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おっさんテイマー~趣味のキャンプ飯を間違ってダンジョンでやったら魔物に懐かれました〜  作者: Umi
第1章 焔が輝く狐火

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第89話 【大蛇麟鎧】

 俺たちは無事に自宅へと帰宅することができた。

 この表現の仕方だと、何か起こったかと思ってしまうが、特に何も起きていない。


「それで、鎧のことを教えてくれ」


「じゃあ鑑定結果を見せるね」


 まいちゃんが持つ紙に目線が集まる。

 そこに書かれていた内容は、


銘   大蛇麟鎧(だいじゃりんがい)

スキル 解毒

    毒蛇手

    毒麟


 鎧――大蛇麟鎧の鑑定結果は、普通の十階層ダンジョンでは到底手に入らないであろう代物だった。


 まずは【解毒】。

 これは装備した者に掛かった毒を解毒する効果だろう。毒無効ではなく、解毒という所が肝で、即死効果のある毒を浴びてしまえば、役に立たないはずだ。


 次に【毒蛇手】。

 これは名前から考えるに、自分の手かスキルによって作られた手が蛇のように進み、それが毒を帯びている……そんなスキルだと思う。まあ予想に過ぎないから、一度試してみる必要がありそうだ。


 そして最後に【毒麟】。

 これが一番予想ができない。鎧の名前にあるように、鱗のような見た目をしている鎧だが、この鱗部分が毒を帯びているとしたら、かなり危険な装備だ。


「安心して、【毒麟】を発動させない限り毒は発生しないから」


「なんで心を読めたんだ……いや、どうしてスキルの詳しい効果が分かるんだ?」


「ギルドの職員が、この鱗部分で指を切っていたけど、なんの毒も受けていなかったからね」


「なるほど……そうだとしても、かなり強い鎧だな」


「人類最高とまではいかないけど、上澄みではあるよ。ねえ、れいちゃん」


 まいちゃんは賛同を求めるように、麗華の方へと目線を向ける。

 反応を求められた麗華だが、いつものような気怠さを醸し出しながらも、その目は輝きを放っている。


「……かなり強いと思う。私の装備には及ばなくても、【洞爺湖ダンジョン】程度なら通用する」


「それは十分な強さだな」


 【洞爺湖ダンジョン】は北海道にある六十階層級ダンジョンだ。

 二十階層にはギガントトロールが中ボスとして冒険者が進むのを拒み、最終層である六十階層には氷龍(アイスドラゴン)がダンジョン踏破の最終関門として構えている。

 そんな難関ダンジョンにも通用するとなると、かなり強力な装備であることは確実だ。


「誰が装備するかだが……前衛を務める凜々花か、後衛として絶対に守らなければならないまいちゃんのどっちかが良いと思うが……みんなはどう思う?」


「私じゃなくていいよ。私が身に付けている装備は、【大蛇麟鎧】以上の性能があるからね」


「そ、そうか」


 ずっと一緒に居るから忘れていたが、まいちゃんは日本最強のヒーラーであり、皇族の一員。最高峰の装備が提供されていても、何らおかしくない立場だ。


「なら、凜々花が装備するのが、最適だな」


「悟さんが着た方が良いんじゃないですか?」


「いや、【気配察知】と【剣術】、それに合わせてポイズンドレイク討伐時に手に入れた【脚力強化】があるから、鎧は凜々花が付けるべきだろう。【陣頭指揮】を手に入れたとはいえ、【テイム】と【シンクロ】を持つ俺はトリッキーな戦い方からは逃れられないからな」


「……そうですか? なら私が装備しますね」


 慣れるため、一度装着してもらった。

 鱗のような【大蛇麟鎧】を身に纏い、腰には【長谷部】を差している凜々花の姿はとても凛々しく、出会ったばかりの騎士然とした彼女のことを思い出す。


「かなり重たいですけど、【脚力強化】のお陰で軽く動けますね」


 まあ話し方のせい……いや、おかげでとても可愛らしくなるけどな。

 そんなことを思いつつ、口に出すことはしない。


「じゃあ【岡崎城ダンジョン】への遠征に向けて、各々準備をしといてくれ」


「分かりました!」


「はーい」


「……分かったよ」


 凜々花たちの返事に続き、ゴン太たちの鳴き声が庭に響く。

 冒険者についての話し合いは終わり、各々が自室へと戻って行った。


「それにしても、増えすぎだよなぁ」


「コン?」


「いや、初めて【キャンプダンジョン】に行った時は、こうなることは想像できなかったからな」


 俺の独り言に近付いて来たゴン太の頭を撫でつつ、自分の想いを告白する。すると、俺の撫でを求めて他の従魔たちも近付いて来た。


「分かった、分かった。順番に撫でるから、揉みくちゃにしないでくれ」


 俺はゴン太たちに揉みくちゃにされている。

 撫でると言っても、その言葉はゴン太たちの耳には届いていないようで、揉みくちゃにするのを止めてはくれない。


「はぁはぁ、やっと終わった」


 俺は揉みくちゃにされながらも、ゴン太たちのことを撫で続け、一時間を掛けてゴン太たちのことをダウンさせた。


「ほぼおしくらまんじゅうだったから、だいぶ汗をかいてしまったな。少し早いかもしれないが、風呂に入るか」


 俺は着替え等を持って風呂場へと向かい、《《閉まっていた》》脱衣所の扉を開いた。

 


麗華やまいちゃんの装備の詳細が判明するのは、まだまだ先になると思います。


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