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「ど、どうして私が人間の国に帰らなければならないんです?」
「演技はやめろ。お前は竜族じゃない。人間だ」
揺るがない目が確信を持って俺を貫く。言い逃れは出来ない。そう強く思った。
「いつから、いつから俺を人間だと分かってたんだ?」
「初めからだ。竜族独特の波動をお前から感じられなかった」
「どうして今まで黙ってたんだ?俺が竜族じゃないってことを」
「最初は監視していたが、お前は竜族の名を語るだけで、何の悪さをしなかったから見逃した」
「そうか。見逃してくれてありがとう」
「・・・本当はそれだけじゃない。お前は知らないだろうが、竜族のメスがオスに食べ物を送るのは求愛行動の一つなんだ」
竜族の真剣な顔に赤みがさす。
「ピット、私はお前のことが、好きなんだ」




