲良しグループに入っている。
良くも悪くも、イケメン的な振る舞いで周りを困惑?嬉し恥ずかしな思いをさせている。
でもそんな雫香、何だかんだで周りの事を良く見ていて、気遣いやアドバイスをしてくれる、私の信頼出来る頼もしい友達、親友でもある。




