第二十章 再会
救急車の中で扶美子の手を握り続ける花陽
そして隣で花陽を支える竜二
モニターは安定している様だ
意識を失っている様子だが
眠っているようにも見える
花陽「お母さん、私を覚えていてくれた」
竜二「可愛い1人娘を忘れる筈無いじゃない」
花陽「私は忘れても良いなんて思ってしまっていた。お母さんの手、こんなにしわがれていたっけ?そして疲れ切った表情をしてる。申し訳無い事してしまったな」
竜二「花陽、僕も同じ気持だよ。僕が全て受け止めるから花陽は何も考え無いでお母さんに寄り添ってあげよう」
花陽「うっうっ…お母さん…」
救急車は数分後病院へ到着する
その頃友希達は
友希「玄関開けたままだし…勝手に扶美子さん家お邪魔してるのは悪いから…ふたばがこっちへ来てくれるみたい。お家の鍵閉めて、私が持っていれば良いかな?」
ワタル「うん、留守宅に上がるのはね…。病院へ向かえば良かったかな…?ふたばちゃんが来たら相談しよう」
友希は一応戸締まりやキッチンのガスの確認をした後、阿佐田家の玄関を閉め、車の中でワタルとふたばが来るのを待つ事にした
15分後、ふたばの車が阿佐田鉄工所の空き地へ停まる
それに気付いた友希とワタルは車から下りて、ふたばの元へ向かって来る
ふたばの車に近づいた時点で友希は助手席に男性が座っているのを確認する
友希「ふたば〜」
ふたば「友希〜どうしたの?何があったの?ワッチさん、こんにちは」
ワタル「こんにちはふたばちゃん」
友希「お友達と来たの?それとも…」
ガチャっと助手席から下りてアオトは友希達の元へ
アオト「こんにちは!始めまして!ふたばちゃんとお付き合いさせて貰ってる岩田と申します!」
友希とワタルは一瞬ポカンとしたが、
友希とワタル「よろしくお願いします」
ふたば「アオト君…」
ふたばは恥ずかしさもあったが、嬉しかった
ふたば「ここで話すのもあれだし…リターンカフェに行かない?」
友希「夜8時までだったから後3時間は営業してるよね、きっと…近いから歩いて行こうか」
ふたば「そうだね!」
車の鍵を閉めて4人は歩いてリターンカフェへ
前方に友希とふたばが歩き、後方にワタルとアオトがついてくる
友希「何だか変な感じだよね〜。ダブルデートっやつ?」
ふたば「フフッ」
ふたばはアオトとの話を逸らす様に話す
ふたば「花陽さんって友希はどうやって分かったの?」
友希「アルバム見てたでしょ!扶美子さん家に初めて行った日」
ふたば「そうか、そうか‥」
友希「私達が家へ入った後だったよ。突然裸足で外へ出て行って扶美子さんが引かれた瞬間を目にしたのは‥そしたら私よりも先に女性が駆け寄っててそれでピンと来たの。花陽さんだって」
ふたば「そして救急車を呼んで花陽さんは乗って行ったのね!」
友希「うん、男の人と一緒に。何だか見るからに旦那さんの様だったよ。」
ふたば「そうなんだ〜今となっては記憶は曖昧なんだけど花陽さん島に馴染んでいる様子だったし…辛い顔して無かったからね」
友希「ふたばは明日は仕事?」
ふたば「ううん、連休だよ。」
友希「そうなんだ。で、彼氏さんとデート中だったんだね〜」
ふたば「友希こそ。あっ、そうそう、友希に渡さ無いとなって思ってたこの間の旅行のお土産があるんだよね…家に行けばあるんだけど。」
友希「私達2人だけだったらふたばの家まで行けるんだけどね…後でね。あっそうそう、扶美子さん家の鍵持ってるんだけどどうしよう…」
ふたば「どうしようか…私持ってる?扶美子さん携帯持って行ったかなぁ」
友希「あっ、全然確認出来て無い…」
