表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
86/101

第87話「図面が読めない? じゃあ、描いて見せよう」

「神原、明日までに西面の壁立ち上げな」


異世界の現場でも、やることは変わらない。

だが、ここには――「図面を読む文化」がなかった。


「……この図面、見てわかる?」


匠が描いた墨出し図を、現地の職人たちに手渡すと、彼らは首を傾げた。


「線がいっぱいあるな……」「ここに“穴”を開けるってことか?」


「いや、これは柱だって!」


「ちがう、この数字……“4.5”ってなんの数だ?」


(やっぱりか……図面が読めねぇ……)


日本の現場では当たり前に使われる図面も、ここでは“呪文”のような存在だった。


事務所に戻り、匠はエルに相談する。


「なぁエル。図面を、“誰でも理解できる絵”に変えることって、できないか?」


《それなら、光属性の“視覚展開”魔法が応用できます》


「おっ、それだ。どんな魔法なんだ?」


《図面の要素を、立体映像のように“投影”するものです。さらに、“工程”や“順序”をアニメーションとして表示も可能です》


「……それ、BIMビムみたいなもんだな。すげぇ時代になったな、異世界なのに」


次の日。


匠は広場の中心に簡単な木製スクリーンを立て、そこに魔力を込めた設計図を載せた。


すると――


建物の立体図が空中にふわりと浮かび、光の線が階層を積み上げていく。


「うおっ……!」


「これが、できあがった姿か……!」


「さっきの紙の線が、ここにつながってんのか!」


さらに、施工順を示す線がアニメーションで動き始め、次に積む石、取り付ける木材、補強する位置を、まるで“しゃべるように”表示した。


匠は言う。


「図面ってのは、現場の“言葉”なんだ。でも、読むのが難しければ――“見せる”。これが、おれのやり方だ」


その日の午後。


現場では、職人たちが図面を“目で見て”作業を進め始めた。


「この通りだな! あの赤い線が今やってる工程だ!」


「すげぇよ、“あの線”が動いてるだけで、みんなの動きがピタッと合う」


親方も、図面を前にぽつりと漏らす。


「……見えるようになると、迷わなくなるんだな」


エルがささやく。


《言葉が通じずとも、図は伝わる。あなたの“現場魔法”、また一つ、浸透しましたね》


「ふふっ、建設ってのはな……“伝えること”が一番大事なんだよ」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