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第十六話 誤算

※クライブ視点です。

本日の連続投稿はこれで終わりです。

 紫の雲が空を覆い、赤茶げた荒野に影を落としていた。

 およそ10年ぶりに見るわが故郷、魔大陸コキュートスの姿は以前と変わらなかった。


 ジェイド様と拙者はおよそ1ヶ月の航海を終え、コキュートスの西海岸に上陸した。

 ジェイド様は初めて見る魔界の空や大地にしばし警戒をしていたがすぐに慣れ、今は人里を目指して歩いている。


 魔族の社会において、食糧や住居、その他必要なものを得るためには力を示す以外にない。

 只人のような貨幣を使った交換は行われておらず、物々交換、または強者と弱者の間に発生する献上と下賜だけが魔界の経済の仕組みだ。

 今の我々は何も持たざる者。ならば持っているものから奪うしかない。

 幸い、この辺りは強力な魔族による支配の影響を受けておらず、小さな勢力が小さなコミュニティに分かれて暮らしている。

 下克上にはもってこいの環境だ。

 村に行き、そこを支配する魔族を倒し、その財産も手下もそっくり奪い取る。

 それを繰り返すことで勢力は拡大していき、やがて大勢力を育て上げ、ジェイド様は魔王として魔界の覇権をかけて争うのだ。

 ジェイド様にはそれだけの力と才能、そしてバアル王の孫という血統まである。

 戦闘能力はすでにこの老体の及ぶところではない。

 シオン様が人間と交わったと聞いた時は、バアル王の血が継がれたことを嬉しく思う反面、惜しいことをしたと思ったものだ。

 人間と魔族の交配によって生まれる『マジリ』と呼ばれる種は魔族に比べて魔力が低いとされる。

 ジェイド様やネイト様、セレナ様もその例から漏れず、史上最高とも思われる圧倒的な魔力を持つシオン様に比べればその魔力は脆弱なものだった。

 セレナ様は上位魔族に匹敵するが、ネイト様はそれより数段落ちるし、ジェイド様は本人の気質からかほとんど魔法を使わない。


 もしシオン様が交わったのが上位魔族の娘であれば、どれ程の寵児が生まれたかと思わずにはいられない。

 そのぐらい、シオン様は規格外だったのだ。


 反面、嬉しい誤算もあった。

 魔族にとって未来永劫語り継がれるだろう『デモンスレイヤー』ジークリンデの誇った天性の戦闘の才能は息子たちに確実に受け継がれている。

 特にジェイド様の剣の才は年齢も鑑みれば常軌を逸したレベルであると言える。

 ムーべルード作の魔剣『フレアキス』を枝のように軽々と扱い、拙者とリンネ殿、ネイト様を同時に相手取っても圧倒するほどの腕を持っている。

 齢12歳にして剣の腕はすでに超一流。

 魔法を使わないことを差し引いても3人のお子たちの中でもっとも強いのはジェイド様である。

 100年、いや、50年もすればジェイド様に勝てる生物はこの世からいなくなるだろう。

 その力……まさに魔王にふさわしい。


「クライブ、なんか家みたいなのが見えてきたぜ」


 ジェイド様の声を聞いて、目を細めて遠くを見る。

 たしかに、魔族の集落だ。

 規模としては2、30人が暮らす程度の小さなものだろうが手始めとしてはちょうどいい。


「ええ。あれが魔族の集落です。

 おそらく一番大きな家に集落の長がいることでしょう」

「そいつをぶっ殺せば、虫やトカゲを食らう生活から抜けられるってわけだ。

 やる気が出てきたぜ」

「あの島は食糧が豊かでしたからな。

 見るからに貧しそうなのでそれほど期待はできませんが、配下は多くいて困りません」

「ああ。父さんと母さんを探すにも、それができる奴を探すにも人手が必要だからな」


 肩をグルグルと回すジェイド様。

 もう一つ誤算といえば、兄弟の中でもっとも魔族の血が濃いジェイド様だが、その性根は実に只人的であった。

 乱暴で粗野なところはあるが、弟や妹はもちろん、リンネ殿や拙者にも家族愛を持って接していた。


 彼は自分よりも弱いネイト様を決して侮りはしなかった。

 自分の強さについて来られるように厳しく丁寧に弟を導いていた。

 危なっかしいセレナ様を守ってやらないといけないという庇護の精神を持っていた。

 妹を守るようにとネイト様に言いつけていたのもそのあらわれだ。

 

