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おっさんテイマー~趣味のキャンプ飯を間違ってダンジョンでやったら魔物に懐かれました〜  作者: Umi
第1章 焔が輝く狐火

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第91話 攻防

 亀之助の能力は、口から水の塊を銃弾に少し劣る程度の速度で飛ばすものと、周囲の水を押しのける力が既出のものだ。


「他の力はあるのか?」


「カメ!」


 亀之助の返事と共に、俺の目に映ったのは、亀之助の頭の前にできあがった宙に浮かぶ水の盾だ

 この技たちから考えるに、亀之助は水を操る力に特化した魔物ということだな。


「防御系の技ってことか」


「カメ!」


 亀之助が持つ三つの技――まあ一つは技というのは、使い道が限られてくるが、三つの技名を考えなければならないのか。


「まいちゃんを連れてきました」


「急に呼ばれてびっくりしたけど、従魔の能力を検証していたんだ」


「そうだ。タマの能力を検証していたら、立ち上がれない催眠のような物に掛かってしまったから、治すのをまいちゃんに頼もうと思って、凜々花に呼びに行ってもらったんだ」


「そういう理由ね。でも催眠術は治せるかどうか分からないよ。催眠状態は頭が認識を誤認しているだけで、身体に異常が起きているとは言いにくいからね」


「なるほど……催眠術を解くのは、術者が解くってのが一番簡単みたいだが、当の本人がこの様子なんだよな」


「にゃん?」


 ネットで調べたことを口にしながら、俺に催眠術を掛けたタマの方に目線を移す。

 タマは「どうかした?」とでも言いたげに首を傾げ、俺が催眠術に掛かっているとは思ってもいない様子だ。


「自然に治るのを待つか」


「一応、回復させてみるね」


 まいちゃんの掌が俺の頭に触れる。

 刹那、心地よい温もりを感じる光が頭頂部に光った。


「どう? 立てるようになった?」


「おっ」


 立ち上がろうとすると、足に痺れが走ったが、無事に立ち上がれた。

 この痺れはずっと座っていたことによる痺れだろうから、あまり気にする必要はないだろう。


「催眠術が解けたみたいだ」


「それは時間経過なのか、私の力なのか詳しく知りたいから、もう一度掛かってくれない!」


「い、嫌に決まってんだろ」


 イカレてんだろ。

 それにしても、この言葉を口にするのは、いつぶりだ? 


 麗華たちと出会ってから、あのクソ医者が居る病院に行かなくなって、口癖になりかけていたイカレを口にしなくなった、そもそも忘れかけていたのに……自分の力を確かめるために、せっかく解けた催眠術をもう一回掛けさせようとするなんて、イカレてる以外に掛ける言葉がない。


 そんなイカれたまいちゃんにため息をつきつつ、目線を凜々花の方へと向ける。


「タマの催眠術について、何か良い技名は思いついたか?」


「そ、そうですね……」


 凜々花はチラチラとまいちゃんの方を確認しながら、技名を考えている。その間、俺は「催眠術に掛かって」とせがんでくるまいちゃんの対応を行っていく。


「だから、催眠術には掛からないって、言っているだろ」


「おねがい! 平時である今のうちに、確かめておけば、もしもの時に困らなくて済むんだからさぁ」


「だから嫌だ――」


 再び断ろうとすると、まいちゃんが身体にへばり付いてきた。

 くっ付いて来ているので、全身で彼女の感触を感じることになるのだが、先刻まで確固たる意志を持っていたはずの心は大きく揺らいでしまう。


「くっ――負けないんだからね!」


「何その口調」


「うぐっ――」


 ボケたつもりだったが、冷静にぶっ刺されてしまい、俺のメンタルは叩きつけられた豆腐のように砕け散った。

 

「ねぇ良いでしょ」


 意志を保つための最後の砦であるメンタルも砕け散っていることもあり、まいちゃんから耳元で囁かれたことが引き金となって、口から催眠術を受けることを許可する言葉が吐き出されてしまった。


「分かった、催眠術を受ける」


「ありがとー!」


 テンションの上がっているまいちゃんが頬にキスしてきたが、そのことに対して感情が揺れ動いたりすることはない。なんたって俺はおっさんだからな。


 とまあ、強がってはみたが、心臓はバクバクと拍を取っている。速くはなったが、リズムは取れているので、不整脈ではなさそうでよかった。


「まいちゃん? 何をしているんですか?」


「ん? 悟くんにもう一回催眠術に掛かってもらおうとおも――ヒッ!」


 凜々花の方を見たまいちゃんが悲鳴をあげ、再び俺の身体に抱き着いて来た。

 その原因である凜々花の方を見てみると、まいちゃんのことを虚無った目で見つめていた。殺気や怒りを孕んでいるわけではないが、その目で見つめられて恐怖するのは当然だろうと思ってしまうほどには、怖い目をしていた。


「悟さん、タマちゃんの技名を考えたので、こちらに来てくれませんか?」


「なんで――」


「来てくれませんか?」


 有無を言わさぬ覇気が、凜々花にあった。

 恐怖に身体が震えそうになるのを隠しながら、凜々花の下へと近付く。

 

「言いますね」


「ああ」


「“寝取りの催眠”」


 凜々花は意味の分からない言葉を耳元で囁いてきた。

 催眠に掛かったわけでもないのに、身体が硬直して動けない。


「……」


 怖い。


「……」


 凜々花は何も言わず、ゆっくりと顔を離した……が、再び顔を近付けて来た。


「……」


 チュッという音が耳に入って来る。



前回のあとがきで技名回と言いましたが、“寝取りの催眠”が正式な技名になることはない……と思います


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