ふたば「それ重要かもよ。扶美子さんの容態心配だからさ、夕食食べたら4人で病院行こうか?予定大丈夫?」
友希「私は大丈夫だよ。明日は遅番だからさ。でも車は別々の方が良いかもね」
ふたば「うん、灯りが見えて来た!お店までもう直ぐだね!電灯が付いてるからやってそうだね!」
4人はリターンカフェに着く
そして螺旋階段を上りドアを開ける
店員「いらっしゃいませ。何名様…では窓際の席へどうぞ」
4人は窓際へふたばと友希は横並びその前にアオトとワタルが座る
ふたば「さあ、何食べようか?」
友希「その前に自己紹介ちゃんと済ませ無いと」
ふたば「そう…だね」
友希「でも自己紹介するのは私とワッチの方だね」
友希「ふたばの友人の友希です。そして、私の彼氏のワタルですよろしくお願いします」
アオト「よろしくお願いします。こんな格好で挨拶なんてごめんね」
友希「痛々そうで…大丈夫ですか?」
アオト「来週にでもギプスが外れる予定だから、そうすれば格好良い姿見せて上げられるよ」
ふたば「あそ」
アオト「あ〜ごめんごめん、彼女が直ぐ焼きもち灼いちゃうから」
友希「仲良さそうで私達も安心です」
ふたば「友希、何食べる〜ケーキと、コーヒーじゃ無くて紅茶が良いよね…」
アオト「ここのお店は何が有名なの?」
ふたば「ここのお店はモーニングで行ったの。扶美子さんも何度か来た事あるって言ってたよね」
友希「そうそう…扶美子さん大丈夫かなぁ」
ふたば「扶美子さんはどこをぶつけたの?」
友希「右膝下付近をぶつけたけど目の前でかなり飛んだからね」
ふたば「頭は打って無かったんだよね」
友希「うん、それは大丈夫だと思う」
店員「何かお決まりでしょうか?」
ワタル「ディナーで人が賑わう時間だからね。先に何か頼もうよ」
友希「あ〜ごめんごめん。話始めると止まら無いからね、じゃあメニュー見るよお腹ペコペコ」
ふたば「店員さん、ちょっとお待ちくださいね」
ふたば「私決めた。魚介のスパゲッティとラスクのセットで飲み物は紅茶」
友希「じゃあ、私はオムハヤシライスとコーヒー」
ワタル「じゃあ僕は大盛りオムハヤシライスとコーヒーかな」
アオト「皆早いね…んじゃあ、僕はエビドリアとナポリタンのセットと…コーヒー」
店員「かしこまりました。お飲み物は食前、食後どちらがよろしかったですか?」
4人「食後です」
ふたば「結局皆即答だね!んじゃ話の続きだけど…友希は今日は何故扶美子さん家に行ったの?」
友希「あぁ、それはね、この間お婆ちゃんの遺品をお父さんと整理してた時にね、写真が出て来て、そこには扶美子さんと花陽さんなのかな?一緒に写る旅行の写真が数枚出て来たの。それを扶美子さんに渡そうと思って前もって連絡して、夕方行ったのよ」
ふたば「そうなんだ〜言われてみたら友希のお婆ちゃん家は阿佐田家と近所だもんね」
友希「お婆ちゃんは1人になって10年でさ、それまでは家族で定期的に会いに行ったり、私が高校生の時はお婆ちゃん家から通っていたりしてたけど、その前にお祖父ちゃんも生きてたからね、良く地域の旅行や活動には夫婦で参加していたみたいだよ。きっと扶美子さん喜ぶかと思って連絡したら、私も持ってるかもしれないけど良かったらおいでよってそんな感じだったよ。」
ふたば「そうなんだね、扶美子さん、花陽さんが目の前に現れたのは奇跡だったよね。でも何故このタイミングで?花陽さんには記憶があったって事だよね」
アオト「島に行けば記憶が無くなるって言うのは現地点では確定は出来無いって事だね。島に馴染む為、島民として自然に関わりあおうとしたい人も居たって事だな。でも、友希ちゃんのお兄さんや入院していたミヨリさんの記憶が抜かれている件についてはどうもトリックが隠されているみたいで怖い話だよね」