 そして、拙者やリンネ殿に対しても敬意を払っていた。

 たしかに拙者達は彼らの食事の世話や武術の師事をしてやったりはしていたが、それに対する恩を上回るほどの感情で彼らは拙者たちを受け入れてくれた。

 とるに足らないことかもしれないが、拙者はそんな心根こそが彼らの力の根幹であり、また世界を変えるきっかけとなると思うのだ。

 只人の世界で年下の者に限られた食糧を分け与えた子ども……

 あれこそが只人の強さの象徴的行為であり、魔族が何百年と生きても持ち合わせないものだ。

 バアル王は最強の魔王としてこの魔界を統べた。

 だが、最強であったが故にそれを失った後の魔族は脆かった。

 王の支配を我が物としようとする者、空いた最強の称号を欲する者、族滅の恐怖に慄き保身に走った者……

 魔界は自分勝手な者たちにより千々に引き裂かれ今に至る。

 強者が弱者を統べる世は自然な在り方だ。

 だが、強者が強者たるべく弱者を喰らい尽くす世などあってはならん。

 まして、バアル王によって一丸となっていた頃を我々は知っているのだから。


「クライブ。ここまで付いてきてくれてありがとうな」

「どうしたのですか?」

「いや、俺はネイトみたいに良い子ちゃんじゃなかったからさ。

 アンタには反発もしたし、怒らせもした。

 だから、こうやって魔界にまでアンタがついて来てくれたことに、驚いている」


 顔を背けながらジェイド様は拙者に語る。

 こういうところだ。

 この方の得難い心根というものは。


「子どもに手をかけられることぐらい、既に慣れておりますぞ。

 息子も孫も、その子どもいたのですから」

「いた?」

「ええ。もうほとんどが亡くなりました。

 人類との戦に加え、バアル王の死後の混乱の中で。

 バアル王の庇護下に何百といた拙者の血縁のものは数える程しか残っていないでしょう」

「クライブ……それってさ、母さんと父さんが原因だったって言ってるわけ?」


 ジェイド様の顔に影がさす。

 拙者は首を横に振って否定する。


「いいえ。ジークリンデ殿に思うところはありませぬ。

 あの方もまた只人の存亡をその背負い、戦って勝った。

 それだけのことです。

 戦士として賞賛すれども、恨むことなどございませぬ。

 シオン様がバアル王の後を継いでくれれば、と思わなかったことはありませんが、それ以上に幼いあのお方とバアル王との仲を拗らせてしまったのも、何も出来なかった我らの罪。

