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おっさんテイマー~趣味のキャンプ飯を間違ってダンジョンでやったら魔物に懐かれました〜  作者: Umi
第1章 焔が輝く狐火

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第95話 最悪の結末

 エイムズは拳銃を向けて来た。

 拳銃は俺の命を奪い取るため、火花を散らして弾丸を射出した。


「竜馬!」


「ヒヒン!」


 弾丸が到達するよりも早く、竜馬は走り出していた。

 目標はエイムズに接近することであり、風の防壁を作り出すこと。竜馬が一瞬で判断を下したことにより、エイムズの弾丸が俺の胸を貫くことはなかった。


「そういった能力か」


 馬がトップスピードで迫って来ているにも拘らず、エイムズの表情に焦りは見えない。それどころか拳銃を懐に仕舞い、素手の状態で俺たちのことを待っている。


「……竜馬、止まれ」


「ヒヒン」


 竜馬は素直に止まってくれた。

 俺たちが停止するのを見て、エイムズはあからさまに残念そうな表情を浮かべている。


「そのまま近付いていれば、簡単に仕留められてものを」


 エイムズはコートの袖から、短刀を取り出した。

 短刀の刃には透明な液体が滴っており、見るからに毒が塗られているのが分かる。


「……絶氷が居なければ、簡単に仕留められるだろう」


 エイムズは短刀を持っている右手をコンパクトに振り、必要最低限のモーションで短刀を投擲してきた。

 竜馬が走り出せば、風の防壁で弾き飛ばせるだろうが、これ以上エイムズに接近すれば、接近戦は避けられないだろう。

 確かにダンジョン探索を経て、身体能力が上昇しているが、上澄みであるエイムズに対抗できると思っているほど驕ってはいない。だから俺は接近戦は避けなければならない。


「ふっ――」


 俺は馬上で、一か八かで剣を振り抜いた。

 偶々剣身が短刀に触れたことで、俺が毒に侵されることはなかったが、次も同じようにいけるとは思っていない。


「竜馬!」


「ヒヒン!」


 俺の声に応えるように、竜馬は再び駆け出した。

 目的となる場所はエイムズの背後。つまりエイムズの相手をするのではなく、エイムズから逃げ延びることを選択したというわけだ。


「このような好機、逃すと思っているのか」


 エイムズは再び拳銃を出し、横を駆け抜けようとする竜馬へと銃口を向けた。先刻は風の防壁によって、弾丸が命中することはなかったが、こいつ相手に二度目は通用しないってのは、以前の戦いから分かっている。


「【シンクロ】」


 俺が【シンクロ】で借りたのは、竜馬の風の壁を作り出す力だ。

 この能力を使うことによって、俺たちを守る防壁は二重になる。つまり単純に考えれば、防御力が二倍になるということだ。


 バンッ


 発砲の音が耳に入る。

 だがそれ以上の音が聞こえることはない。竜馬が痛みに悶える音も、風に拒まれて勢いを失い、地面へと落ちたカランという音も聞こえていない。それが示すことは、弾丸の消失。


「弾丸が消えるか……本体の銃でなければ、貫けない防御力だな」


 そんな呟きが聞こえてきたが、それも一瞬で通り過ぎて記憶には残らない。


 エイムズの横を通り抜けることはできた。あと必要なことは、凜々花と合流してダンジョンを抜けることだ。


 そんなことを考えながら、俺たちはダンジョンを逆走していく。

 背中に感じるエイムズは動いていないように思えるが、一瞬の油断も許されない。


「竜馬、体力は大丈夫そうか?」


「ヒヒン!」


 竜馬の元気そうな返事を聞いて安心した。

 この調子であれば、一階層まで駆け抜けるのは容易だろう。


「それにしても、何故あいつらダンジョン嫌悪派の奴らは、俺たち――いや、俺のことを執拗に狙うんだ? あまり自覚はないが、計画を邪魔したから狙うというのは分かるが、最高戦力である【十聖】を投入してまで狙ってくる意味が分からん」


「ヒヒン?」


「……竜馬に愚痴っても分からないよな。俺はなぁ、何故だかダンジョン嫌悪派の人間たちに狙われていて、それも【十聖】という幹部連中に二回――今回も合わせると三回も狙われているんだ」


「ヒヒン」


「そもそもダンジョン嫌悪派の目的っていったい何なんだろうな」


 一方的に竜馬へと話しかけている内に、エイムズに対する意識も段々と薄れ始めていた。それが良いことなのか、悪いことなのかは分からないが、確実に距離は離れてきているから、そこまで気にする必要はないだろう。


 そしてエイムズの追撃を受けることなく、凜々花が居るであろう一階層まで返って来た。


「凜々花ァ!」


「ヒヒン!」


 一階層へと帰って来てから数十分程度経っているはずだが、全く凜々花のことを見つけられずにいた。

 【アニメックスダンジョン】の一階層はそこまで広くはないはずだが、大声を上げても見つからないというのは、かなりの異常事態と言える。


「凜々花、何処なんだ!」


「君らが岡崎へ向かうことは知っている」


「エイムズ……どうしてお前が」


「そんなことはどうでも良いだろう。我々は【岡崎城ダンジョン】で君らを待つ。己の力で彼女のことを救い出すといい」


 俺は怒りに任せて剣を投げつけたが、以前のようにエイムズは跡形もなく溶け消えた。


「はぁはぁ……【岡崎城ダンジョン】へと向かわないと」


 俺は急いで帰宅した。



次回から凜々花奪還編が始まります


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