表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
恋を狩る夜に  作者: シロクマシロウ子


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

9/18

08 探求したいものと見学者達

ー登場人物紹介ー


夜岸連やぎしれん・"恋心"を食事にする生き物。中学生3年D組。

やつやなぎ修子しゅうこ・連に片想い。A組。


◾️橋本爽子はしもとそうこ・元女子バスケットボール部員。D組。

◾️加々かがみまい・連の2年生からのクラスメイト。D組。

雨宮英里あまみやえり・元男子バスケットボール部マネージャー。A組。

●近藤アイナ・雨宮英里の友達。A組。

今井景子いまいけいこ・元女子バスケットボール部員。C組。

 



 放課後の教室にはわざとゆっくりと残ってみた。

 八ツ柳修子(やつやなぎしゅうこ)がジャージの上を返しに来てくれるかもしれないと期待(きたい)してだった。

 来てくれなければまた中庭に行くつもりだった。


 彼女が何故(なぜ)あんなにも他の女子生徒とは明確(めいかく)に違う"恋心"を持っているのか気になって仕方(しかた)がなかった。


 八ツ柳修子のことばかり考えていたので、彼女が教室の入り口に現れた時には立ち上がって向かってしまった。

 美味(うま)い香りに またすぐに抱きつきたくはなったが、そこは自身をなだめる。


 彼女は──これから先自分が"食事"をして生きていく上で、重要なキーパーソンであることに昨夜気付いたからだ。

 彼女自身から"恋心"を消し去る前にもっと調べたいと思った。


 "何故この人間の中の 好きは特別なのか"


 ────今、それを本人に聞くには不自然過(ふしぜんす)ぎる。


 まずは距離(きょり)(ちぢ)めたい。


「八ツ柳さん。昨日、大丈夫だった?」


 教室の入り口に手をかけて(たず)ねると、背の低い彼女はこちらを見上げてから恥ずかしそうにうなずいた。

 それからスポーツブランドの袋を私に渡して


「ありがとうございました」


 と頭を下げると、あとは振り返って()ろうとした。


 教室の中にも廊下にもまだ他に生徒はいた。このやりとりだけでも注目(ちゅうもく)されていることは感じた。別にかまわない。


 私は


「八ツ柳さん、待って!!」


 と呼び止めた。

 彼女はビクリとして足を止めて振り返ったが、信じられないというような表情でこちらを見ている。


「なんで放課後 1人で水やりしているの?」


 突然(とつぜん)の質問に、戸惑(とまど)ったようだが彼女は答えをくれた。


園芸部(えんげいぶ)なので。……私1人の園芸部なんです」


 なるほど。


「そうなんだ。──僕も入ろうかな園芸部」


 言葉は無く、彼女の顔だけがビックリしたものに変化した。あちこちから ざわめきが起こる。


「バスケ部終わってやることないなって思ってたんだ。1人で学校の花壇(かだん)全部やってるなら大変だろうし」


 修子は首を千切(ちぎ)れんばかりに左右に()った。黒い髪も顔にまとわりつくほどで、異様(いよう)だ。それもどうでもいい。


「大丈夫です!! それに勉強した方がいいですよ!! 絶対(ぜったい)に!!」


 "なんでこの女の子は()けようとするんだろう? ますます知りたい"


「雨の日は休めるだろうし、冬にはもう水やりもほとんどないよね? 全然(ぜんぜん)勉強に影響(えいきょう)しないと思う。────行こう、八ツ柳さん」


 私は片手で受け取った袋をロッカーに(ほう)ったが、それは見事(みごと)命中(めいちゅう)してそこにスポッと(おさ)まった。

 2年間バスケットボール部エースだったかいがあった。

 見ていたヤツらが、おぉと感嘆(かんたん)の声も上げていたが無視(むし)して、私は修子の手を引いて歩きだした。



 3ーDの教室には、今年同じクラスになった橋本爽子(はしもとそうこ)加々見舞(かがみまい)がまだいた。

 2人は目を丸くして顔を見合わせていた。


 そして 廊下には近藤アイナの姿(すがた)もあった。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
わああ、夜岸連様の魅力がダダ漏れの回でしたわ。 !(^^)! 私、こういう悲劇のヒロインをその場の異様な冷たい空気から攫っていく男性って大好きなんです! もう読んでて今回が一番、夜岸連様にドキドキしま…
なんでこの女の子は避けようとするんだろう > 読者的には「キミと一緒にいると虐められるからだよ!」と突っ込みたいところだが、修子ちんはまだその因果関係に気づいてないかな。 しかしこのやり取りの後は、益…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