 にもかかわらず、この爺の言葉に耳を貸し、協力してくれようとしていたのです」


 心の底からそう思っている。

 あの二人は素晴らしい。

 誰よりも強かったが故に、迫害され世界の果てで暮らすしかなかったのにも関わらず閉じた世界の中で幸せを自ら作り出した。

 そして、外の世界を憎むこともなく、再び救うためにその身を捧げたのだから。


「ジェイド様。あなたはあの二人の子どもです。

 拙者が忠義を尽くすにはそれで十分なのですが……」


 祖父や父に似た、銀色の髪に鋭い紅い瞳。

 類稀なる才能と無限の可能性を持つこの子供を育て、敬愛されたこの7年間。

 我が人生において至福の時間であった。

 そんな時間をくれたジェイド様を拙者はーー


「あなたを愛している、只人の親のように。

 あなたの願いを叶えるためならば、拙者はこの命を投げ出すことも惜しくない」


 だが、彼の願いを叶える前にやってもらわなくてはならないことがある。

 魔界の統一。

 バアル王のいた頃のような強者が弱者を従え、共に暮らすことができる世界の創造。

 それまで、ジェイド様たちの願いは叶わない方がいい。

 むしろ、両親と再会すればおそらくこの子達は島に帰ってしまうだろう。

 それは避けたい。

 拙者はジェイド様に夢をかけている。

 魔族の歴史に残る偉大な王となることを。

 そして、その王の英雄譚の中に忠義の側近として我が名を残すこと。

 それこそ我が最後の望み……

 滅びゆく狼の一族の墓標に添えるべき花だ。



「行きましょうか、ジェイド様。

 あなたの力を魔界の民に知らしめる時です」

「ああ。邪魔する奴はぶった切る。

 それが俺の進む道だ」


 ジェイド様はフレアキスを鞘から抜いた。

 抜刀して村の中に入るなど狼藉甚だしいが、早いか遅いかの違いだ。


 ジェイド様の前に立ち、歩みを進める。

 年甲斐もなく気分が高揚している。

 手塩にかけて育てた我が夢の子どもが魔界の地で戦う姿がついに観れるのだ。

 長生きもしてみるものーーーー





「……だ?」





 自分の胸から刃が突き出ている。

 熱された鉄のように橙に輝く、そんな刀身を持つ剣は他に知らない。

 フレアキス…………!


「が……ハッ!?」


 吐血した。

 だくだくと流れ出る血と揺らぐ視界。

 ようやく自分が刺されたことに気づく。



 誰に?



 決まっている! この剣を持っているのはーー



 誰だ?



 ……この剣を……持っているのは……


 首をグルリと後ろに向ける。

 目に映ったのは怒りも喜びもなく、ただじっとこちらを見つめているジェイド様……

 ジェイド様…………


「ジェイド……様?」

「クライブ。アンタは自分が優れていると思い過ぎだ。

 力でかなわなくなっても自分の老獪さがあればガキ一人操るなど容易い。

 そんな風に考えていただろ」


 ジェイド様はフレアキスを抜いた。

 刀身は熱を放ち、我が血を灼いて煙とした。


「な、何故……拙者を?」

「何故って言われてもなあ」


 ジェイド様は手首に剣の柄を乗せて曲芸のようにクルクルと回す。


「ずっと殺したかったから、じゃ分からないか?」

「ずっと……?」

「だってそうだろう。

 アンタとリンネが来たと思ったら、父さんと母さんが島の外に出て行って帰ってこなくなった。

 つまり、アンタは俺やネイトやセレナから父さんと母さんを奪ったんだ」

「ち、違う! あの二人は自らの意思で」

「そう仕向けたのはアンタだろう!

 アンタさえ来なければ、父さんも母さんも外の世界のことなんか気にせず、今もあの島で俺たちと暮らしていたんだ!!」


 ジェイド様は激昂する。

 怒りに目と眉は釣り上がり、歯ぎしりをする口の端は広がっている。

 この表情を拙者は知っている。

 バアル王やシオン様が見せた怒りの表情と瓜二つなのだ。


「あれから5年だ……

 物心が着いたのは3つぐらいの頃だったから父さんと母さんがいない時間の方が長くなってしまった。

 お前も聞いたことがあるか?

 ネイトのバカが最近、セレナのことをお母さんに似てきたって言うんだ。

 そんなことを言われたから俺はセレナの顔をじっと見て、母さんの顔と比べてみようとした。

 だけどな……できなかったんだよ!」


 ジェイド様の重い蹴りが腹部に突き刺さった。

 一撃で筋肉を断ち、骨や内臓を砕く恐ろしい蹴り。

 全身から力が抜け落ち、地面に這いつくばった。


「もう……記憶にある母さんの顔なんておぼろげなんだよ。

 セレナが似ているかどうかなんて分からないんだ。

 俺のことを父さんに似ているとアンタは言うけれど、父さんの顔もぼやけている。

 あんなに大好きだったのに!

 こんなに会いたいって思っているのに!」


 ジェイド様の体の周りに細い稲光のようなものが発生し始める。

 これは……魔力の開放?


