第十七章 お通夜にて
ふたばは夜勤後写真屋さんへ立ち寄り家へ着くと昼をとっくに回っていた
スマホからの写真を現像するのに200枚を越えていたのだった
帰宅したら、その中でも特別な写真を選ぼうと考えていたのだが、家へ着きシャワーを浴びた頃には眠気が増しその場で寝てしまったのであった
そして時間は経ち夕方4時半
母澪花が帰宅する
リビングで大の字になって寝ているふたば
澪花「ふたば〜、ふたば〜!」
澪花はふたばを起こす
ふたば「…んっ…今何時?」
澪花「4時半よ」
ふたば「あっ、お母さんおかえり」
澪花「お疲れさま。部屋に行かないでリビングで寝ちゃうなんて相当疲れてたんだね」
ふたば「うん…あっ、ハハハ帰ったのお母さん先で良かった。今日18時から友希のお婆ちゃんのお通夜だから行って来るね」
澪花「友希ちゃんのお婆ちゃん、そうか‥残念だね
ふたばが高校生の頃よくお世話になってたわね…
ねぇ私も行っても良いかしら…」
ふたば「お母さんも来てくれるなら、友希もお婆ちゃんも嬉しいと思うよ」
澪花「そうかな?…そうね!そうと決まったら礼服探さないと…ふたばはあるの?」
ふたば「うん…勿論あるよ。クローゼットに。楓は行くかな?」
ふたばはふと人生で2回目と言う事を思い出した
思い出したくは無い記憶
忘れ去ろうとしていた記憶が突然走馬灯の様に照らし出した
初めて行ったのは中学生の頃、その時は友希の他に鞠花と3人で良く遊んでいた
鞠花はアパートで母と2人暮らしと言っていた
その為毎日夜遅くに仕事から帰る母親とはすれ違い生活だとよく話ていた
その為、良く学校が終わると3人でカラオケに行ったり、近くの公園で鞠花と待ち合わせしてアイスを食べ
ながら日常の事を話たり恋愛を語ったりしていた
その後、犬を飼って貰ったと鞠花はとても喜び、
それからは学校が終わると鞠花は犬が心配だと2人と遊ぶ時間は段々と減っていった
そんな鞠花は突然目の前から居なくなった
発見された時は山沿いで不審な死を遂げて居たと
警察は事件性を疑っていた…
そして暫く警察車両が毎日行き来するようにもなった
数日後…お通夜とお葬式に出席するふたばと友希
ショックと悲しみで涙が止まずずっと泣き続けていた終始母親の顔は見れ無かった
数日後、鞠花の母親はアパートを退居してしまった為、友希とはこの事はもう振り返らない様にしよう
そう誓ったのだった
澪花「ふたば、どうしたの?思いつめた顔して?楓は明日から中間テストだからね。楓に連絡しておかないと」
ふたば「あぁ…ごめん。ちょっと思い出しちゃって。楓は帰り遅いの?」
澪花「学校帰りにバーガークィーンに友達と寄って帰る事もあるからね~、遅くなるなら連絡なさいって言ってるけどね…最近忘れがちなのよ。今日は母さんの方から電話しておけば間違い無いでしょ?」
ふたば「そうだね!」
澪花「もしもし…、楓、お母さんだけど、これからふたばと友希ちゃんのお婆ちゃんのお通夜へ行くから」
澪花「…………楓は明日から中間テストでしょ、帰ったら勉強しなさい。夕飯はお弁当屋さんのお弁当を買っくるからね……うん、気をつけて帰るんだよ」
ピッ
澪花「楓はやっぱり友希ちゃんのお婆ちゃんのお通夜に行きたかったみたいね。」
ふたば「友希は気にしないから大丈夫だよ。お母さん運転よろしくね。会場は虹花ホールだって」
澪花「家から30分はあるじゃ無い!もう、速く準備して出るわよ」
ふたば「はーい」
澪花の車にふたばは乗り込む
ふたば「あれっ?お母さん、車の匂い変えた?」
澪花「よくわかったね、仕事の同僚がね勧めて来てね」
ふたば「そうなんだ。良い匂いだね〜」
澪花「良い香りでしょう。ホッとするんだよね…
…ふたばとあまり2人きりで話す機会は無いけど…どうなの?前に付き合ってる彼氏は居るって言ってたけど、その子とは続いてるの?」
ふたば「…それはね…もう数カ月前に別れた様なもんだよ。自然消滅ってやつかな」
