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おっさんテイマー~趣味のキャンプ飯を間違ってダンジョンでやったら魔物に懐かれました〜  作者: Umi
第1章 焔が輝く狐火

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第85話 風呂場で……

 俺の自室を占拠したゴン太たちを置いて行き、風呂場へと向かう。

 荷解きでかいた汗は、タオルで拭い取るには少し多すぎたため、仕方なく風呂へと向かっている。風呂キャン界隈の人間だというわけではなく、新居に越して来たんだから、もう少しゆっくりしていたかっただけだ。


「内見の時に一度見たが、確かかなり豪華な風呂だったよな」


 風呂へと向かうが、豪邸ということもあり、風呂場までそこそこの距離がある。

 根っからの金持ちは、この時間を何とも思わないのかもしれないが、庶民の俺からすると少し面倒な気持ちが勝ってしまう。


「ゆっくりと汗を流すか」


 俺は風呂場の《《閉まっていた扉》》を開いた。

 そこは銭湯の脱衣所を思わせる、大きな洗面所だ。風呂場と隔てる扉はすりガラスで、ここからでは風呂場の全貌を知ることができないが、それもまたワクワク感を煽られていい感じだな。


「それにしても、どうしてゴン太たちは俺の部屋に固執するんだろうな。俺の部屋でぎゅうぎゅう詰めになるより、それぞれが伸び伸びできるところに居るのが、一番いいと思うんだけどな……」


 ゴン太たちに対する疑問を口にしながら、すりガラスの扉を開く。

 異様にモクモクとしている湯気に疑問を抱きつつ、椅子に腰を下ろしてシャワーを出した。


「~~~」


 新しい風呂に興奮を抑えられず、鼻歌を歌いながら髪の毛を洗っていく。

 泡が立ち始めたため、目を瞑ったのだが、背中側に何かの気配を感じる。敵意は感じられないため、即座に動くということはないのだが、その気配が気になり過ぎて集中して頭を洗うことはできない。


 しかしその腕を止めると、その気配に不審がられることは確実なため、頭をゴシゴシと洗い続ける。

 だが頭を洗いすぎても違和感を抱かれることを避けることはできないため、シャワーを出して頭の泡を洗い流していく。


 そして全ての泡がお湯と共に落ちるのをきっかけに、身体ごと振り返った。


「えっ」


「えっ」


 目が合ったのは、とても見覚えのある女性の瞳だ。

 俺たちはその言葉にならない声が漏れ出たのを最後に、中々次の言葉を紡ぎ出せずにいた。

 そんな俺たちの声に代わって風呂場に響くのは、湯気に隠れた浴槽から聞こえて来る笑い声。

 

 やってはいけないことだと分かっているはずなのに、本能に従って目線が下がってしまう。


「――ッ!?」


 そこにあったのは真っ白な肌、触れればこの世の何者よりも柔らかいであろう双丘、そして頂点に位置する――


「悟さ――」


 そこで俺の思考は暗転し、途切れる意識の中で凜々花の心配そうな声だけが、耳に入って来た。


                ◇◇◇◇◇


「知らなかった天井だ」


 目を開いた先に広がっているのは、知らない天井ではなく、見慣れない天井。それはこれから見慣れていくであろう天井――つまり新居の天井ということだ。


「起きたみたいだね」


「……まいちゃん」


「本当に、危なかったんだから」


「……どうしてベッドに寝ているのか記憶がないんだが……確か風呂に入って……そこから……」


「無理に思い出そうとしなくていいよ。どうせ覚えていなければならない事なんて、一個も起きていないんだからね」


 どうして風呂場での出来事を、まいちゃんが知っているんだ?

 そんな疑問が頭に浮かびつつ、口に出すことはしない。それが藪蛇を突くことに繋がってしまう可能性が高いからな。


「まあ一つ話しておくとしたら……そうだなぁ……ご立派ってことかな?」


「何がだ?」


「私の主観でしかないから、それが平均以上なのか、普通なのか、それとも小さいのかは分からないけど、だってギャルみたいな感じで話してはいるけど、言うて皇族だし、そういうの――」


「は、早口過ぎて全然分からないぞ」


「はぁはぁ、とにかく無理に思い出さなくていいから」


「わ、分かった」


 珍しいまいちゃんの気迫に押されつつ、俺は今回起きたことを思い出さないことに決める。もし記憶の蓋が外れそうになっても、自分の意思で覗き込むことはしない……そんな決意を心に決めた。


「話は変わるけど、次からは何処のダンジョンに挑むの?」


「確かに近隣の【アニメックスダンジョン】も、【ジャスケダンジョン】も踏破しちゃったからなぁ……」


「関東圏はダンジョンが多いけど、極端なダンジョンばかりだから悩むよね」


「そうなんだよな……久しぶりに【岡崎城ダンジョン】に行ってみるか?」


「【岡崎城ダンジョン】って愛知県の?」


「そうだ。麗華たちと会う前、【アニメックスダンジョン】よりも難易度が高くて、【ジャスケダンジョン】よりは難易度の低いダンジョンを探している時に、凜々花と一緒に行ったダンジョンだ」


「……良いんじゃない? 難易度に関わらず、色々なタイプの魔物と戦うのは、成長に繋がるってれいちゃんも言っていたし」


 確かに、ゴブリンとは結構戦ってきたから、戦い方が分かるが、【岡崎城ダンジョン】に生息しているスケルトンは、ほぼ経験がないし、弱い個体で慣れておくのは良いことだな。


「でもまあ」


「でも?」


「最初に行くのは、【キャンプダンジョン】だな」


 これは【ジャスケダンジョン】を踏破することを目的にした時から、自分の中で決めてあったことだ。


「悟くんも好きだねぇ」


 ――【第5章 縄張りを示す爆音】 完



要望があれば、悟が気絶してからお風呂場で起きた出来事を書こうと思います。


これにて第5章完結となります

【第6章 疾風で靡く(なびく)たてがみ】もお楽しみください


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