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おっさんテイマー~趣味のキャンプ飯を間違ってダンジョンでやったら魔物に懐かれました〜  作者: Umi
第1章 焔が輝く狐火

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第79話 【十聖】エイムズ 2

 タマの特殊性とは、かき鳴らした三味線の音色によって、斬撃の性質が変わること。

 しかしその音色とは、音程による変化ではなく、音そのものの変化を指している。


「――そういうことか……ドラミングによって、こちらに聞こえる音には変化が生まれている。つまり音の変化によって、斬撃の性質に変化が生まれているということか」


「流石情報官だな」


 表面上は極めて冷静に対応できたが、心の中では大きな動揺が生まれていた。

 一度攻撃を喰らわせただけで、その全貌を把握し、その傷も既に感知させている。

 そんな規格外の力に、麗華の力を頼れない俺たちで倒せるのだろうかと、不安が心に生まれていた。


「では終わりにしよう」


 エイムズは再び銃を構え、こちらに銃口を向けて来た。

 タマと悟空の合わせ技で、こちらの手の内は全て明らかにしたという訳になる。つまり知識にある攻撃の通じないエイムズに対する有効打が尽きたも同然だ。


「……お前たちの目的はなんだ?」


「私たちの目的だと? それを知ってどうする」


「死んだあと、失敗するように呪ってやろうと思って」


「……ふっ、そうか。では死後の娯楽を与えてやるために、我々の目的を教えてやろう」


 もし俺が凶弾に撃たれたとしても、麗華たちに情報が渡るはずだ。


 まいちゃんは聖女と呼ばれるほどに優れたヒーラーだ。【日本最強の冒険者】と呼ばれるほどダンジョンに挑み、その分生き残ってきた麗華の生命力にまいちゃんの力があれば、もう少しで完治できるはず……。


 そんな期待を胸に、口を開いたエイムズの言葉に耳を向ける。


「我々の目的はただ一つ。日本におけるダンジョンの完全攻略だ」


「完全攻略だと? 俺たちと目的はほぼ同じ、であればなぜ邪魔をするんだ!」


「……邪魔? 邪魔をしているのは君たちではないか。我々が引き起こしたスタンピード、それを終わらせたのは君たち冒険者であり、ギルドだ」


「そのスタンピードを引き起こす理由がないだろ」


「……はぁ、ダンジョンの完全攻略にはスタンピードが必要不可欠なのだ。君ら知識の浅い人間からすれば、意図的に魔物をダンジョンから排出させている悪役に見えるのかもしれないが、国家全体で考えれば、我々の方に大義はある」


 ダンジョンの完全攻略にはスタンピードが不可欠? なぜそれを犯罪者組織でしかないこいつらが知っているんだ? そもそも完全攻略とはなんだ?

 そんな疑問が頭の中に浮かび続け、まともな思考を練ることができない。


「……もういいだろう。この話を聞き、君が我々の失敗を願い、呪いをかけるのであれば、甘んじて受け入れようではないか」


 そしてエイムズは再び銃口を向けてきた。

 そろそろ覚悟を決めるべきか。


「ふぅ……先刻のタマの攻撃が命中したのであれば、少しでも性質が違えば命中するはずだ」


「何をブツブツと言っている?」


「凛々花ァ!」


「はい!」


 俺は少し後ろに立っている凛々花が投げてきた【長谷部】を受け取った。

 そして【シンクロ】スキルを使用しながら、エイムズへと【飛ぶ斬撃】を放つ。


「はぁ、剣など、銃火器の台頭によって表舞台から押し出された……言わば劣った存在。剣で拳銃に勝てる道理などないのだよ」


 エイムズは引き金を引いた。

 一切の火花を散らさず、銃口から弾丸が放たれる。俺の目では、到底弾丸を追うことなどできないが、強烈な爆音と共にエイムズの身体に大量の斬撃が走るのを目にすることができた。


「――っっっ!?」


 遂にエイムズが膝を着く。

 俺が使用したのは、タマの音を斬撃にする力を【シンクロ】によって借り受けた【飛ぶ斬撃】。

 その効果は着弾地点で爆音を鳴らし、その音を耳に入れた者に、その音量分の斬撃を走らせるといった力。

 一度知られれば、対策しようがいくらでもある技だが、初見であれば誰であろうと不意をつける力だ。


「ぐふっ――」


 四つん這いになっているエイムズは、口から大量の血を吐き出し、立ち上がることすらできない様子であった。


「はぁはぁ、次で終わりだ」


 【シンクロ】の【飛ぶ斬撃】を使った影響で、体力の消耗が激しく、俺自身も立ち上がるのがやっとな状況だが、戦いを終わらせるために、身体にムチを打って再び【長谷部】を構えた。


「……タイムリミットだ」


「――っ!?」


 俺が【長谷部】を振り抜こうとした瞬間、エイムズの姿が溶けた。比喩でもなんでもなく、身体の色のまま溶けて消えた。

 そして溶け出た物も消えると、最初から何事もなかったかのように、ただのダンジョンへと戻っていた。


「消えたのか?」


「……あれは元から本体ではなかったみたい」


「麗華、大丈夫なのか?」


「私に掛かれば、どんな傷だろうと治せるからね」


「……流石まいちゃんだな」


 その後、俺たちはこれからどうするかの話し合いを行い、ダンジョン探索を続行することに決めた。


「どうしてだか今の八階層は魔物が湧いていないし、早く九階層へと降りよう」



情報官であれば、分身がいてもおかしくないです


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