澪花「そうなんだね。…ねえねえ、ふたばはこれからの事、例えば結婚とか…どう考えてるの?」
ふたば「焦る必要も無いかなぁって思ってる。ほらタイミングとかあるじゃん」
澪花「タイミングって言っても、相手が居ないと…」
ふたば「う〜ん…。その前にさ、お母さんは私がずっと家に居るって心配なの?」
澪花「そんなんじゃ無いわよ!ただね、同僚の娘さんが来年結婚するって話を聞いてね…私の娘はどう?って聞かれたの。でもね、結婚するかしないかは本人の自由だって言ったのよ」
ふたば「そうなんだ〜お母さんも私に気を遣ってくれてるんだね!その前にさ、ねぇ、お母さん私が1人暮らししたいって言ったら怒る?」
澪花「それは、ハッキリ言うと寂しい。でも、ふたばが自立して過ごそうって言う気持には応援してあげたくなるかな?何、考えてるの?」
ふたば「まあね。今1人で暮らして行けるだけの生活資金はあるんだよ。でもね、お父さん、お母さん、楓、楓太、ローズの事考えるとね…」
澪花「ふたばのしたい様にしなさい。私は応援してるから」
ふたば「ありがとう」
澪花「あっ、お父さんに連絡するの忘れてたじゃない。ふたば、連絡してくれないかな?」
ふたば「分かった!」
プルルル…プルルル…
勇人(はい、ん、ふたばかどうしたんだ?)
ふたば「あっ、お父さん、これから友希のお婆ちゃんのお通夜にお母さんと行って来るから帰り8時頃になるかもしれない」
勇人(友希ちゃんのお婆ちゃんか。わかったよ!夕飯は?)
ふたば「あー、ごめん、夕飯は帰りにお弁当屋さんへ寄ってから帰るって楓にはお母さん伝えてたからさ、お弁当買って帰って来ると思うよ」
勇人(分かった!じゃあ、あさりのお味噌汁とサラダは作って置くから夕飯は皆でな)
ふたば「わかった!お母さんに伝えておくね」
プープー
ふたば「お母さん……だって!」
澪花「そこがお父さんの良い所なのよ。いつも家族を気遣ってくれる。お父さんも毎日疲れてるのにね。」
ふたば「お父さんは昔からブレないね」
澪花「そこを私が好きになったのよ!」
ふたば「お母さん良い人と出会えて良かったじゃん」
澪花「だから貴方達が生まれたのよ」
ふたば「そうだね」
普段話せ無かった事を澪花に話せてふたばはスッキリした気持ちになっていた
そして漸く虹花ホールへ到着した2人だった
ふたば「友希いるかな〜」
澪花「まずはお焼香など済ませてからになさい」
ふたば「はーい」
2人はホールに入り受付を済ませる
友希の父親が窶れた表情で佇んでいる
ふたばに気付いた八潮誠斗は2人にお辞儀をする
ホール内に入る2人
お焼香を済ませた人達が椅子に座っている
澪花に続いてふたばもお焼香を済ませる
ふたばは緊張していて下を向きながら歩き、友希に気付かなかった
1時間が過ぎ、澪花はふたばに声を掛ける
そして立ちあがると、2人の後ろから友希もついて来た
友希「ふたば!」
ふたば「あっ友希!」
友希「来てくれてありがとう!おばさんもありがとうございます!」
澪花「この度は残念でしたね。今日ね、ふたばから聞いたの。友希ちゃんのお婆ちゃんが亡くなった事」
友希「そうなんですね。同席して貰えてお婆ちゃん、喜んでくれたと思います!」
澪花「お母さん、ちょっと友希ちゃんのお父さんお母さんに挨拶して来るから、友希ちゃんと話たかったんでしょ〜友希ちゃん大丈夫かな?」
友希「今は大丈夫です、ふたば〜こっちこっち」
友希はホール内にある円卓のテーブル席に案内する
友希「ふたば、何飲む?炭酸系?お茶系?フルーツ系?」
ふたば「何でも良いよ!」
友希「ちょっと待ってて。」
自販機でどうやら友希はジュースを購入してくれている
友希「はい、これ飲んでね!で、こっちはおばさんのに渡してね」
友希はふたばにペットボトルの炭酸レモンジュースと澪花へとペットボトルのお茶をくれた
ふたば「ありがと!何でも良いって言ったけど、今私が一番飲みたいのを出してくれるなんてやっぱり最高の親友だよ!」