「ジェイド様……その魔力は?」

「強すぎる力を持った存在は排除される。

 父さんや母さんのように。

 それはアンタたちが教えてくれたことだ」


 ジェイド様の纏う稲光を弾き飛ばすようにその体内から魔力が放出された。

 シュイン、シュインと渦巻く魔力の流れが空気に干渉して笛のように音を立てる。

 いつのまにか、肉体の痛みは消え失せていた。

 自分の体が痛みによる警告を与えることよりも、目の前のジェイド様に恐怖することを優先している。


「その……力は……」

「隠していたのさ。

 あんまりにも俺が強すぎると、お前が俺を利用しようだなんて考えなくなる。

 クク……狼の姿をしていながら、アンタはクライネたちと違って臆病だからな」


 あざ笑うジェイド様の禍々しい顔。

 ようやく悟った。

 この子どもは拙者やリンネ殿、さらには兄弟たちをも油断させるために、拙者を家族扱いするフリをしていたのだ。


「間違っているぜ、クライブ。

 俺はそんな姑息なこと考えていなかった。

 今だって、アンタが油断していようがしていまいがどうでもよかったんだ」


 ……今、拙者の心の内を読んだ?

 たしかにジェイド様は勘の鋭い子供ではあったが、ここまで正確にーー


「『考えていることが分かるものなのか?』

 ってか」


 ジェイド様は拙者を見下ろして鼻で笑った。


「話を戻すぜ。俺はアンタが油断していようがいまいが、脅威にはならないと踏んでいた。

 俺がここで仕掛けたのはアンタの頭の中で渦巻いているクソ自分勝手な物言いに心底吐き気がしたからだ」

「ジェイド……様……

 あなたは……他人の心を……」

「ああ、そうだ。

 俺は他の奴が考えていることが読める。

 心の声が聞こえると言ってもいいか。

 特にアンタは読みやすい。

 自分が賢いと思っているから、自分の頭の中で全てが完結していて余計な情報がない。

 俺を傀儡にしての魔界征服計画……

 よくもそこまで鮮明に妄想を描けるもんだ」


 なんてことだ……

 もはやこれはバアル王の孫とか、天使や聖剣の勇者の血を継ぐものなんて生易しいものではない。

 心を読む力……

 さまざまな魔法や能力を持つ者がいるこの魔界でも、これほどシンプルで凶悪な能力を持つ者が他にいるだろうか。

 ジェイド様の前では嘘がつけない。

 謀も不忠義も存在を許されない。

 神ですら成し得ない絶対の忠誠を可能とする禁忌の力だ。

 その上、この膨大な魔力……



 突如地上に発生した膨大な魔力は空の空気を歪ませ、彼の頭上にある雲を引きちぎっていく。

 ぽっかり空いた雲の隙間から紅の光が見えた。

 魔界を見下ろす紅の暁星……


 魔界を統べる王の光輪を祝福する光だ……

 新しき魔王ジェイド王の!!


「嬉しそうだな。心を聞くまでもねえぜ」

「ええっ! これほど嬉しいことがございましょうか!

 この魔界を統べる王の降臨の瞬間を見届けられたのです!」


 殺されようと構いませぬ。

 我ら魔族の王、ジェイド王……

 その力を持ってすれば魔界の統一などたやすいこと。

 只人の領域に手を伸ばされるのもいい。

 あなたの力であれば只人たちもその支配を喜んで受け入れよう。

 ここで我が身は朽ち果てようと、我が望み、新たな世界の到来は約束されたーー


「ああ……アンタに最後に言っておくことがある」


 ジェイド王は拙者を見下ろしながらフレアキスを納めた。


「俺は……魔王になる。

 この世界で唯一の」

「ええ……素晴らしいことです。

 それを邪魔できる者はおりますまい」


 この世界の先を見れぬのは惜しいが……今際の際に夢想するのも悪くない。

 ジェイド王によって統一された魔族の共生する世界をーー


「フフ……クライブ」


 ジェイド王は笑みを浮かべながら、拙者の肩を掴み体を起こす。

 その手の温もりに感涙しそうになった。

 このお方は心根が優しい方なのだ。

 拙者はその逆鱗に触れてしまったが、そうでなければ……

 弱肉強食の魔界を心やさしき魔王が支配する。

 それもまた、新しき時代ーー


「なんでそんな都合のいい夢が見れるんだ?」


 ジェイド王は光のない目で拙者をのぞき込んできた。


「お、王よ……」

「支配? 共生? 新しい時代?

