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おっさんテイマー~趣味のキャンプ飯を間違ってダンジョンでやったら魔物に懐かれました〜  作者: Umi
第1章 焔が輝く狐火

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第97話 方天画戟

 俺は、呂布が振り下ろした方天画戟(ほうてんがげき)をギリギリ受け止めることができたが、圧倒的な膂力の差でジリジリと押し込まれていた。


「だいぶ成長しているようだが、未だ格下であることに変わりはないようだな」


「――ッ!」


 呂布の押し込む力が、一段階増したように感じる。

 その証拠であるかのように、俺の足は地面を滑って後退し始めていた。今の状況で俺にできることは一切ない。仲間が居なければ、絶体絶命と言っても過言ではない状況だが、俺にはたくさんの仲間がいる。


「コン!」


 背後からゴン太だけではなく、従魔たちの鳴き声による大合唱が聞こえて来た。

 その声と共に、たぬ吉による“湧沸”が俺を避けて呂布へと襲い掛かった。たぬ吉の意思に従って空中をうねって進む熱湯は、呂布のことを飛び退かせた。


「あいつが言っていた通り、厄介な従魔どもだ」


「タマ、悟空!」


「ニャン!」


「ゴリ!」


 悟空はドラミング――“爆音縄張(ばくおんじょうちょう)”によって格下、同格を寄せ付けない縄張りを作り上げる。呂布相手には気休め程度にしかならない技だが、今必要としているのは副次効果だけだ。


 そして縄張りが作り出された状態で、タマが三味線をかき鳴らす。縄張りを飛び出した三味線の音色は、ドラミングによって音を変え、強力な斬撃となって呂布へと襲い掛かった。


「不可視の斬撃か……だが避ければいいだけのことだ」


 呂布は宙へと跳び、斬撃を避けようとする。

 しかし斬撃は呂布の身体に傷を刻み込み、奴の身体を地面へと引きずり下ろした。


「理解のできない力だ。では理解できないのであれば、先んじて潰せばいいだけの話だ」


 呂布が立っていた場所に砂埃が巻き上がった。

 そして横を突風が吹き抜けると、ゴン太の吠えるような鳴き声が背後から聞こえて来る。


「【シンクロ】」


 掌に構えるのは、ゴン太から借り受けた“狐火”の力。


 本家であるゴン太のものに比べれば、かなり劣る威力しか出すことができないが、呂布の攻撃を妨害することはできるはずだ。


 俺の掌を離れた“狐火”は、方天画戟を振り上げている呂布へと一直線に進んでいった。


「チッ」


 呂布は舌打ちをしながら、迫り来る“狐火”を掻き消すために、方天画戟を振り抜いた。

 その隙にタマは亀之助の背後まで後退し、呂布から標的にならないようにしている。


「やはりお前からやるべきだな」


「そう簡単にやられてたまるか」


 呂布はこちらに方天画戟の先端を向けながら、殺気を浴びせて来る。

 殺気で身体が震えそうになるのを何とか堪えながら、口では強い言葉を吐いて自分を鼓舞した。


「ふっ――」


「――ッ!」


 やはり呂布の移動速度は速い。

 目で追うのは不可能で、反射的に身体が動いて、やっと攻撃を受け止められるくらいの差がある。


「やはり止めて来るか」


「自分の命を守るためなら、必要以上の反応速度が出ても可笑しくないだろ」


「私の本気を止められるか?」


「くっ――」


 言葉通り、呂布の猛攻は俺を傷つけて行った。

 方天画戟による連続突きに対し、俺はステップを踏みながら、後退していくしか防ぐことができない。それをしても完全に捌き切ることはできず、少しずつ身体に傷が刻まれていた。


「はぁはぁ」


「いつまで持つのか……確かめさせてもらう」


「――ッ!!」


 手を抜いていたのか、呂布の攻撃はさらに激しさを増した。

 それに伴って、捌き切れない攻撃も増え始め、身体に刻まれる傷の量も多くなっている。


「はぁはぁ……」


 傷が増えたことにより、当然流れる血の量も増えている。

 身体を廻る血の量が減れば、酸素供給量が減るのと同義であり、段々と意識が遠のき始めていた。


「ほぼ意識がないというのに、ここまで防いでくるか」


 そうだ。呂布が言うように、意識が朦朧とし始めてからも、捌けた攻撃の量は変わっていない。それどころか増えてすらいるのかもしれない。


「はぁはぁ……」


 脳は殆ど機能していないというのに、身体は突き出される方天画戟を防がんと、勝手に動いてくれている。

 

「チッ、埒が明かない」


 呂布は連続突きを止め、飛び退いて距離を取った。

 攻撃が止んだことで、張り詰めていた空気はパチリと切れ、地面に倒れ込んでしまう。


「はぁはぁ……」


 今にも意識が飛んでしまいそうで、攻撃を防ぐどころか、立ち上がることすらできない。

 先刻の防御は何だったのかと疑われてしまうくらいには、全く身体は動いてくれなかった。


「動けないのであれば、好都合だ」


 あの構えは――。

 呂布は方天画戟を持ち上げ、やり投げのような構えを取っている。

 その姿から予想できるのは、【洞爺湖ダンジョン】にて麗華が呂布を仕留めた際に使った投擲。身体に大穴を作り出す高威力を持った攻撃だ。


 どうにかして射線から逃れようとするが、全く身体は言うことを聞いてくれない。四つん這いになって、投擲モーションを取っている呂布を見上げることしかできなかった。


「終わりだ」


 そして方天画戟は呂布の手を離れる。



悟、大ピンチ!!?


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