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忘れたく無い記憶  作者: 柊海音


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第二十六章 隣人の訪問

真守は雨が降る失念島の夜空を眺めながら酒に浸って居たが、孤独感で押し潰される様な気持になって居たのだった

そしてまたあの使われていない用水路へ向かい、あの時優しくしてくれた青年達と会いたいと考えて居たのだった

でもあまりにも身勝手な自分だなと考える

あの日、あの時親身になってくれた優しさと温もりがとても恋しくなっていた

真守はどこで生まれどこで育ったのか、そしてこの容姿、この貫禄でどう生きていたのかを思い出せ無いでいる

自分の名前すら分からない…ただ覚えてるのはこの島で働いている自分自身の事と島の住人とそしてあの時送り出してくれた青年達の記憶である


長屋の扉を開けると夜なのに声が聞こえて来る

でも何て言っているのかは分からない

懐中電灯を持つ今まで見た事の無い男達が巡視をしている様子だった

最近になって夜は騒がしくなっている

一緒に働く漁師の話では、最近働く者達が居なくなって来ていると

何処へ行ってしまったのかと嘆いている声を聴く


ただ、夜になると動きだす島人達…真守には不安しか感じられず、夜外へ出るのを結局諦めていたのであった…


ふたばは家へ帰ると22時をとっくに過ぎていた

車内で友希のLINEを確認する

友希(見た感じは走り書きだよね!何だか急いで書き写した様な…人の事はあまり疑いたくは無いんだけど…唯一私の事を気にしてる男性は居るかな…まぁ、ホテルのお客さんだけど‥偶々落としたメモが私の事書かれてたなんて恐くて今日は眠れ無い…どうしたら良い?)

ふたばは友希からのLINEを確認すると、直ぐ電話を掛けた

♫♫♫♫

友希「ふたば、帰った?」

ふたば「ごめん、さっき帰ったよ。LINE読んだけど、私もこの件に関してとても心配なの。それをワッチさんにも伝えてさ、両親にも伝えた方が良いと思う」

友希「生活上はなんにも変わりは無いんだけど…」

ふたば「もしかして、メモを落としてる事で再び探られる事もあるかもしれないから、特に会社では住所を探られ無い様に気をつけた方が良いよ。後は郵便物を会社宛に送らないとかね」

友希「うん、郵便物を送る事は無かったけど…このこと常務に伝えた方が良いかな…」

ふたば「遠回しに住所録の管理ってどうしてるのか聞いてみたら?でも同僚にどう思われるだろう」

友希「うん…個人情報だからちゃんとその辺は管理してくれてるだろうけど…気をつけて探ってみるね」

ふたば「この事、アオト君にも相談したんだよ。勝手にしちゃってごめん…友希の事心配で」

友希「アオト君何か言ってた?」

ふたば「うん…良く無い事起こるんじゃ無いかって心配してたよ」

友希「そっかぁ…不安だけど‥今週末剛角神社でまた話そ」

ふたば「うん、しつこいだろうけど、私に毎日連絡して」

友希「分かった」

友希との電話を終えると、ふたばはアオトにもLINEするのであった

こうして長い長い夜は終わりを迎えたのだった


翌朝 ふたばの隣で楓は寝ている

寝息を立てふたばの額には楓の手がのせてある

ふたばはゆっくりと楓の手を下ろす

ふたば(喉渇いた…)

階段を下りる前に窓を開け外の様子を何気無く見る

工事は着々と進んでいる様子が見える

4方向にそびえ立つ建物、ヘルメットを被った複数人の従業員の姿も見える

ローズは階段を上がり小窓を登ってふたばの見つめる先を一緒に眺める

ふたば「ローズ、まだまだ向こう側へは行け無いよ」

ローズ「にゃ〜」

2人は1階へと下りて行く…

するとリビングで賑やかな声が響き回っている

ふたばは閉まっていたドアを開けると、そこには鏡太郎夫婦がソファに座っているのが見えた

一瞬(えっ)と驚き

ドアを閉めようとしたが澪花は階段からふたばが下りてくるのを気付いていた

澪花「ふたば〜おはよ!お客さん来てるよ」

澪花はふたばをその場で呼んでしまった

仕方無くふたばはドアを開け俯く様に入った

ふたば「おはようございます」

ふたば(どうせ私の事なんて忘れてるかもしれない)