 そんなものがお前たちに与えられると思っているのか?

 子供の父さんを追い出した上に、俺たち親子を引き裂いたお前たちが」


 彼の背中にナニカがいる……?

 これは、


「俺は魔王になる。

 だが、やることはひとつだけ。

 俺の気に食わない奴を皆殺しにすることだけだ」


 心が読めなくとも、その決意に一分の混じり気のないことを理解した。

 そして、自分がどれだけ甘い考えをしていたのか気づいた。


 王は統べる者……

 そんな常識は常識の範疇にいるものにしか通用しない。

 非常識な力を持ち、世界の広さに興味を持たず閉ざされた島での小さな暮らしを尊ぶジェイド様に常識なんてかけらもない。

 多くの民が生きられることを良き事と思わない。

 世界に可能性が満ちていることを楽しい事と思わない。

 そんな者は普通の力を持って、この世界の一部として生きる弱者の価値観なのだ。


「ジェイド……」

「さようなら、クライブ……俺もーー」


 最後の瞬間、聞こえた言葉は拙者を呪うものだった。

 ああ……拙者は失敗した。

 魔界を救うどころか、絶対に招いてはならぬ者を育て導いてきてしまった。

 もし、この世が滅ぶのならば、その一端は拙者によって開かれたのだ。



 申し訳ございません、バアル王……

 あなたの守った魔界を壊してしまうかもしれません……


 お許しください、シオン様、ジークリンデ殿……

 あなたの大切なお子を歪ませてしまった……


 リンネ殿、ネイト様、セレナ様……

 拙者の誤算をあなたたちに伝えられたのなら……




 ジェイド……

 どうか……どうか………………



 ………………



◇◇◇


 魔王バアルの腹心であり人狼族の長として君臨した魔狼将軍クライブは魔界の端の荒涼たる不毛の地でその生涯を終えた。

 亡骸はほとんど残らなかった。

 怒りを込めたジェイドの一撃は憎き相手の欠片すらもこの世に残ることを許さなかったのだ。


 しかし、クライブの存在を示すものは、この世界にたしかに残っている。

 彼を殺したジェイド自身の中に。

 クライブは忠義者であり、また情に篤かった。

 間接的とはいえ、両親を奪ってしまった子どもに対して尽くすことを厭わず、持てるものを全て捧げた。

 故に魔界に降り立った時のジェイドを形作る力、知識、精神の多くにクライブの教えが刻み込まれている。


 クライブは生前、盟友であるリンネに漏らしたことがある。


「我が生涯のほとんどはバアル王の為に捧げてきた。

 故に自らの妻や子に時間や愛情をかけることは後回しだった。

 そのことに後悔はない。

 男として生まれたからには自らの大望に殉じることに勝る喜びはないのだから。

 だが……今のようにお子たちと暮らし育てていると、分からなくなる時がある。

 拙者はこの穏やかな日々をどうして手放し難く感じてしまうのか」


 リンネは神の言葉を用いるでもなく、答えた。


「子どもたちが楽しいと感じていることが、あなたにとっての楽しみになったからではないですか」


 そう言われたクライブは顎を指で掴んで考え込み、黙りこくった。









第2章完結です。


暴挙とも言えるクライブへの断罪を行ったジェイドは今後、どうなってしまうのか。

また、ジークリンデとシオンに続き、マリアーヌに向かったネイトたちの安否も分からない状態です。



「続きが気になる!」


と、言う方はぜひブックマークをつけて追い続けてください。



「ジェイドのバカヤロウ!!」

「いや、ジェイドの気持ちも分かるよ」


などと、作品に思いを寄せられる方は感想をお願いします。



また、この作品が読者の皆様にとって面白いかどうか気になるので、下の方にある評価ポイントで教えていただけると嬉しいです。



なお、私は書いていて楽しくて仕方がないので、完結までバリバリ書き続けるつもりです。

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