10話 前日のライバー紹介
ライバー彼氏彼女選抜試験までいよいよ1日だ。
僕は、あの日からの筋肉痛で全く動けず、ずっと寝ていた。
おかげでAM5時の日の出と共に爽やかな顔で起床出来た。
と思っていたのか。
実際に起きたのはAM10時半
明らかな寝坊だ。
小鳥もさえずるのを辞めて餌を探し回っている時刻。
お母さんが「いつまで寝ているんだ」と般若の姿をして掃除機を掛けるものだからたまらず跳ね起きたのだが、その前に2回も起こしたって本当かよって思った。
洗面所へ行き、冷水で体を引き締め、着替え、歯磨きをこなして部屋に戻ると、階段で掃除の終わったお母さんが仁王立ちをしている。
「あんたの部屋片づけたから、ほこりっぽくてありゃあしない!まったく!誰に似たのか‥」
捨て台詞を吐いてリビングへと消えていった。
「うぅ、分かってるよ」
階段を上り、自室に入る。
そこにはさっきまで寝転がっていた布団が綺麗にたたまれ、散乱していたプリントが机に山積みにされて、ほこり一つ無く綺麗になっていた。
僕はそれをどうこうするわけでもなく、スマホを手に取ると、1つの配信を見始める。
「オリマジライバー彼氏彼女選抜 前夜祭」
この配信では、参加ライバーの紹介や、見所などを紹介していく配信となっている。
再生ボタンを押すと、見慣れた広告の後に聞き慣れた声が聞こえてきた。
「‥というわけでここからは私、新人ちゃんが司会進行を務めたいと思います。」
彼女は新人ちゃんという名前だが、実際はオリマジ公式キャラクターなので、活動期間はほぼ6年と明らかに新人ではないのだが、それに関するコメントは定期コメントのようになっている。
「それでは、明日開催する一次選抜の主役
3名のライバーのご紹介です!
VTRどうぞ!」
そう言うと、作り込まれたVTRが流れ始めた。
コメント欄もかなりの賑わいを見せ始める。
「私はさくらもちが好きな普通の女子高校生です」
〔春風ともり〕
登録者81.8万人
茶髪のロングヘアーに輝く桜の髪飾り、桜の花弁のような臼ピンクの目、主にピンク、白の和装をしているが、サマー衣装など、遊ぶときは一番好きな緑色の衣装を纏う和風美人。
好きな食べ物は三色団子で、趣味は書道と弓道
愛称はハルちゃん ファンネームはハルとも
「竜宮出身の電子機器ヲタク、ななみんです!」
〔七海さんご〕
登録者126万人
水色の髪に青い裏地の入った髪に反して輝くのはヒトデのルリちゃん。
竜宮城で働くウェイトレスだったが、陸で輝く電子機器に魅了され、配信活動を始めた。
普段は天女のような羽衣や透明感のあるドレスを着ているが、コスプレイヤーが好きで裏で着ているとか着ていないとか
好きなものはクリオネで、趣味はアニメ鑑賞と読書
愛称はななみん ファンネームはくまのみさん
「俺はリチャード、よろしくな!」
〔リチャード・バックベア〕
登録者64万人
クマ好きのイケメンマッチョマンで、緑の髪に子グマのような優しい顔をしている。
通常はイケてる優しいマッチョだが、子供の頃はくまのぬいぐるみをもって歩くキュートな子供というギャップがある。
好きなものはクマで、趣味は猟銃の手入れと動物園めぐり
愛称はくまおじ ファンネームは森のベアさん
「以上三名が、明日開催する一次選抜のライバーでございました。
他5名は明後日の午後8時から行う前夜祭で説明させていただきます。
明日はいよいよ主張者兄貴姉貴達が争う戦いが行われます。
果たして、誰が予選を突破するのでしょうか、今から楽しみですね!」
明日は今日と同じ時刻から、無料で選抜の様子をリアルタイムで私達と見られるので、是非参加してください。
我が社の開発した最新技術を見逃すな!
ということで、本日のプレミア公開いかがでしたか? 参加する兄貴姉貴達も、観戦する皆様も、是非是非コメントや応援の方よろしくお願いします。
というわけで、明日またはここで会いましょう。」
手を振る新人ちゃん
暗幕がかかると、一斉にコメントが、「明日頑張る」や、「応援してる」などのコメントで覆われた。
僕も頑張らないと、みんなやる気凄いな
僕はイメトレや、考察部隊のスレッドを見て対策し始めた。
壁掛け時計の針がカチカチ鳴るたび焦りと鼓動が強くなっていく。
今日は早めに寝よう
そう心に誓ったとき、一本の電話がかかってきた
「あおちゃんヤッホー!」
明るすぎてついて行けないノリ、健也だ。
「直前配信終わったね、どう、しっかり準備できた?」
「勿論、問題ないよ」
「だよね、こんな大舞台でヘマなんてしたらオニイサン許さないよ!」
「はいはい」
「それじゃあ、次会うときは、お互い良い結果を持って会おうぜ。」
その問いにうんと頷き、「うん」
と力強く頷く。
「それじゃあ、またね。」
そう言って通話は終わった。
自分のために、健也の為にも頑張らないとな
僕は背伸びをして、机に向かった。




