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忘れたく無い記憶  作者: 柊海音


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第十六章 砂時計

ラーメン会場から駐車場に戻り

車に乗り込んでも話は尽き無かった

そしてまた警備員が向かって来るのに気付いたアオトはふたばへ声を掛け車を発進させたのだった


アオト「ふたばちゃん明日も休み?」

ふたば「明日は夜勤なんだ…」

アオト「そうなんだ。もう少し傍に居て欲しいって言うのはワガママだからね。今日は遅くなって家族も心配してるだろうし帰ろうか?」

ふたば「うん…、そうだね。ねぇねぇアオトくん、もし、もしもだよ…自分自身の事忘れてしまってさ、今まで一緒に過ごした人の事忘れてしまったらさ、もうこの関係も終わっちゃうけどさ、アオトくんはどうすると思う?」

アオト「僕が僕では無くて、ふたばちゃんが僕の事を忘れるか…僕はどんな状況になってもふたばちゃんの事は分かるって思えるんだ」

ふたば「そんな事きっと無いよ。忘れてしまったら心が空っぽで生きている心地なんかきっと無くなると思う。」

アオト「僕とふたばちゃんの出会いが運命だったならそんな事は無いよきっと」

ふたば「運命ね…、これからなんだけど、楓と友希に自分自身の事と私との関係や思い出を手紙に書いてタイムカプセルにしようと思ってるの。楓には先に話てるけど、友希にもやって貰うつもりでいるの。良かったらアオトくんもそれに参加して貰え無いかな?」

