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おっさんテイマー~趣味のキャンプ飯を間違ってダンジョンでやったら魔物に懐かれました〜  作者: Umi
第1章 焔が輝く狐火

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第98話 【十聖】が一人、の最期

「終わりだ」


 そして方天画戟は呂布の手を離れる。

 投擲されたそれは、一瞬にして俺の下へと到達した。


「――ッ!!!」


 確実に鎧を貫き、身体に大穴を作り上げる一撃だったが、俺の身体は無傷、それどころか鎧にすら傷を付けられていなかった。


「ゴン太!」


「コン!」


 俺が呂布の猛攻を捌いている間、ゴン太は“狐火”を溜め続けていた。

 その大きさは過去最大に達しており、【洞爺湖ダンジョン】で戦ったギガントトロールを一撃で倒せる程度には、ダメージを出せるだろう。


 ゴン太から放たれた“狐火”は、方天画戟を投擲したことによって。武器を失っている呂布へと一直線に迫った。


「なぜ方天画戟が刺さらなかったのか、理由は分からないが、私にとって武器を失ったことなど、些細なことでしかない」


 呂布は余裕さを崩さず、向かってくる“狐火”に掌を向けた。

 そして呂布の掌とゴン太の“狐火”が触れる。刹那、狐火が進むのを止めた……少なくとも俺の目には止まって見えた。


「……」


 ゴン太の“狐火”でも無理かと思いかけたその時、止まったと思えた“狐火”が再び動き出した。

 進んだ“狐火”は呂布の腕を呑み込み、やがて全身を呑み込まんとする。


「くっ――」


 今まで余裕そうな表情を崩してこなかった呂布が、顔に初めて苦悶を浮べた。

 そして巨大な“狐火”は、呂布の全身を呑み込んだ。それと同時に狐火は前進を止め、役目を終えるまで呂布のことを焼き続けた。


「……」


 「やったか?」なんてフラグを建てる発言はしない。

 ただ“狐火”が消えるその時まで呂布から目を離さず、相手の敗北を見届けるまでは油断することはない。


 一瞬にも、数秒にも、数分にも感じる時間を過ごし、力を使い切った“狐火”は一気に霧散した。

 “狐火”があったところで立っている呂布は、全身を火に焼かれ、立っているのが奇跡と言ってもいい程、焼き焦げていた。


「ふっーふっー」


 呼吸も絶え絶えで、生きているを疑うほどには瀕死な状態だ。


「終わらせてやる」


 俺は【シンクロ】を使用し、掌から“狐火”を生み出す。

 焼かれたばかりの相手を、再び火で炙るというのは性格が悪いのかもしれないが、勝つためには性格も悪くなければならないだろう。


 俺は未だに立ち尽くしている呂布へと、掌に溜めた“狐火”を放った。

 “狐火”はただ立ち尽くしている呂布に着弾すると、一気に燃え広がって身体を燃やし尽くした。


「はぁはぁ、勝ったのか」


 呂布の身体が灰になったのを確認してから、フラグが建ちそうな発言をしたから、変なフラグが建つこともないはずだ。


「そうだ、麗華たちは!」


 呂布が死んだことを確認した後、麗華とエイムズが戦っているであろう数十メートル先の方へと急ぐ。


「れいちゃんなら大丈夫だと思いたいけど……」


 心配そうなまいちゃんを横目に、俺は自分の中でモヤモヤしていることを考える。

 以前、【洞爺湖ダンジョン】で戦った時と比べると、今回戦った呂布は格段に弱かった気がする。前回も、今回も格上だったことに変わりはないのだが、それでも弱かった気がするんだ。


「悟くん、大丈夫そう?」


「ああ、まいちゃんのお陰で大丈夫だ」


 まいちゃんは走りながら、俺の身体を回復してくれていた。

 戦闘中にやればもっと有利に戦えていたと思われるかもしれないが、まいちゃんにヘイトが向くことを考えると、動かせないことが最適解だったと思っている。


 戦闘が終わった今、その考えが正しかったのか、正しくなかったのかは分からないが、勝利できた以上は正しくなかったわけではないだろう。まあそれが最適解かどうかは分からないけどな。


「はぁはぁ、冷えて来たな」


「れいちゃんに近付いているってことでしょ」


 麗華が居るであろう場所に近付くにつれて、肌で感じる空気が冷えて行くのが分かった。それが麗華の力による余波だということは自明の理であり、少なくとも敗北はしていないということの証明でもある。


「麗華!」


 遂に麗華の下へと辿り着いた。

 大量の氷に包まれている麗華は、かなり呼吸が荒くなっているが、見た感じ外傷は少ないため、そこまで追い詰められているわけではないだろう。


「……呂布がやられたのか」


 エイムズの声が聞こえてきたため、発声源へと目線を向ける。

 そこには大量の氷によって、壁に張り付けにされているエイムズの姿があった。エイムズは麗華以上に呼吸が乱れ、見えている顔だけでも大量の出血が見受けられる。


「安心しろ、私は本物だ」


「私は?」


「そうだ、君が戦っていた呂布は、私が作り出した分身に過ぎない」


「――ッ!」


 そういうことか。

 偽物だったとすれば、俺たちだけで勝利できたことに合点がいく。しかし自分だけではなく、他人の分身も作り出せるなんて、情報官が天職だと思うほどに恵まれたスキル構成だ。


「今回の襲撃は、二人で行う予定だった」


「だが呂布は偽物だったのだろう」


「……呂布ではない。我々ダンジョン嫌悪派のリーダーである、あけ――」


「それ以上は自分の口から離すよ」


 エイムズの姿が消えた。否、エイムズは一瞬にして燃え上がり、灰となってしまったのだ。


「お前がリーダー?」


 麗華が空間の歪みから飛び出してきた人物に問いかける。

 しかし俺は驚きで口が閉まらなくなっていた。



遂にダンジョン嫌悪派のリーダーが登場します


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