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おっさんテイマー~趣味のキャンプ飯を間違ってダンジョンでやったら魔物に懐かれました〜  作者: Umi
第1章 焔が輝く狐火

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第74話 七階層、ゴブリンの砦 3

 俺は砦の壁に激突した。

 肺から空気が押し出され、息苦しさを感じて慌てて空気を吸い込んでしまう。それによって呼吸が乱れ、即座に戦線復帰することができなくなってしまった。


「ふーーはーーふーーはーー……よし」


 何とか呼吸を整え、ゴン太たち相手に大剣を振り回しているゴブリン将軍(ジェネラル)の下へと駆け出す。

 今のところゴブリン将軍(ジェネラル)は狙いを悟空に定めているため、従魔たちが受けているダメージ総量は多くない。だがいつ標的が変わってもおかしくないため、走る足に力が籠ってしまう。


「【シンクロ】」


 走りながら、掌に“狐火”を作り出す。

 動きながら【シンクロ】を使用するのは、体力の消耗が厳しいが、あいつ相手にそんなことを言っていられる余裕はない。


 そのまま走った勢いに乗せて、掌から“狐火”を投げ飛ばした。

 掌を離れた“狐火”は、ゴブリン将軍を目指して一直線に進んで行く。俺が投擲したタイミングが良かったらしく、丁度ゴブリン将軍はこちらに背を向けていた。


 悟空たちに気を取られているゴブリン将軍の背中に、弾丸には及ばずともそこそこの速度が出ている“狐火”が着弾した。


「こっち向いたな」


 ゴブリン将軍はイラついたような表情を浮かべながら、こちら側に振り向いた。

 背中に走る痛みの原因が俺であると分かったのだろう。再び跳躍するであろう動作を取る。


「ゴン太、たぬ吉!」


 進化を経験した二人の攻撃……“狐火”と“湧沸”が、こちらを向いたゴブリン将軍の背中に直撃した。

 ゴブリン将軍の表情は、イラ立ちを超えて憤怒を思わせる怒りの感情が浮かんでいる。


「グギャァ」


 結局、怒りの矛先は俺に向けられているらしく、跳躍の構えは解かなかった。

 そしてゴブリン将軍は跳躍、着地と共に俺へと大剣を振り下ろす。


 何とか剣で勢いを受け流すことによって、大事を避けることができたが、生まれた衝撃を殺すことはできず、俺は吹き飛ばされてしまった。


「くっ――っっっ!!」


 何とか体勢を立て直した頃には、既にゴブリン将軍の追撃は始まっていた。若干低姿勢の俺へと、ゴブリン将軍は大剣を振り上げる。


 受け流すのは無理だと事前に察し、剣の最も頑丈な部分で受け止めた。しかし剣の強度が耐えたとしても、その威力を殺せるわけではなく、俺の身体は宙を舞ってしまう。


「マズイ――」


「グギャ」


 ゴブリン将軍は笑っていた。

 ニヤリと口角を上げ、俺の事を見下しているかのように、(あざけ)ている。そして大剣が横薙ぎに払われる。


「――」


 俺は咄嗟に目を瞑ってしまう。

 これが恐怖から来る反射的な行動なのか、諦めから来る行動なのか、どちらにしてもゴブリン将軍は俺の視界には映らない。


 目を瞑った状態で変化を待ったが、何も起こらない。何かの要因があって、ゴブリン将軍の行動がキャンセルされたとしても、落下した衝撃が身体を襲っているはずだが、その衝撃すらもない。無。それが目を瞑る俺の身体を支配していた。


 何も起こらないことを察し、瞑っていた目を開ける。

 眩しさでぼやける視界に映るのは、目の前で従魔たちと凜々花の攻撃を受けてボロボロになっているゴブリン将軍の姿。そして自分に目線をやると、赤き体毛に覆われた腕の中に居た。


 俺のことを狙いすぎて、ゴブリン将軍は隙を晒してしまっていたらしい。そして俺は悟空によってお姫様抱っこされたことによって、衝撃が訪れなかったようだ。


「ありがとうな、悟空」


「ゴリ!」


 悟空に降ろしてもらい、荒い呼吸で立っているゴブリン将軍の下へと近付く。

 先刻までと同じように敵意は鋭いままだが、その身で纏う覇気が桁違いに弱い。こんな様子では、俺を倒せるだけの力は出せないはずだ。


「じゃあ終わらせよう。【シンクロ】」


 俺の手にあるのは、水でできた鞭。

 これがたぬ吉の力を借り、自分なりの力にした“湧沸”だ。


「はぁぁぁ!!」


 鞭を振り抜く。

 水でできた鞭の先端は音を置き去りにし、ゴブリン将軍に大きなダメージを与えた。


 従魔たちや凜々花によるダメージも蓄積していたため、その一撃でゴブリン将軍は魔石へと変わった。


「終わった……いや、ゴブリン将軍を倒しただけで、まだ階段には付いていないのか」


「そうだよ」


「それにまだまだゴブリンは居るから、油断しちゃダメだよ」


「そうだな」


 あまりの疲労に、地面に座り込んでしまったが、まいちゃんが指摘してくれたように、まだ七階層を抜けたわけではない。それどころか湧き続けているゴブリンは少しずつ数が戻って来ている。


「もう少し頑張ろうか」


 俺は立ち上がり、従魔たちと凜々花たちを鼓舞する。

 疲労は俺が一番溜まっているのかもしれないが、パーティーのリーダーである以上、俺が疲れを見せてしまえば、全体の士気に関わってしまう。


「行くぞ!!」


 俺が空元気だろうと、元気な姿を見せれば、みんなもエネルギーを絞り出せるだろう。社畜時代は、やる気のない上司を見て、やる気が削がれていたからな……逆の場合は経験したことないが、多分やる気を出してくれるだろう……出してくれるよな?



将軍が居るということは……


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