アオト「勿論!良いよ!4人の内誰かが記憶を忘れてしまったら、その時に開けても良いんじゃ無い?僕の事はふたばちゃんしか知らないけど」

ふたば「そうだね!その証に写真撮ってくれ無いかな?アオトくんの写真を送っても良いよ!」

アオト「いや、今一緒に撮ろうか?」

ふたば「えっ?良いの?」

アオト「勿論だよ!」

ふたば「どこで?」

アオト「車の中は微妙だからさ、家の店の前にしようか」

ふたば「叔父さんに不思議がられない?」

アオト「じゃあ家に来てくれる?僕の部屋に」

ふたば「い、いえ、それはちょっと…分かったお店の前ね」

閉店後の岩田カットサロンスタジオはお店の看板のライトは点いていた。

ふたばはお店の駐車場に駐める

そして2人は看板前へ行く

ふたば「夜中に写真を撮るのって観光でもなんでも無いのにさ、変だよね?」

アオト「そんなの気にしない、気にしない」

ふたば「じゃあ、私のスマホで撮るね、ピントは合ってるかな?」ふたばはピントを合わせてるとアオトは腰に腕を回して来る

ふたば「はい、ピース」

カシャ、カシャ

撮れたのを確認するふたば

アオト「僕のスマホからも写真を撮って良いかな?」

ふたば「勿論!」

アオト「手が片手だから押し辛いから、ふたばちゃん撮ってくれ無いかな?」

ふたば「良いよ、良いよ!はい、ピース」

ふたばのシャッターに狙ってアオトはふたばの頬にキスをした

ふたば「あっ、もう!」

アオト「今日はありがとう!ちゃんと撮れてる」

アオトはピースをする

アオト「気をつけて帰ってね」

ふたば「こちらこそありがとう」

アオト「また近い内会おうよ!気になったら何でも良いから電話して、話も聞かせて」

ふたば「うん、分かった!じゃあね!あっ、そうだアオト君これ…受け取ってちょっと待ってて…」

ふたばは後部座席にあったトートバッグから家族旅行のお土産を渡した

アオト「えっ?何何、開けて良い?」

ふたば「良いよ!開けて見て」

アオト「えっ?これ砂時計?」

ふたば「そう、水族館に売ってたの。可愛いって思ってね。私も自分用に買っちゃった」

アオト「おー、3分計だね!カップラーメンが作れる」

ふたば「気に入ってくれた?」

アオト「もちろん、大切にするよ!カップ麺の3分をふたばちゃんを思いながら待てるからこれからは苦労しないで作れるよ」

ふたば「そう、それは良かった!じゃあまたね」

アオト「ありがとう!気をつけて帰るんだよ!家着いたらメールして」


ふたばは車に乗り込んだ

アオトはふたばの車が見え無くなるまで見送るのだった

ふたば「あ〜時がこのまま止まって欲しい」

ふたばはそう呟きつつ夜道を走るのであった

そして夜道は空いていた為いつのまにやら自宅の駐車場と着いていた

ふと助手席の頭側を見るとアオトの薄手の生地のジャケットが掛かっていた

ふたば「ありゃ、忘れちゃったな〜、大丈夫かな?まぁ今日は遅いからまた後で連絡しようと」


ふたばは玄関のドアを開けてそーっと中に入った

ローズ「ニャ~」

ふたば「ローズ、シーッ」

そして2階へと上がり歯磨きと洗顔をして部屋へ入りアオトへ一言LINEすると眠ってしまうのであった。



翌日

昼前に目が覚めるふたば、

LINEを見ると友希からだ

友希(ごめん、ちょっとお婆ちゃんが突然亡くなってさ‥突然でショック)

ふたば(そうだったんだ。それはショックだね、辛いよね…)

ふたばは返信すると直ぐ友希からLINEが入る

友希(明日はお通夜なんだ)

ふたば(そうなんだ…明日ね突然だね。私お通夜に参加する!)

友希(ほんとに?ありがとう!ふたばに会いたいって思ってたから…こんな時にだけど…)

ふたば(少しでも友希が元気になってくれるなら勿論!今日は夜勤だから、明日の会場の場所と時間…後でも良いから載せておいて)

友希(分かった!あっ、例の件了解だよ!)

ふたば(読んでてくれたんだね!友希落ち込まないで)

友希(うん…)

ふたばは高校時代、友希の家へ遊びに行った事もあったのだが、その当時は祖母だけが住んでいるとは思って居なかった。そこが友希の実家だとふたばは思っていたからだ。その時に祖母がりんごジュースを良く2人に出してくれた。果実入りで美味しかった。

高校を卒業してからふたばは友希が引っ越ししたのかと思っていた為、友希の祖母の家へはその頃には行かなくなっていた。

その時には友希の祖母は施設へ入所していたのだ。

友希へLINEをした後、ふたばは歯磨きとシャワーを浴びて、ダイニングへ

冷蔵庫を開け食パンがあるのを確認しトーストとスクランブルエッグとウィンナーを焼く

皆留守だ…と思っていると、楓太は居る様だ

昨夜のアオトとのデートを見られてしまった

両親や楓に話さない様に釘を刺そうと考える

万が一これっきりになってしまう可能性もあるかもしれない

家族には詮索されたく無い気持があったのだ

気付けば余計に楓太の分もトーストとスクランブルエッグウィンナーを焼いてしまっていた

ふたばは2階へ再び上がると楓太の部屋を叩き呼んだ

ふたば「ふぅ、寝てる?ふぅ?」

楓太「アネキ、何〜」

ふたば「朝食作ってあるから食べてね。ラップしとく」

楓太「うーん、分かったあっ、そうだ」

楓太はドアを開けた

楓太「アネキ、昨日一緒だった人って彼氏?良い人じゃん、応援してるから」

ふたば「ねぇ、お父さん達には絶対言わないでよ!」

楓太「そんなん言うわけないじゃん」

ふたば「ふぅは約束ならないから」

楓太「一応言っとくけど、前回のナオヤ君よりは全然良いと思うよ」

ふたば「どの口が言ってるのよ!」

ふたばは1階へ下りると、朝食を摂り夕方からの夜勤へ向けて再び眠るのであった

 そして夜勤が始まる。今夜は普段よりもNSコールが多い。痛みの訴えばかりだ。患者さんのアナムネシートを確認しながらDrへ報告

夜更けになり落ちつき始める。ふたばはアナムネシートで思い出す

自分自身のプロフィールカードを作らないとなと

自分を忘れても、他者へ忘れられても褪せない自分を残したい

そして、家族や友希と語りあった事、アオトとの話を思い出せるまで書いて行こうとした

休憩中に書こうと早速取り出すが、

1時間では書き残せ無いのでまた後にする事にした

そもそも夜勤中であった為、業務に遂行しなくてはと言う気持ちもあり集中出来なかった

朝を迎えると、プロフィールカードの事は忘れてしまっていたが、ロッカーに入れておいたのを直前に思い出し忘れずに持ち帰るのであった

そして、帰りは、今まで溜まり溜まったスマホ内の写真を現像する為に写真屋さんへ立ち寄ったのだった








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