2話 突然の招待
遡ること二週間前
その時は突然訪れた。
時刻は午後7時 お母さんが晩ご飯の支度をしている音が聞こえる壁の薄い家
勇太がいつものように自分の部屋で寝っ転がりながらスマホを見ている。
瞼がゆっくり閉じて、今にも眠ってしまいそうなそんなときだった。
ピコンとスマホから通知が聞こえ、覚醒した。
スマホを見ると、一件の通知だった。
オリマジからである。
オリジナルマジック株式会社略してオリマジは、6年前からVtube業界で活動している会社で、メンバーは全員30万人を超える登録者を誇る超有名会社である。
そんな会社が驚くべきことをつぶやいたのである。
「なっはあああああ」
あまりの衝撃にスマホが手を飛び出し床に直撃した。
お母さんからうるさいと怒鳴られたがそんなことはどうでも良い
そこに書かれていたのはライバーの彼氏彼女を募集すると言う内容だった。
スマホを拾い、何度読み返して見ても同じ文が丁寧に書かれている。
ライバーの彼氏彼女を募集する一次選考があると
この反応は僕が異常な訳ではなかった
大量のコメントと拡散がされていて、マジかよ!と同じ反応をしている人もいれば
嘘だ、ありえんなど否定的なコメントもちらほらいる。
まだ投稿されてから5分も経っていないのにあっという間に世界のトレンドにくい込んできていた。
もちろんこうなると、友達とのチャットアプリも動き出す。
実家で聴いたウシガエルの大合唱
あれと同等の通知音が鳴り響きはじめた。
チャットアプリの一番上にいる彼とチャットを始める。
「なぁあおっち、これみた」
さっきみた画像と共に送られてきた文の送り主は友達の河合健也だ。
健也は中学の頃からの幼なじみで、僕と同じヲタクだ。
だが彼は僕と違って明るくてスポーツの出来る健康男児だ。
オマケに10段階評定オール9以上でコミュ力も高い。
先生からのお墨付きもある高スペックの友達と言って良いだろう。
「見たよ、これって本当かな」
「どうだろ、俺には分かんないけど少なくとも公式が出してるやつだし時間も期限も書いてある。」
「これが嘘だなんて考えられないよな」
「そんなに詳しく?」
「ああ、期限は二週間後の午後24時、送り先は各ライバーによって違うらしい。」
「因みにななみんは広報部にだって」
ななみんは七海さんごの愛称で彼女も大人気Vtubeだ。
チャンネル開設後わずか半年で100万人の登録者を手に入れた才能の原石。
甘い声と水色の髪に整った容姿
その愛らしい姿に世の男性は釘付けって訳だ。
彼曰く登録者数に慢心せず常に努力し続ける姿が良いんだとか。
これは告白まで行くしかないでしょ!
いつもハイテンションなのに、さらにテンションが高ぶっているのだろう、ななみんへの愛の文がこれでもかと高速に届く。
ところであおっちはどうする?
俺は応募してみるけど、最近彼女に振られたばっかだし、やっぱり好きなこと結婚したいよね!
この時僕は思った。
もしこれをきっかけに今まで画面越しでしか愛を伝えられなかったのを、文字でしか伝えられなかった気持ちを直接伝えられるのではないかと。
そして何より自分自身を変えるきっかけになるのではないかと。
そう思ったとき、僕の選択肢は一つしかなかった
僕ももちろん応募するよ。そう送った
やっぱりね、そういうと思った
それじゃあ明日学校でまた詳しいこと話そうよ
僕は了解のスタンプを返した。
会話が終わったのでスマホの電源を切り、天井を仰ぐ。
もし上手くいけばあんなことやこんなことが‥
冴えてるときのようにポンポン思い浮かぶ妄想
この裏で、世界中の男達が色々と動いていることを僕はまだ知らない。
こうして僕の物語はスタートを切った。