鏡太郎夫妻「お邪魔しております。」

鏡太郎「お久しぶりです」

澪花「私の長女なんですよ」

ふたば「は、は、はいっ」

澪花「ご夫妻が貴方に話たい事があるんだって…待っててくれてたのよ。今コーヒー入れて来るわね」

鏡太郎「ごめんね、ビックリさせてしまって」

ふたば「えっ、あっはい」

鏡太郎「私たちの事覚えてるかな?ほら沙苗も」

沙苗「あの時は私を助けて下さってありがとうございます。マミカもこんなにスクスクと成長しています」

ふたば「…あっ、その…覚えていて頂けたんですね!お子さん、マミカちゃんと言うのですか。可愛い〜ちょっと抱っこしても良いですか?」

沙苗「もちろん」

マミカはフローリングに座っておもちゃで遊んでいる

ふたば「マミカちゃん、大きくなったね〜」

マミカ「パァパ」

沙苗「最近1人歩きが出来る様になったんですよ」

ふたば「こちらへ来てどれくらいなんですか?」

鏡太郎「1ヶ月ぐらいかな〜」

ふたば「そしてこちらへ引っ越しをされた感じで?」

鏡太郎「うん、うん、偶然だったよ。まさか旅行先でご家族にお会いして、住んだ先にはご家族が住んでいたとは…何だか必然な出会いの様です」

澪花「はい、コーヒー出来たわよ〜」

ふたば「ありがとう。頂きます」

…

ふたば「美味しい!このコーヒーは始めての様な懐かしい様な…でも父の淹れたコーヒーとはちょっと違う様な…もしかして鏡太郎さんが持って来てくれたコーヒーですか?」

鏡太郎「よく分かったね〜そうそう。ミネラルを含んでるからちょっと塩味があるかもしれないけどクセになると思うよ」

ふたば「そうですね〜やみつきになりそう。ケーキとか食べたくなっちゃう」

澪花「そうでしょ〜。ケーキは無いけど、ちょっと待ってて〜」

再びキッチンへ戻る澪花

鏡太郎「実は本題なんだけどね‥白根ミヨリ覚えてるかな?」

ふたば「白根ミヨリさん…どちら様でしたっけ?」

鏡太郎「あっ…えっ?忘れてしまったんですね…僕の母です。」

ふたば「あぁ、何だか……ミヨリさん…名前に聞き覚えもあるかもしれません。」

鏡太郎「では、まりかに思い当たる事って無いかな?」

ふたば「まりかですか?連想ゲームでしょうか?まりか、まりか…鞠花…」

ふたばは涙が溢れて来る…ふと顔を上にあげる

ふたば「すみません‥ちょっと友人を思い出したら涙が止まら無くなっちゃって」

鏡太郎「ふたばちゃん、高校生の時鞠花と遊んでくれたんだよね?」

ふたば「えっ、あ…はい…友希と鞠花と3人で良く遊んでいましたが、鞠花はもう居ません…」

鏡太郎「居ないとは、やはり……鞠花は僕の妹だったのです!」

ふたば「えっ?ほんとに!?鞠花にお兄さんが居たなんて!鞠花から聞いた事無かったです!」

鏡太郎「それもそのはずだと思う。僕と鞠花は一度も会う事無く…母とも会えずに…。母だけは戻って来て顔をみせてくれたのだけど‥その後知ったのは僕には妹が居たって事だったです…そして君が持って来てくれた母の手紙の中には妹が居た事実、そして妹は何者かに殺されたというのを知っ…」

ふたば「やはり鞠花は犯罪に巻き込まれたんですか!」

鏡太郎「いや…僕はそう思えてならないのです…覚えている限りで教えてくれませんか?鞠花の事…」

ふたば「鞠花の事覚えてる限りですが、話ます」

ふたばは鞠花との出会いから日常生活、交友関係を思い出す限りに話た

鏡太郎「そうだったんだ…鞠花は犬を飼って貰っていた…そして段々と合わなくなり突然と事件に遭ったとはね…」

澪花「深刻そうね…今ね、ガトーショコラ作ってみたのちょっと温かいけど…どうかな?」

鏡太郎「すみません、ありがとうございます…頂きます」


楓「朝から香ばしい香りがする〜」

階段を下りて背伸びをした楓がやって来る

澪花「楓おはよう。井田さんすみませんね…家の娘達は寝間着でも気にしない娘達なので」

鏡太郎「嫌々気になさらないでください。せっかくの休暇にお邪魔してしまってご迷惑でしたね」

楓「おはようございます。あっお隣さんですね!お母さん起こしてくれたって良いのに…あれ?お父さんは?」

澪花「お父さんと楓太は朝から釣りに行ったからね、井田さん夫婦が挨拶にって来て頂いてるのに何のおもてなしも出来無くて…」

鏡太郎「いえいえ、突然連絡も無く来てしまって申し訳ありません、そろそろ私達も失礼致します。今日は家族みずいらずで過ごせるので近くの公園にでも行こうと思っています」

澪花「それが一番ですね」

鏡太郎「ケーキ美味しかったです。コーヒーとよく合いますしケーキの作り方を後で沙苗に教えて貰っても良いですか?」

澪花「後でレシピ書いてポストへ入れて置きますね」

楓「お母さん、私にもケーキ無いの?後コーヒー」

澪花「今用意するから待ってて」

ふたば「楓は今日は?」

楓「今日日曜日でしょ。ケーキ食べたらまた寝ようかな」

ふたば「じゃあ自分の部屋で寝るんだよ!」

楓「なぁんで、ねぇ~ねの布団の方が眠れるんだから」

ふたば「ほら歯磨きと手を洗って来て、ケーキ食べるんでしょ」

楓「もう分かってるよ〜!」

楓は洗面所へと向かう

ふたば「今度…友希と合流して話ませんか?」

鏡太郎「良いね〜でもどうやって合流しようか?」

ふたば「この件は家族には内緒にしたいんです。携帯って持っていますか?」

鏡太郎「携帯って電話ってのはそりゃ分かるよ。持ってるよ。恥ずかしながらメールって機能は分からないんだけど…」

ふたば「そうですよね、もし良ければ連絡先教えて貰いたいんです。」

鏡太郎「携帯の番号ってどこで開けば良いか分からないんだけど…」

ふたば「大丈夫ですよ、ちょっと携帯借りて良いですか?」

ふたばは鏡太郎の携帯を受け取り、メニューから電話番号を確認する事が出来た

ふたば「こちらの番号を私の携帯に登録させて頂きますね」

鏡太郎「あっ、はい…」

ふたば「後で電話します」

澪花(ふたばはお隣さんとどうして親しいのかしら…?)

澪花にはふたばが夫妻によそよそしく話す姿がお見通しだったが、気にしない様にしたのだった


















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