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忘れたく無い記憶  作者: 柊海音


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第十ニ章 記憶の無い男の過ごし方

真守はワタルに連れられて懐中電灯を灯しながらトンネルの中を進んで行く…

ワタル「マモン、本当に何も思い出せ無いのかい?せめて両親や友希ちゃんの事少しでも思い出してくれたら」

真守「…本当に申し訳無いけど、何も思い出せ無いんだよ。船に乗って漁をしてる事ぐらいで島の人達の顔とかは鮮明に覚えてるんだけど・・」

ワタル「忘れる事に恐怖は無いの?」

真守「恐怖?起きたら見た事の無い部屋にいて、見た事の無い人達が看病してくれている。それに対してどうしたら良いのか判らなかった」

ワタル「そっかぁ…」

暫く歩くとトンネルが狭くなって行く…

すると足元にコツっと当たる物があった

ワタルは思わず懐中電灯で灯す

ワタル(ここで僕は躓いて転んだのかもしれ無い…ん?これは何だろう)

ワタルは落ちている物を拾った

それは一回り大きなスマートフォンだった‥

ワタルは思わず拾った

ワタル(これを交番へ届けるべきかな、戻ったら友希ちゃんに相談してみよう…)

それからまた30分程頭を下げながら歩くと出口へ到着する

ワタル「今の時間は確認出来無いけど、きっと漁に出る時間じゃ無いかな」

真守「そうかもしれない、送ってくれてありがとう。お礼は出来無いけれど皆にはお世話になったよ」

ワタル「…そうか‥じゃあまたね」

真守は振り返る事無く島へ戻って行った。

ワタルは来た道を再び戻って行ったのだった。

真守は階段を上って行くと

辺りはまだ暗いが家の灯りが数軒灯っているように見える

灯りに向かって歩き出す

そして長屋に着いた。ポケットの奥に鍵があるのが分かっていた為鍵を開け中に入った。

疲れていた為その場で倒れ込むように眠るのであった‥

数時間後、漁師の声が聴こえて来た為、ハッと覚醒して真守は仕度をする

漁師「いるか〜?」

真守「はい」

漁師「おぉ、いたか‥キンザンカを釣りに行くぞ」

真守「今出ます」

漁師「昨日は5匹水あげが出来た。今日の目標は10匹だなハッハッハ」

真守「釣れると良いですね」

漁師「あぁ、昨日は何処へ行ってた?」

真守「あっあの…寝てました…」

漁師「何度も声掛けたのに気付かなかったのか?」

真守「すみません‥」

漁師「まあ…良い、さあ船に乗ろう!」

真守「はい」

勢い良くエンジンがかかると、しぶきが上り穏やかな海が荒くなって行く。

船に乗るのも慣れたものだ

真守は目を堪えて魚達がいるポイントを見つけると

真守は合図をし仲間はボタンを押して5メートル程の網が降りて行く…

そして一気にすくった網を数人で持ち上げる

水上げすると

それを2回繰り返して

港へ戻り

採れた魚を捌く作業をするのである

採れた魚の一部は漁師達へ配られるのだが、後はどうしているのかは漁師も真守も分かっていない…

ただし、一部の役職についた人のみが出入り出来るドアがありそこは顔認証の様だ。

一般の人は入れ無い…暗黙の了解で近づく事さえしないのであった

水上げの量によっては夕方までかかるのだが、真守達の船は4人で賄っている

真守が乗る船の他に後3隻船があるのだが、その中で一番大きい船は鏡太郎が乗る船であった

鏡太郎の乗る船が一番港へ戻るのが遅い

その割には水上げした魚が少ないのである

そんな事も気にならない漁師達、そして真守

真守はまた島に戻れた事と"普通の生活"に戻れた事に安堵した気持になっていた

ワタルは数時間かけて来た場所を戻っていった。

そして途中で疲れた為その場に座り込み休むを繰り返し漸く光が見えてきてトンネルの入り口に到着する‥

そして携帯も使えるようになったので、友希へメールを送信するのであった。

ワタル「あっ、バイクは友希ちゃん家だ!」

と思い出したのだが、実家へ電話を掛けると直ぐ母親が出る。

迎えに来てくれると。道路から見つから無いトンネルの中に一先ず待機するのであった‥

落ちていたスマートフォン

バッグから取り出す

見ては行け無い物だと思っていても

気になってしまったのであった

ワタル「ん?あれ充電が僅かにある様だ」

付いたあと

画面にマロといっしょと書かれた茶色のポメラニアンと写る女性の写メが表示される

ワタル「いや、これ以上見ては人として良く無い」

携帯の電源をOFFにしたのだった


1時間後、軽トラを運転する両親がやって来た。

両親は山奥のトンネルに佇む理由は聞かなかったのであった

そして車に乗り込むワタル

ワタル「こんな遅くにここまで来て貰ってごめん」

母「何はともあれワタルが居場所を連絡してくれただけで良い。お母さんは何も聞かないよ」

農家を営んでいる両親にとって長男のワタルにはこの先を受け継いで欲しいという気持があった

しかし、ワタルにはワタルの人生があると感じていた両親は何も言え無かったのだが、今回の失踪事件後より心配になっていた

暫く黙り込む3人であったが

運転している父が農業の後継ぎを

して貰え無いかとワタルへと伝えるのであった

数分考えたワタルであったが、

もう両親には心配かけたくは無いと農業を受け継ぐ事に了承した

母は下を向いて嬉し涙を流していたのであった












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