友希「お婆ちゃんが突然亡くなってショックだったんだけど、ふたばに会えて、ふたばが来てくれて元気貰えた!ありがとう!」
ふたば「お婆ちゃんが亡くなったって事をお兄さんは知らないまま島に居るんだよね…」
友希「その事なんだけど…」
ふたば「ん?」
友希「家の両親、お兄の事きっと覚えて無いんだよ…。ありえなく無い?普通ならさ、真守はどこで何してるんだよってなるはずなのにさ…」
ふたば「まさか…友希の家族も真守お兄さんの記憶が抜かれてしまったの?」
友希「そうかもしれない…。そして私自身もさ、お兄が居たって記憶が薄くなって来ているみたいで…でもさ、お兄が使っていたスマホとお兄の部屋はねまだあるから」
ふたば「部屋に対してはおばさん達どう思ってるの?アルバムとかは残って無いの?」
友希「アルバムはあるよ!私が持ってる!」
ふたば「それをおばさん達に見せようとはしないの?」
友希「そう思ったりしたんだけど・・お婆ちゃんの事でバタバタしててさ」
ふたば「そう…なんだ…ねぇ、ねぇ友希、この間さ近所のおじさんの事メール入れたじゃん。あの時もさ、私以外の皆がおじさんの事知らないって言い張ってるんだよ!恐く無い?確かにさ時間が経つにつれて忘れてしまうけど…その状況と真守お兄さんの事って繋がっているような気がしてならないんだよね…」
友希「おじさん、あぁ〜居たような…居なかったような…」
ふたば「ねぇ、ねぇ、友希に忘れられては困るよ」
友希「喉渇いたでしょ?飲んで飲んで。そうそう、ふたば、私ワッチさんと付き合う事になったの!」
ふたば「えっ!(吹き出しそうになる)良かったね!じゃあ忙しくなって無い?」
友希「忙しいのはワッチかもね。ワッチは実家の農業を手伝いながら独学で勉強してるみたい」
ふたば「そうなんだ!ワッチさんはここに残る選択をしてくれたから友希とも出会えたって事で幸せなんだね!」
友希「今日ね、実はワッチも来てたりするの」
ふたば「えっ!そうなの!?両親公認?」
友希「まあね!」
ふたば「そっかぁ~幸せオーラ前回の様に見えるよ。ねぇね、友希、もしさ私の記憶を忘れてしまったらどうする?」
友希「ふたばの記憶を忘れるって事は私にまつわる全ての人の記憶も忘れてしまう可能性があるって事だよね?それは嫌だよ!何が何でも記憶を取り戻す!ふたばの事なんて忘れるわけ無いって強い気持があるから」
ふたば「最近私の周りで沢山失踪して記憶も忘れかけていてさ、これが私だったら、私の事誰も知らなくなったらどうしようって不安になってるの。私自身の事も分からない状況になってしまったらどうしたら良いのかと考えてて…」
友希「そっか、だからタイムカプセルって事だね!タイムカプセルには楓ちゃんも参加するんだよね!自分が自分の事分からなくなっても、タイムカプセルのメンバーが教え合うって事だよね?」
ふたば「うん、そうそう!ワッチさんと付き合ってるならワッチさんにも伝えて見て?ワッチさんも参加すれば記憶を活かし続ける事が出来るから!」
友希「良い考えだね!ノッたよ!ふたばが急いでる様なら早めに私も用意するからさ、ワッチにも伝えておくね」
ふたば「よろしくっ」
澪花「ふたば〜そろそろお暇するわよ」
友希「ふたば、じゃあまた後でね!」
ふたば「うん、何かあったら連絡してよね〜」
友希「ありがとうございます!お気を付けて!」
友希は澪花とふたばが見え無くなるまで手を振り続けたのだった。
澪花「友希ちゃんと色々話せたの?」
ふたば「うん!お母さんは友希のおばさん達と何話てたの?」
澪花「何だかね〜お父さんとお母さん憔悴している様子だったよ。心ここにあらずな感じもあって。大丈夫かしら…って思ってたんだけど…良くお手伝いしてくれる小麦肌の青年が居てね!その青年が2人をフォローしてた様にも思えるよ」
ふたば「そうなんだ。」
ふたばはふと思った
憔悴しきっている友希の両親は祖母が亡くなったからだけでは無いと‥息子(真守)の記憶や存在が消されてから心が空の巣状態になってしまったのでは無いかと…
