14 達成の歓び
ー登場人物紹介ー
◆夜岸連・"恋心"を食事にする生き物。中学生3年D組。
◇八ツ柳修子・連に片想い。A組。
◾️橋本爽子・元女子バスケットボール部員。D組。
◾️加々見舞・連の2年生からのクラスメイト。D組。
●雨宮英里・元男子バスケットボール部マネージャー。A組。
●近藤アイナ・雨宮英里の友達。A組。
●今井景子・元女子バスケットボール部員。C組。
○阿久津仁・元男子バスケットボール部員。3年。
「僕に関することで いじめをしていたのは雨宮英里、近藤アイナ、山口可奈、三谷真波、賀川公美子、南さなえ だ。
僕自身は被害者は2人しか分からないけれど──」
そこでやや声を高く上げる。
「今日はこの件で学校に警察が出向くと僕は聞いてる。被害に遭っていた人は職員室に行くことを勧めるよ」
そう言って私はコンクリートに座り込んでいる英里を残して、バスケットボール部員達と舞のいる方に来た。
舞は私に
「私もされたこと言いに行く、ちゃんと」
と言ったので 私はうなずいた。
「ごめんなさい……私は……」
小さな声がした。今井景子だった。
「私は加々見さんのこと、一緒に いじめてた。……本当にごめんなさい」
景子は舞に頭を下げる。舞は黙ってそれを受けた。
「私も……ちゃんと言うから。自分のしたこと……見たこと……警察に」
景子は泣きだしていた。阿久津がそんな彼女に付き添う。
そして私達はそれぞれの教室に戻った。
が、その日 授業は行われることがなかった。
パトカーは本当に来た。
職員室には────いじめに関するうったえを警察に聞いてほしいと言う生徒達が詰めかけたのだ。
それはもう、私や雨宮英里達とは関わりのないものも沢山あったようだが……それは私にはどうでもいいことだった。
先生方はこれまでにない真摯な対応をそれにすることになった。それで授業はほとんどが自習になった。
私が名前を上げた6名は来た警察官達に聴取された。親にも連絡がいった者もいたようだ。
午前中で学校が終わることになり、私はその足で修子の元に向かった。
修子は今朝起こったことの全てをきいて、私に
「ありがとう。夜岸くん、本当にありがとう」
と言った。
彼女の悲しみはかなり薄れ、感謝には愛情がこもっていた。強く 大きく 甘美な愛情だった。
間違いなく 最高にそれは うまいと確信できた。
その日はもしかしたら、スキップをして帰ったかもしれない──それほどに浮かれていた。
やった! やったぞ!!
最高級の"恋心"を手に入れた!!
恋──どころではない
深い……美しい……芳醇な……あれは愛情だ!!
人間からの初めての深い愛を得たのだと本能的に分かっていた。
本物だ
今度こそ本物を手にした
もしかしたら父だって口にしたことがないかもしれない
──そう思うと顔は自然にニヤついた。
八ツ柳修子の僕への愛は本物だ
あれほどなら、食べ尽くしても彼女はまた私を好きになるだろう。なんと言っても本物の愛なのだから
ずっと彼女と一緒にいて、将来を共にするのもいい!
何度でもあの最上級を貪れるのは有り難い!
そうすれば生涯"喰うものには困らない"
人生を気楽に感じた。──言葉を悪くすればチョロい……と。




