表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
混頓中毒者異世界無残 ボール・ルーム・ブリッツ  作者: 黒い犬


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

38/42

サンヂュウハチ、もしくは、誘惑の火種とそこに集まる虫のような連中と

 スティーブンスの“セイレン”と私の“ラヴ・フラッシュ・フィーバー”をどのように蔓延させるかについてはスティーブンスに策があった、それはカウレスの街の上流階級界隈に流行らせるというものだった、カウレスは光教(オルラレイダ)の聖地であるが、他の宗教に属する人間も少なからず存在する、その少数の中でも天法典録団(ハイソロジアンズ)律厳社(リゲンシャ)の二つの宗教に属する連中はそのエリート気質から合致して「THE CURTAIN」という徒党を組みこのカウレスの街の社会・文化・政治の一部を仕切るような一大勢力となっていた、スティーブンスの狙いはこのTHE CURTAINにあった、この連中の歪んだ選民意識に漬け込んで私たちの混頓(ボール)を蔓延させてやろうという考えである、スティーブンスは言う。


「どこの上流階級も滑稽と言えば滑稽なんだけれども、カウレスのTHE CURTAINの連中と来たら本当に滑稽なんだよ、自分たちを選ばれた人間だと信じきっていやがるんだ、更に笑えるのは“それ故に”孤独だと言って混頓(ボール)を吸引しやがる、本当に笑えるよ」


 確かにスティーブンスの言うようにカウレスの上流階級であるTHE CURTAINの連中は滑稽である、そしてスティーブンスはその手口を詳細に話始めた、それは表向きは著名な僧侶のダインの教会に相談や懺悔に訪れる人間の中にTHE CURTAINの連中が混ざっているというのである、彼らはエリートである自負心を持ちながら混頓(ボール)に溺れているという自責の念にも同時にかられているのだという、更にその相談や懺悔を自信らが信仰している宗教で行わないのは信仰しているエリート志向の天法典録団(ハイソロジアンズ)律厳社(リゲンシャ)からの破門を恐れているかららしい、要するにスティーブンスはこのちんけなプライドを持ったエリート思想に固執するいやらしい混頓中毒者(ボール・ジャンキー)どもを更正などさせずに寧ろとことん堕落させてやろうと考えているのである。


 早速我々はその手引きをさせようとこれらのアイディアをダインに話した、彼はもはや我々の奴隷のように従順だった、何より毎日のように我々に上物の混頓(ボール)を施してもらえるのだからこの奴隷生活は願ったり叶ったりの状況だったに違いない、彼はスティーブンスのアイディアを聞くなり興奮気味に絶賛した、その表情たるや混頓中毒者(ボール・ジャンキー)それそのものだった。


 二、三日するとダインは一人の女を私とスティーブンスに紹介した、名前をジュディ・マスビートといった、THE CURTAINの、天法典録団(ハイソロジアンズ)の女で彼女は私やスティーブンスより若くして結婚までしていた、一見すると知的で聡明に見える美しい女ではあったが、やはり信仰する宗教におけるエリート志向に息苦しさを覚えて天法典録団(ハイソロジアンズ)内部にいた伝承者(メスマー)と密会し、混頓(ボール)に手を出したらしい、まだ中毒者(ジャンキー)と呼ぶには日が浅い人間であって、私はこの女を自分の生成した“ラヴ・フラッシュ・フィーバー”の虜にしてしまおうと考えた、彼女のような人間を混頓中毒者(ボール・ジャンキー)にすることなど造作も無かった、私もスティーブンスもジュディを言葉巧みに騙し、混頓(ボール)の世界へと引きずり込もうとした、彼女は若く知的で聡明ではあったが私たちのようなスラムでのビジネス上がりの伝承者(メスマー)の前では無力だった、スティーブンスが言うに「天法典録団(ハイソロジアンズ)伝承者(メスマー)などはお行儀の良いお遊びしかできない連中」らしく、そんな“お遊び”以上の素晴らしい快楽、本物の混頓(ボール)を体験させてあげようとまで言った、ジュディは既に私やスティーブンスの甘い誘いに乗せられて、自身がまるで快楽に取り憑かれた救いようのない中毒者(ジャンキー)のように錯覚していた。


「君に本当に必要なものは更正なんかじゃなくて、本物の快楽だよ、聡明な君なら分かるだろう?」


 そう言って私は「ラヴ・フラッシュ・フィーバー」をジュディに施した、彼女は眠るようにソファーに倒れ込み、やがて長く美しい髪を乱しながらその肢体をさらけ出し、ひたすら天井の無い恍惚感へと誘われている、今までに浴びたことなど無かったであろう鮮烈なる覚醒の光が今、正にジュディの全てを変えようとしている、私はその姿に美しさすら覚え、感動すらしていた、この感動こそが私の求めていた人生の輝きである、この感動こそがカウレスの上流階級どもに蔓延させるべき輝きなのである、私の施した“ラヴ・フラッシュ・フィーバー”によって精神と肉体が驚異的にほどけて行くジュディを見ながら私とスティーブンスは祝杯を上げた、ダインはその横でただ、ただ、「素晴らしい!素晴らしい!」と混頓中毒者(ボール・ジャンキー)の表情でその様子を絶賛していた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