ふたばはこの事は友希へ言わ無かった
澪花は車を発進させると自宅に一番近い
「あったか弁当」屋さんへ寄る事にしたのだった
澪花「さあ、お弁当屋さん着いたわ。ここ扶美子さんが働いている所よ」
ふたば「扶美子さんって阿佐田さんだね」
扶美子「いらっしゃいませ~!あら、ふたばちゃんと澪花さん、2人で珍しいね〜あら、礼服でお通夜があったの?」
ふたば「扶美子さんお久しぶりです!友希のお婆ちゃんが亡くなってさっきお通夜だったんです。」
扶美子「そうだったんだね。友希ちゃん辛かったでしょうね…」
澪花「今日は5人分のお弁当を作って貰いたかったんだけど…予約して無いから時間かかるよね?」
扶美子「うーん、15分ぐらいはかかるかな…お弁当の種類は?」
澪花「あったか弁当おまかせスペシャルで」
扶美子「了解です、まずお会計から先にお願いします¥5380円です」
澪花「はい」
扶美子「ちょうどですね、ありがとうございます。こちらの番号でお呼びしますね。あちらの椅子に掛けてお待ちください」
扶美子も調理現場に立ちお弁当を作り始めている
ふたば「お母さん、扶美子さんのお弁当屋さんって初めてじゃ無いでしょ?」
澪花「うん、何で分かったの?たまにふたばが夜勤の時に買ってるのよ。」
ふたば「へー、そうなんだ!だから私は初めてなんだね。」
澪花「ここのお弁当美味しいんだよ!」
ふたば「じゃあ楽しみだぁ~朝から食べて無いから流石にお腹が減りまくりだよ」
澪花「何、朝から何も!?じゃあ早く言ってくれれば良かったのに」
ふたば「空腹で食べる弁当が感動するぐらい美味しいって気持ちを分かりあえるから…」
澪花「ふたば、何だか疲れてる顔してるわよ。お弁当食べたら今夜は早く休みなさい」
ふたば「そうだね!生姜とにんにくの匂いが良い匂い〜」
澪花「多分唐揚げ揚げてるのね」
ふたば「胡麻油で炒めた匂いもするね〜」
澪花「中華炒め、美味しいんだから」
そう話ていると、1人、1人と集客が増え出す
調理場から離れ扶美子はまた接客に入る
扶美子「番号札250番の方出来ましたのでどうぞ」
ふたばは二袋に分かれたお弁当を持つ
ふたば「結構重いね」
扶美子(私からのサービスも付けて置いたから家帰ってのお楽しみにしてね)
扶美子はふたばの耳元で話す
扶美子「ありがとうございました!またお越し下さい」
時計はもう8時半を周っている
そして家の駐車場へ入る
そして玄関へ
澪花「ちょっと待って、お塩」
澪花はふたばと自分に塩をふりかける
澪花「さあ入りましょう!」
ふたばは鍵を開け入る
ふたば「ただいま〜」
ローズ「ニャ~」
ふたば「ローズちゃん待っててくれたのね、ヨシヨシ」
澪花「ただいま〜」
勇人「おかえり〜待ってたよ。お腹ペコペコだよ!さあ着替えて。お弁当ありがとう。」
澪花とふたばは部屋着へ着替えるとテーブルにはあさりのお味噌汁とポテトサラダとあさりの佃煮が置いてある
勇人「後はお弁当セッティングしてね。楓が部屋上がって勉強してるはずだから、悪い、ふたば呼んで来てくれないか」
ふたば「いいよー」
ふたばは2階へ楓の部屋をノックする
ふたば「楓、入るよー」
楓「ねぇね、おかえり〜ごめん歌聴いてたら帰ったの気付かなかった。友希ちゃん大丈夫だった」
ふたば「友希は元気そうだったよ!さあ、お腹空いたから夕飯食べ行こ!」
ふたばの空腹感は限界値に達していた為、楓に声掛けると直ぐダイニングへ向かったのだった
そして、席へ着くとお弁当は既に置かれている
楓も席へ着いた所で勇人から「頂きます」と
その後に続いてふたば達も食べるのであった
お弁当の中身は大きな唐揚げ2個とエビ、イカの中華炒めと豚の角煮や春巻きが乗っている豪華版だ
そして席の中央に扶美子がサービスといっていた品らしき麻婆茄子が置いてあるのであった
ふたば「贅沢な夕飯だわ美味しい」モグモグ…
一家はゆっくりと夕飯を楽しむのであった




