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恋を狩る夜に  作者: シロクマシロウ子


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13/18

12 恋ではない狩りを1

ー登場人物紹介ー

◆夜岸連(やぎしれん)・"恋心"を食事にする生き物。中学生3年D組。

◇八(やつ)ツ柳(やなぎ)修子(しゅうこ)・連に片想い。A組。


◾️橋本爽子(はしもとそうこ)・元女子バスケットボール部員。D組。

◾️加(かがみ)々見舞(まい)・連の2年生からのクラスメイト。D組。

●雨宮英里(あまみやえり)・元男子バスケットボール部マネージャー。A組。

●近藤アイナ・雨宮英里の友達。A組。

●今井景子(いまいけいこ)・元女子バスケットボール部員。C組。

○伊東孝昌(いとうたかまさ)・元男子バスケットボール部員。3年。

○小塚良平(こづかりょうへい)・元男子バスケットボール部員。3年。

○大友健也(おおともけんや)・元男子バスケットボール部員。3年。

○森田勝(もりたしょう)・元男子バスケットボール部員。3年。

○阿久津仁(あくつじん)・元男子バスケットボール部員。3年。

 



 火曜日の朝だった──

 修子(しゅうこ)が学校に来なくなって5日経(た)っていた。

 プランターの方の植物達がまだ外にあるので、私はジョウロに水を入れて水やりをした。ここ数日は朝1回の水やりにしていた。


 中庭に人の気配がして、見ると──雨宮英里(あまみやえり)が立っていた。


「私もやろっかな。連(れん)くん、1人じゃ大変でしょう」


「ありがとう。凄(すご)く嬉しいよ」


 私は英里に偽(いつわ)りの無い笑顔(えがお)を向けて、本心(ほんしん)を言った。







 2人で水やりをする。早朝(そうちょう)で、まだほとんど生徒は来ていなかった。


「もう1人の園芸部員(えんげいぶいん)、八ツ柳(やつやなぎ)さん────すっかり学校に来ないものね」


 英里の方から話をふってくれた。──助かる女だ。


「彼女は今までも来なくなる期間はあるタイプだったみたいだから……仕方(しかた)ないのかもなぁ」


 私は肩を落として声にも落胆(らくたん)を込(こ)めた。


「八ツ柳さんと毎日会っていたから、付き合おうかってなっていたんだよ。──けど、彼女には迷惑(めいわく)な話だったかもしれない。…………寂(さみ)しいね」


 すると後ろから、英里の声がした。


「連くんが寂しいなら……私じゃ駄目(だめ)かな? 私と付き合うこと……考えてみてくれない?」


 ────私はゆっくりと……振り返った。

 英里はジョウロを両手に持って、こちらをじっと見つめている。


「雨宮は今 伊東(いとう)と付き合ってるんじゃないの? 喜んでいたよ、アイツ。部活動中はスタメンじゃないせいか全然相手にされなかったけれど、最近は声かけてくれるから告白(こくはく)してみて良かった──って」


「私はずっと連くんが好きだった。伊東とは別れたっていい。連くんが相手してくれないなと思っていたから、私も寂しかっただけなの」


 そこで、不思議(ふしぎ)そうに聞いてみる。


「小塚(こづか)や健也(けんや)とも付き合っていたよね? あれもそうなの?」


 彼女は大きくうなずいた。


「ちっとも好きじゃなかった。私が好きなのは連くんだけだよ。だからホラ、結局(けっきょく)どっちとも長くは続かなかったもの」


「全然気づかなかったなぁ……。雨宮はモテるから。阿久津(あくつ)や森田(もりた)にも告白されていただろう?」


 英里は今度は首を左右に振る。


「阿久津も森田勝も私の好みじゃない。告白されても嬉しくもなんともなかった。私は連くんが良かったの」


 その言葉を聞きながら、私は足元に空(から)になったジョウロを置いていた。身体(からだ)を起こして、腕を組んだ。


「だからって、みんなの気持ちを もてあそぶようなのは良くないんじゃないかな?」


 ジョウロを置いたのは合図(あいず)だった。元男子バスケットボール部の三年生メンバーが5人現れた。

 そして、元女子バスケットボール部の今井景子(いまいけいこ)と橋本爽子(はしもとそうこ)。それから加々見舞(かがみまい)もいた。


「英里ちゃん、そんなふうに思っていたのかよ……」


 現彼氏の伊東が、青ざめた顔で呟(つぶや)いた。


「伊東……。みんな……」


 英里は呆然(ぼうぜん)と立ち尽(つ)くす。


「別れる時には──僕には連(・)じゃなくて、"健(・)ヤ(・)ン(・)が好きになっちゃった"って言ってたけどなぁ。連のことそんなに一途思っていたっけ? 雨宮」


 1人目の彼氏だった小塚が言った。


「ハッキリ言うと、オレの時には英里が先に言ったんだぞ。"私達付き合っちゃおうか"って。……なんでもかんでも積極的(せっきょくてき)だったのはお前の方だったと思う。いつの間にかオレからいった感じになってないか、なんか」


 2人目の元カレ 健也──健ヤンだ。


「英里に告白はしたけど……好きだったけど……なんて言うのかな? 僕は英里の方が僕に気があって、告白もOKしてもらえるとばっかりに思って──告白した。だから断(ことわ)られてビックリして……あの時落ちこんだよ。"思わせぶりすんなよ"って腹(はら)が立ったの覚(おぼ)えてる」


 森田勝だった。


「オレは完全に片想いで──雨宮が好きだったよ。気が利(き)くマネージャーで、可愛(かわ)いくて……。凄く良い子なんだと思ってたから。……あの頃は」


 阿久津だった。彼はそうして、今井景子と目を合わせた。

 景子は口を開いた。


「私は今、阿久津と付き合ってる。私はずっと……ずっと阿久津が好きだったから。阿久津が英里を好きな頃から、私は彼を好きだった。──私はあんたが大嫌(だいきら)い、英里」


 景子の言葉を聞いて、英里のジョウロを持つ手は震えた。


「何なの?……何なのよ、これ……」


 そうして彼女は私に歪(ゆが)めた顔を向(む)けた。


「なんでこんなことするの? 私に」



 私は質問で返(かえ)した。




「なんで八ツ柳さんのポニーテールを切ったの? 英里は?」




 快晴(かいせい)の秋の日の始まりの朝だった。

 校内には生徒達の姿が次々と増えていた──






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― 新着の感想 ―
尻軽さんに対して、まさかの関係者総動員(≧▽≦) これを狙って出来るところが連くんだよな。 告白される前提の作戦なんて、普通は立てられない( ̄∇ ̄) モテる男の本領発揮だP(≧∇≦)q
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