友希「ふたば、岩田さんに色々と話してるんだね!じゃあ私達の事も?」
ふたば「今回のアオト君が見たミヨリさんの件、真守お兄さんの件は繋がりがあると思ってアオト君には相談に乗って貰ってたんだよ」
友希「あっ、もしかして…ふたばの病院で入院してた患者さんだったのね」
ふたば「そう」
友希「ふたば普段から自分の事そんなに話さ無いからね。」
ワタル「ん?今親友同士のギスギスモード?」
ふたば「いえいえ、そうじゃ無いです!いつもこんな感じだよね友希」
友希「うん、最近お互い忙し過ぎて話が出来て無かったからね。でもふたばと会えるだけで私はそれだけで良いんだよ」
ふたば「私もよ!あっそうそうプロフィールカード書いてくれてる?」
友希「勿論、出来てるよ!いつでも渡せるように車のダッシュボードには入れてあるよ。ワタルの分もね」
ふたば「良かった!じゃあ帰り際に受け取るよ。それを私と友希と楓にしか知らない場所に隠して置くの」
アオト「僕達は?」
ふたば「そこはどうしよっかな〜。仮にアオト君が私の事忘れてしまう事もあるって前にも話たけどさ」
アオト「例え僕がふたばちゃんの事を忘れたとしても、ふたばちゃんが何度も声を掛けてくれて沢山話をしてくれてさ、出かけた所を写真で教えてくれたりしてさそれで一から始める関係性は僕は何度も嬉しいって思っちゃうかもしれないよ」
友希「灼ける〜アオト君がふたばの彼氏になってくれて、私はとても嬉しいよ。ありがとう!」
ふたば「私達の関係が永遠に続きますように…手を握りし合いましょうか」
友希「いや、周りからみたら変に思われちゃうから、ハハハ」
店員「お待たせしました!魚介のスパゲッティとハヤシライスのお客様………」
ふたば「注文が揃ったね!ちょっと待って、皆で写真撮ろう!」
ワタル「じゃあ僕が撮ってあげるよ」
ワタルが3人に向けてカメラを回すと、壁に絵が展示されている
ワタル(なんだか素敵な砂浜の絵画吸い込まれそうだ)
友希「ワッチどっち見てるの?こっちだよ!」
ワタル「あ〜ごめんごめん」カシャッ
アオト「そしたら次僕が撮ってあげるからワタルさん入って」
その後4人はカフェでのディナーを充分に楽しんだのであった
店員「食後の飲み物です」
各自飲み物を配られる
ふたば「夜のコーヒーは眠れ無くなっちゃうから私は紅茶なんだよね」
友希「私も紅茶にしようかなって思ったけど、お店のコーヒーって有名じゃん。淹れたてを飲みたくて…あ〜楽しみ」
ふたば「いただきます」
友希「んっ?この味はどう考えても淹れたコーヒーじゃ無いよね?」
アオト「そうだね、何だか違うね」
ワタル「僕はよく分からないけど」
ふたば「えっ?友希ちょっと頂戴」
友希「いいよ」
ふたば「うん、うん、友希の言う通り、これは淹れたコーヒーじゃ無いよ。お父さんが淹れたコーヒーたまに飲むからね、違いが分かる。これは断然違う」
アオト「へぇ~ふたばちゃんのお父さん、珈琲焙煎してるんだね。今度挨拶がてらに頂きたいな…」
ふたば「そうだね、タイミング見てね…」
食事後会計へ
友希は割り勘を提案し、皆逆らえず
店員「ありがとうございます1800円です」
ふたば「美味しかったです。朝から夜まで営業してるんですね」
店員「お客さんが頼って来てくれるのでありがたいことです。お客様、14時〜16時は準備中になってますからね。どの時間でも美味しいお料理を提供しておりますので、またいらしてくださいね!」
ふたば「ありがとうございますまた伺いますね!」
店員「お次のお客様はこちらですね。1500円になります」
友希「美味しかったです!次は淹れたてのコーヒーが是非飲みたいです」
店員「マスターが不在なもので、焙煎のコーヒーはね1日20杯にしているので次回はご予約がおすすめですよ」
友希「予約すれば飲めるんですね!次回は予約で来ます」
店員「お次のお客様は1700円です」
ワタル「お腹いっぱいです…壁のあの絵がとても魅力的ですね」
店員「あの絵画は確か…マスターが旅行した時に画家さんに遭って購入した様な事行ってましたね」
友希「えっ?どれどれ」
ワタル「ほら、さっき座った壁の所に飾ってあるでしょ」
友希「見てくる」
ワタル「ご馳走様でした」
店員「お次のお客様は1800円です」
アオト「美味しかったです!また来ますね!…今度は2人で来ます」
店員「ありがとうございました」
友希「ふたば〜ちょっと来て〜」
ふたば「えっ、何?」
友希「この絵なんだけどさ、あの島に見え無い?」
ふたば「ちょっとよく見せて……うん、うん!ここに橋が見えるでしょ!そして港の奥に浮かぶ船」
友希「もしかするとだよ、マスターさんも島へ行ったんじゃ無いかな?」
ふたば「で戻って来ないって事?記憶を消されてしまった?」
ワタル「そろそろ出ないと…病院行くんでしょ」
友希「そうだわ、ごめんごめん」
店員「またお越しくださいませ〜」
4人はカフェを出る
もう7時を過ぎている。
ふたば「ちょっと考えてみたら、病院側が夜間受付対応をして無いかもしれないんだよね。赤の他人だからさ。阿佐田扶美子さんの知り合いの者ですって言って快く開けてくれるのかな…」
友希「ふたばの働いている病院として顔を立てて開けてくれるって事は出来無いの?」
ふたば「まだ2年目の私が、そこまでのパワーは無いよ…」
ワタル「ダメもとで阿佐田さんの携帯に電話かメール入れてみたらどう?」
友希「扶美子さんがスマホを持ち歩いてれば幸運何だけど…そだね、扶美子さんに電話してみよう」
4人は阿佐田鉄工所まで歩いて向かう
その途中、友希は阿佐田扶美子の携帯へ電話を掛けてみた
ププププ
プルルルル
プルルルル
「もしもし」
友希「あっ、もしもし!扶美子さんですか?」
「もしもし、扶美子は母です」
友希「花陽さんですね!」
花陽「そうです。今ロビーに居て…お母さんの入院の手続きを終えた所です」
友希「扶美子さんの容態はどうですか?」
花陽「眠っているらしくて…検査をして貰っていますが、母とまだ会えて無いんです」
友希「それは心配ですね。花陽さん、今日は付き添って上げられますか?」
花陽「一度夫と家に帰ろうと思います。あっ鍵…もしかして家に居られるんですか?」
友希「いや、私達は勝手に家に入って待つ事は出来ませんでしたので、鍵を掛けて今鍵を持ってるんです」
花陽「そうなんですね、ご迷惑おかけしました。ちょっとお待ちください」
花陽「竜二、お母さんの友人さんからの電話で…」
友希「…」
ふたば「大丈夫かな」
花陽「あっ、すみません‥鍵ですが、今から私達タクシーで帰るので、少し待っていて貰っても良いですか?」
友希「私達は大丈夫です」
花陽「外で待っているのは寒いでしょう…家の中で待っていて貰っても構いません」
友希「私は友人達と居るので大丈夫です」
花陽「そうでしたか…それなら安心です。これから向かいますね」
プー、プー
ふたば「どうだった?」
友希「花陽さんが出て、扶美子さん入院になるんだって。こっちへタクシーで戻って来られるみたいだよ」
ふたば「そうなんだね!良かった!」
阿佐田鉄工所へ着いた4人はもう暫く語り合うのであった。




